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上杉鷹山公と山本五十六元帥に学ぶ:日本における指導哲学と教育の伝統


上杉鷹山公と山本五十六元帥に学ぶ指導の本質

「してみせて 言って聞かせて させてみる」という言葉をご存知でしょうか。このフレーズを聞いて、山本五十六元帥の有名な名言「やってみせ 言って聞かせ させてみせ 褒めてやらねば人は動かじ」と似ていると感じた方もいるかもしれません。実は、この「してみせて 言って聞かせて させてみる」という言葉は、米沢藩9代藩主、上杉鷹山公によるものとされています。

上杉鷹山公は江戸時代中期の藩主であり、藩政改革を成功させた名君として広く知られています。彼のリーダーシップスタイルは、実践を通じて部下を育てるというもので、この言葉はその指導哲学を端的に表現しています。山本五十六元帥は、この鷹山公の言葉にインスピレーションを受け、改良を加えたものが「やってみせ…」の名言に繋がったという説もあります。

山本五十六元帥のリーダーシップ

山本五十六元帥の言葉は、戦時中の日本においてリーダーシップの教科書とも言えるものでした。彼の言葉の中には、指導者としての役割が明確に示されています。まず自分自身が模範を示し、それを部下に理解させ、次に部下に実際に行動させる。そして、行動した結果を評価し、褒めることで部下のモチベーションを高めるというプロセスです。このプロセスは、現代のリーダーシップ理論においても重要視されています。

山本元帥の指導方法は、単なる命令と管理に終わるものではなく、部下の成長を促進することを重視しています。彼は、戦場という極限状態であっても、部下が自ら考え、行動する力を育てることが最も重要だと考えていました。これは、上杉鷹山公の「してみせて…」という言葉が示す、実践を通じた教育の重要性と深く結びついています。

福沢諭吉の教育哲学

さらに、日本の教育思想には、福沢諭吉が記した「学問のすゝめ」にも通じる部分があります。福沢諭吉は、「人は生まれながらにして貴賎上下の別はないけれど、ただ学問を勤めて物事をよく知るものは貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるのだ」と述べています。この言葉は、教育の重要性と、その結果としての社会的な地位の違いを明確に示しています。福沢諭吉は、教育を通じて個人が社会的に成功するための道筋を示したのです。

この思想は、上杉鷹山公や山本五十六元帥の指導哲学とも共通する部分があります。すなわち、教育や指導を通じて個人の能力を引き出し、その人が自ら考え、行動できるようになることが最も重要であるという考え方です。

日本の教育の伝統

日本の教育に対する情熱は、さらに古くは聖徳太子にまで遡ることができます。聖徳太子は、「三経義疏」という仏教経典の注釈書を著し、これを倫理教育の教科書として使用しました。この書物は、推古天皇に対する講義で使われたとされ、古代日本における教育の重要性を示す証拠となっています。聖徳太子の時代から、すでに日本では教育が社会的に非常に重要視されていたことがわかります。

まとめ

上杉鷹山公の「してみせて 言って聞かせて させてみる」という言葉は、現代においてもそのまま通用する普遍的な指導哲学を表しています。この言葉が、山本五十六元帥の「やってみせ…」という名言に受け継がれ、さらに現代のリーダーシップ理論に影響を与え続けていることは、日本の教育や指導に対する長い伝統と、その重要性を物語っています。

また、福沢諭吉の教育に対する考え方や、聖徳太子の倫理教育に至るまで、日本人が古くから教育を重視し、その中で個々の成長を支援してきたことがうかがえます。現代においても、このような教育と指導の哲学は、部下の成長を促進し、組織全体の成果を上げるために重要な要素となるでしょう。

(この記事は、2016年8月18日にオフィスKojoのブログ「伝刻の詞」にエントリーしたものを再編集したものです。)


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