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経営の鍵は当たり前を徹底する力:ABC人間と凡事徹底の実践


経営のABC:当たり前を徹底する力

日々のビジネスで、時に見落とされがちなのが「当たり前のことをきちんとやる」ことです。新入社員研修に参加するたびに、その重要性を再認識します。長年仕事を続けていると、つい自分がすでにできていると思い込み、基本を軽視しがちです。しかし、成功するためには、謙虚さを保ち、基本を徹底的に実践する「ABCの力」を持つことが重要です。

「ABC人間」とは?

「ABC人間」という言葉をご存知でしょうか。これは「当たり前のことを馬鹿にせず、ちゃんとする人間」という意味です。日本では、ビジネスや日常生活において、基礎や基本的なことをしっかりと行うことが強調されます。特に、新入社員や若手社員に対して、基本を学び、地道に取り組む姿勢が求められます。

ビジネスの現場でも、しっかりと挨拶をする、報連相(報告・連絡・相談)を怠らない、時間を守るといった基本が非常に重要です。これらは、一見すると当たり前に見えますが、実際に毎日徹底できている人は少なく、継続して実践することが難しいものです。

鍵山相談役の「掃除経営」

この「ABC人間」の考え方を思い起こさせる人物が、株式会社イエローハットの創業者、鍵山秀三郎相談役です。彼は「掃除で経営を立て直した」と言われるほど、掃除という一見地味で当たり前の行為に経営の本質を見出した人物です。鍵山氏は、50年以上前から自ら率先してトイレ掃除を続け、荒んだ社員の心に火をつけ、会社の雰囲気を変えました。

鍵山氏の教えの一つに「凡事徹底」という言葉があります。これは、**「当たり前のことを徹底的にやれば、それが非凡になる」**という意味です。鍵山氏の掃除を通じた経営哲学は、まさに「ABC人間」の極みと言えるでしょう。当たり前のことをバカにせず、ひたすら続けることで、それが組織全体に大きな影響を与えるのです。

凡事徹底の実践

「凡事徹底」とは、「誰もがやるべきだと思っていることを、誰もができないほど徹底的に行う」という意味です。例えば、掃除を毎日やることは誰でもできると思われがちですが、これを何十年も続けるのは非常に難しいことです。鍵山氏は、自ら掃除を続けることで社員の心に影響を与え、会社全体を変えていったのです。

掃除という行為は、小さなことに見えるかもしれません。しかし、それを通じて「継続する力」や「謙虚さ」を学ぶことができます。そして、掃除をすること自体が組織文化の形成にもつながり、社員一人一人の意識を変えていくのです。鍵山氏の事例は、経営者としての謙虚な姿勢や、地道な努力がどれだけ大きな成果をもたらすかを教えてくれます。

継続の力

ビジネスの現場では、短期間での成果や効率が求められることが多いですが、実際の成功は「継続する力」によるものです。何かを始めることは誰でもできますが、それを長期間にわたって続けることができる人は少ないです。この「継続する力」は、日々の業務においても非常に重要であり、当たり前のことを地道に続けることで、最終的に大きな成果に結びつきます。

また、鍵山氏の実践した掃除は、単に物理的な清潔さを保つだけでなく、心の掃除にも通じます。経営者が率先して掃除を行うことで、社員の意識が変わり、職場全体の空気が澄んでいくのです。これは、社員の士気向上やチームワークの強化にもつながります。

「初心に戻る」ことの重要性

新入社員研修の場では、ベテラン社員も自分の原点を見つめ直す機会が提供されます。若手社員に教える立場に立つと、自分が当たり前と思っていることを再確認する良い機会となります。特に、長年の経験を積んだ社員ほど「初心に戻る」ことの重要性を感じるでしょう。ベテランになればなるほど、当たり前のことができなくなることが多いからです。

私自身も、「謙虚に」という気持ちを大切にしようと思っていても、時折「天狗の鼻」が伸びてしまうことがあります。そんな時に、「ABC人間」という言葉を思い出し、自分を振り返るようにしています。

まとめ

経営において、「当たり前のことを馬鹿にせず、ちゃんとやる」という「ABC」は非常に重要です。鍵山相談役の事例や「凡事徹底」の教えを通じて、私たちは日々のビジネスの中で、小さなことを継続する力の大切さを再認識します。

「初心に戻る」という姿勢を持ち、常に「ABC人間」であり続けることで、個人としても組織としても、持続的な成長が可能になります。継続する力が、やがて非凡な結果を生む。そのことを忘れず、日々の業務に励んでいきたいものです。

(この記事は、2016年4月5日にオフィスKojoのブログ「伝刻の詞」にエントリーしたものを再編集したものです。)

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