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新倉瞳さん(チェロ)+加藤美季さん(フォルテピアノ)コンサート

今日は家から自転車で15分程の室内楽向けのホールで行われた、新倉瞳さんと加藤美季さん(フォルテピアノ)のコンサートに行ってきました。

近場にこんな室内楽用のホールがあったとは、つゆ知らず。

フォルテピアノも常設したホール。
私の座った最前列席から。


"チケット代の節約宣言したのに、随分と続けて行ってるじゃないか〜"、

という天の声が聞こえてきそうですが…

「予約した以上、約束は約束なんだから、行かない選択肢はありえないでしょう!」

「プロチェリストの演奏を生で観るのは、家で一人で練習してるより勉強になるでしょう!」

という素直な心の声に従って行ってまいりました。

(ホントは「翌日がレッスンになったんだから、諦めて練習せよ」という声に従おうとしたんでが、キャンセル方法がわからず…。
サッカー日本代表みたいに気持ちをポジティブ思考に切り替えたのでした)

せっかく勉強するんだったら、近くで観ないと意味がない、と思い、開場の25分前に到着。
それでも私は3番目。

新倉さん、人気あります。

私は新倉瞳さんの演奏に触れるのは2回目です。

初めて行ったのは、ほんの数ヶ月前。

私のチェロの先生が参加しているプロオケのコンサートで、新倉瞳さんがサン=サーンスのコンチェルトを弾く、しかも先生枠の割引きでチケットを購入できるというありがたいお話があり、お言葉に甘えて伺ったのが最初です。

彼女の10代でのデビューアルバムが発売されたのは、私が最初にチェロを始めたあと。

調べたら2006年発売で、当時手に入れたCDをよく聴いたものです。
若いのに上手だなあ…と。

あれから16年かぁ(遠い目)。

実は、私の先生の母校である桐朋学園が開いている伝統の「子供のための音楽教室」で、新倉さんがまだ小学生のときに、先生が教えたことがあるそうなのですが、

先生曰く、
「彼女は小学生の頃から上手だった。
それにあの年代は美人が多いのよね〜
…あ、それは関係ないか(笑)」

やはり、天賦の才能を努力で磨き続けた人が、プロフェッショナルとして成功するんだなぁ…とあらためて。

もちろん、うちの先生も然りです。

さて、今日のコンサートの話に戻りましょう。

プログラムはオール・ベートーヴェンで、

・チェロソナタ4番
・ポロネーズ(フォルテピアノ独奏)
・エリーゼのために(フォルテピアノ独奏)
・チェロソナタ5番

(アンコール)
・君を愛す(Ich liebe dich)

フォルテピアノに、
ピリオド仕様のチェロ
(ガット弦+エンドピンレス+クラシカルボウ)
で、当時の音色を再現する試みです。

目の前でチェロを演奏する新倉さんと私の距離は、いつもレッスンで先生と向かい合う距離と変わらない1.5〜2m足らず😅。

こうなると、比べようもないレイトスターターながら、音楽を純粋に楽しむより、その日のチェリストの肘の使い方やら、ヴィブラートの掛け方やら、呼吸のタイミングやら、早い刻みのボウイング方法やら、弓を当てる角度やら、アインザッツのとりかたやら、否が応でも何かと観察の方に注意がいくのです。

しかし、そういう意味でも、今日は得るものが沢山ありました。

とはいえ、聴こえてくるのはいつものモダン楽器ではなく、古楽器の音の新鮮な演奏。

そういえば、ガット弦のチェロ演奏、生で聴いたことあったかなあ?

昔ピーター・ウィスペルウェイの最初のバッハ無伴奏録音のアルバム発売後の来日公演は、エンドピンは立ってたし、もっと音も大きかった。

鈴木秀実さんの演奏会も行ったことないし、やはりこれが初めての経験かもしれません。

それにしても、お二人のアンサンブルは、とても素晴らしく息が合って聴いていて気持ち良かった!

新倉さんはもちろんですが、フォルテピアノの加藤美季さんの演奏、本当に素晴らしかったです。

↑自分、ちゃんと音楽聴いてるじゃん♪

なんでも,日本で唯一の国際古楽コンクール<山梨>で、フォルテピアノでの初の第一位を獲得したばかりなのだそうです。

新倉さんが、このスタイルでの演奏を勉強したいと、知り合いのフォルテピアノの巨匠に相談して大推薦されたのが、元々知り合いだった加藤さんだったそうで、練習から楽しくて楽しくてしょうがなかったそうです。

それを物語るように、曲毎に演奏が終わったあとの2人のにこやかな表情。

終演後の「撮影タイム」での二人の笑顔

曲間での楽器の説明も、自分にとって勉強になることばかりで、今日のフォルテピアノは、1830年のウィーン式の「アクション」のものだそうなのですが、ウィーン式の他にイギリス式があるのだそうです。

ウィーン式のアクションだそうです。
素人には見た目ではよくわかりませんが。
ベートーヴェンの時代を感じさせるフォルム


今のピアノは体全体を使って弾くけれど、フォルテピアノは指先の感覚を研ぎ澄まして弾かなければならないそうで、

新倉さんの
「試しに一節そっちのピアノと弾き比べたら?」
というその場の思いつきに、少し戸惑いながらもピアノを弾いた加藤さん。

「弾きやすーい!!」

と笑いをとっていました。

新倉さんの楽器も、当然のようにテールピースに細かいピッチを調整するアジャスターなど付いている訳なし。

最初、見たところ弓はバロックボウではないし、モダンボウを通常よりも内側を持って弾いてるのかな、と思っていたのですが、
新倉さんの説明によると、

「バロックボウと、モダンボウの間に、ベートーヴェンの時代に使われていた、クラシカルボウと呼ばれる弓があって、今日はそれを使ってます。モダンボウより軽いです」
とのこと。

知らなかったなあ。

それと、印象に残ったのは

「今は、チェロは2,000人規模の会場でも音が届くように、弦に重さをかけてエンドピンを使って楽器を大きく鳴らすのですが、ピリオド楽器の場合は、重さをかけるのではなく、スウィングするイメージで弾くんです。」

という言葉でした。
うーん。わかりやすい。

自分は古楽のアプローチでチェロを弾くことは一生ないと思うけど、勉強になりました。

ところで、加藤美季さんは2022/12/28にヤマハホールでイギリス式の1800年頃のフォルテピアノでのリサイタルがあるそうです。

チケット我慢大会中の私は、文字通り我慢しますが、演奏と共に加藤さんのトークも聞けるそうですから、興味を持たれた近郊の方は是非。

私、素人ながら僭越ではございますが、自信をもってお勧めできる素晴らしい演奏家だと思います。

このお二人の演奏会はシリーズ化を予定しているそうです。

…私、我慢できるでしょうか。
心配です😅

最後に写真をもう一枚上げておきますね。

さてとー。
明日はレッスンまで練習頑張るぞー💪😤

やっぱりまた来てしまいそう…

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