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ウチの法務の取説

■この記事を書いている人


事業会社(小売業)の法務担当です。
法曹資格を保有していますが、諸般の事情で弁護士登録はしていません。
昔は事業部門の担当者として法務にいろいろと相談をする立場でしたが、今は逆に相談を受ける立場になっています。
自分自身や所属部門の仕事の進め方を改革することによって、働きやすい職場の実現や会社の収益向上に貢献したいと思っています。
その改革の手段として、デジタルという切り口で取り組もうとしています。


1.私の仕事について

⑴経歴

小売業の事業会社で法務の仕事をしています。
社会人になって最初に入社したのが小売業の会社で、その後一度転職して現在の勤務先になりましたが、一貫して小売業で仕事をしています。
所属部署としては、順番に店舗勤務(衣料・後方)、店舗開発部門、クレジットカード部門、(転職して)店舗開発部門、総務部門、不動産部門、そして法務部門です。

⑵法務になったいきさつ

私は、今の勤務先の不動産部門で仕事をしながら司法試験に合格し、雇用関係は維持したまま司法修習を終えて法務部門に異動しました。
これは法務担当としてはちょっと特殊なパターンで、法務部門をユーザーとして利用していた人間が、同一企業内で180度立場が変わってサービス提供側にまわったというところが、私なりの問題意識につながっています。

2.職場環境①(人的な要素)

職場環境のうち人的な要素として、業務上私の身近な人たちを紹介します。

⑴上司Kさん(マネジャー)

勤務先企業の法務の責任者です
私とはバックグラウンドやキャラクターはかなり違いますが、小売業の現場経験があること、自部署の組織内での位置づけや役割・機能に関する問題意識、といった部分は共有できていると思います。
私と同じく鉄男です。

⑵同僚Hさん

一般的な法務担当と少し違うのは、法律事務所の事務員の経験がある点です。法務担当としての経験も長い方です。

⑶他部署Kさん

以前私が所属していた部署で一緒に仕事をしていた方です。
面白いこと、難しいこと、色々なことを相談してくれます。
一緒に仕事していたころは一緒に法務に苦しめられた(!?)ので、法務部門のダメなところについても共通認識を持っていると思います。
法務がこうなったらイイよね、というヒントをくれる人です。

⑷他部署Yさん

ある専門資格を保有している方で、勉強になります。
紛争事案の相談から知り合いになりましたが、新規事業などに関する相談もしてくれるようになりました。

3.職場環境②(組織の要素)

職場環境のうち組織の要素を紹介します。

⑴会社組織での法務部門の位置づけ

会社によって法務機能の位置づけはさまざまですが、私の勤務先では総務部門傘下の一部門という位置づけになっています。
人的リソースとしては、私を含めて3名です。

つまり、位置づけや人的リソースの配置からすれば、自社内のリソースだけであまり多くのことを期待されていない、あるいはできないとも思えます。

しかしながら、事業会社ならではの多種多様で雑多な様々な案件が法務部門に集中しており、形式上の位置づけ・リソース配置と、実態として求められている役割・機能が乖離しているように思えます。このあたりの現状認識・問題意識は上司Kさんとも話すことが多いです。

⑵役割・機能など

  • 契約審査(件数ベースでは圧倒的にコレが多い)

  • 交渉支援

  • トラブル対応(顧客、取引先、従業員)

  • 係争

  • コーポレート関係

  • 新規事業アシスト

  • その他

⑶業務の割り振り

完全に属人的です。
仕事に人を割り当てるのではなく、人に仕事がくっついています。
これは所属先固有の問題というよりも、多くの日本企業で見られる問題かもしれませんね。

⑷課題

  • 契約審査の効率化、省力化、スピードアップ

  • 法務としての一貫性の確保

  • 属人化の解消

  • 個人と組織のリソースの相互有効活用


4.デジタルを利用した法務の改革

あまり整理されておらず練り上げられてもいないのですが、フワッと以下のような願望を抱いています。

⑴チマチマ系の仕事の効率を上げたい

法務に限った話ではないと思いますが、重要度も難易度も低いけど、数が多くて結構時間をとられるチマチマした仕事って、ありますよね。

わたしはこうした仕事をチマチマ系と呼んでいますが、このチマチマ系の処理効率を上げていくことで、難易度や重要度の高い仕事によりリソースをつぎ込むことが可能になると思っています。

つまり、チマチマ系の処理効率を上げていくことが、個人でも組織でもパフォーマンス向上のために有効という考え方ですが、チマチマ系のほとんどは個別性が低く、過去の案件のリピートのようなものなので、なんらかのデジタル技術の活用による効率化という方法がなじむように思われます。

何らかのデジタル技術、というのがデジタル難民の自分にはアイデアがないのですが、この度とある研修を受けることになり、その中で何らかのヒントをつかみたいと思っています。

⑵契約審査のスピードと品質を上げたい

※以下の話は、現所属部門の上司Kさん及び同僚Hさんの話ではありません。

事業部門で仕事をしていたときに不満だったのは、契約審査のスピードが遅いということでした。
法務による承認までの所要時間がとにかく長いのです。
そもそも依頼に対する最初の応答までけっこうな時間がかかっていますし、応答があったかと思えば、大した内容でもないのに些末な修正のラリーが延々と続いたり・・・。
下手すると何も応答がないまま放置されていることも・・・。

あるいは、自分が少しずつ法律知識をつけてくると、法務が言っていることのおかしさを感じることが増えてきます。
単純に知識の問題として誤っているという場合もあれば、現実を無視したべき論に終始し法務担当の独善に陥っていることも・・。

法務部門としても色々な事情や理由がありますし、(依頼される立場になってよく分かるのですが)依頼する側に問題がある場合もあります。
とはいえ、それらはいったん捨象して、しくみという観点から原因分析をすると、個人が個人にメール等で依頼・照会をかけて、それに個人で応答するという属人的な仕事の進め方に原因があるような気がしています。

前述のとおり、人に仕事が張り付いている状態なので、個人レベルでの進捗の遅れや案件の問題点を組織として検知し、対応することができません。

組織全体で案件を管理するツールで、個々の業務の進捗と内容を見える化して管理し、結果として契約審査のスピードアップや品質向上につなげられるのではないかと思っています。

⑶先例集を作成したい

法務業務は、人単位でみても組織単位でみても、個別具体的な案件の経験・蓄積がソリューション能力の向上に直結します。

スピードにおいても、品質においても、です。

つまり、個人が経験した案件を組織としての経験としてストックしたり、組織としての案件のストックを個人が参照できる状態を実現することが、個人と組織の両面でソリューション能力を高めます。
いわゆるナレッジ・マネジメントです。
これを実現するためのツールとして、先例集を作成したいと思っています。

⑷DXの掛け声高らかに、でも一方でホワイトボートでスケジュール表示!?

ある日のこと。

社長訓話を読んでいたら、DX、デジタル、といった文字が躍っています。
まあ、最近は社内向けでも株主向けでも、だいたいどこの会社でもデジタルだ、DXだ、書いています。

その一方で、ふと傍らを見ると、個人別に名前を記載したホワイトボードに、パートタイマーの事務員さんが、紙に打ち出した全員の勤務計画を見ながら一つ一つその週のスケジュールをマジックで記載している…😬😬😬

ブレーキ踏みながらアクセル踏んでるような感じですよね。
スケジュール管理ぐらいだったら、大掛かりなシステムとか入れなくても、なんかですぐできそうです(素人の安直な発想?)。
こういうちょっとした職場の不便さを解決してみたいです。

5.他者から見た私

上司Kさんによれば、私は毒蝮三太夫だそうです。
いわく、毒舌だということです。
極めて自分に都合よく善意的に解釈して、権威や権力に屈せず、大勢におもねることなく意見を述べることができる、ということだとしておきます。

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