授業から紙を無くしたくても

板書をノートに写すスタイルの授業からプリントにスライド投影の一部を記入するスタイルに変えて10年以上にはなっただろうか。
誰かに勧められたわけでもなく、職場内外の誰かを真似たわけでもない。
高校時代の担任の授業が板書にプリントのスタイルだったことの記憶と、いかに効率よく進められるかと、わかりやすさを追求したのがここに行き着いた。
欠点はスライドというレールに沿って進行することが前提であること。画一的でつまらなくなるのはわかっているが、生徒の立場からは一度きりの内容だと立場を変えて考えてみたら自分の中のつまらなさなんて気にしなくてよいのかなと最近思うようになっている。

一人一台端末の導入で教育現場にもペーパーレスの波が進行しているかに思うが、完全ペーパーレスが理想で究極だと思いつつもできていない。

SDGsの実践としてできることからやってみる。そこで、資料を紙で配付することをやめて、全部PDF配信にした。この部分のペーパーレスは成功。カラーで見られるし、印刷の手間もなくなって紙とインクの消費もゼロにした。

受け手が能動的になるためには書くという実践が効果的であり、居眠り防止や集中力アップにもつながるのは誰もが知るところ。でも、ペーパーレスにすると、端末に書き込むとか、周りと話し合わせる(コロナ禍では避けたい)とか、紙に書く以外を求めなくてはならず、最適解が見つからない。

また定期試験を実施することから、教科書と副教材を眺めたりするだけだと厳しいのもわかる。これまでもGoogleフォームによる学習サイトを配信したりしているが、与えたものだけやればよいという捉え方で能動的な学習とはいえないのもあって、年によってやり方を変えたりするにとどまっている。

昨年度までのオンライン授業であると、プリントを各自印刷させることが家庭環境によっては困難という割合も比較的多かったが、今年度は対面授業のため、直接やり取りできるし、提出遅れや未提出の状況もわかって指導しやすい。

何でもデジタル化しようとするから、ペーパーレスありきなのだろう。プリントからの脱却を模索することが時間の無駄とまでは思わないが、新課程でデジタル教科書も増えてきたし、どうあるべきか考えることは避けられない。

会議資料はベテランがトップのものは今も紙のまま。変える気もないだろうし、言ったところで抵抗されるか、やり方を教えてくれとなるだけ。こんな時代なのに、自ら学ぶ姿勢がない人たちに貴重な時間を与えられるほど暇ではないので。

同世代以下が中心の会議はGoogleの共同編集を使いこなすのが当たり前になり、紙という狭い領域にしばられることもなくなった。A4一枚に収めようとするから、文字が小さくなったり、行間が狭かったり、余白もなく読みにくい。それらから解放されるのはよいことばかり。

デメリットとしては年に数回は発生する停電やネットワーク不調があると何もできなくなること。こればかりはどうにもならない。

長く書くつもりもなかったのに、気がついたらかなりの長文に。前述のように領域の制約がないから削らずに公開してしまおう。