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カークパトリックモデルで研修効果を測定する:4段階評価法の徹底解説


カークパトリックモデル:教育評価の基本フレームワーク

研修や教育プログラムの効果を測定する際、評価の指標として広く用いられているのが「カークパトリックモデル:4段階評価法」です。研修の担当者は、研修の効果をどうやって測定するかを求められることが多いですが、効果的な測定のためには、このカークパトリックモデルの理解が欠かせません。今回は、このモデルの概要と、各レベルで評価すべきポイントについて詳しく解説します。

カークパトリックモデルの背景

カークパトリックモデルは、1954年にアメリカの経営学者ドナルド・カークパトリックが提唱した教育評価モデルです。彼が自身の経営学コースの評価を行う際に考案したこのモデルは、学習者がどのように感じたか、学んだ内容をどのように実践したか、そして最終的に組織にどのような成果をもたらしたかという視点から、教育の効果を評価するためのフレームワークを提供しています。

カークパトリックモデルの4段階評価法

カークパトリックモデルは、教育や研修の評価を4つの段階で行うことを提案しています。各レベルで評価すべき内容と、その方法について見ていきましょう。

レベル1(反応):参加者の反応を評価する

最初のレベルは、研修や教育に対する参加者の反応を評価することです。具体的には、参加者がプログラムをどのように感じたか、満足度はどの程度だったかを調査します。この段階でよく用いられる方法が研修後のアンケートです。アンケートでは、プログラムの内容、進行、講師の評価などについて意見を収集し、参加者の満足度を測定します。

カークパトリックも指摘しているように、このレベルの評価は顧客満足度を測る重要な指標です。しかし、これだけで研修の効果を完全に把握することはできません。したがって、他のレベルの評価と組み合わせて総合的な効果測定を行う必要があります。

レベル2(学習):学習内容の定着度を評価する

次に評価するのは、参加者が研修や教育を通じてどのような知識やスキルを習得したかです。この段階では、事後テストやパフォーマンステストを用いて、参加者の学習成果を評価します。たとえば、技術研修では、実技試験を行い、参加者が新しい技術を正しく使いこなせるかを確認します。

このレベルの評価は、研修が教育的な目的を果たしているかどうかを判断する上で重要です。参加者がどれだけの知識を得たか、どれだけのスキルを習得したかを測定することで、プログラムの有効性を具体的に評価することができます。

レベル3(行動):職場での行動変容を評価する

レベル3では、研修や教育で学んだ内容が、実際に職場でどのように生かされているかを評価します。学習者が職場に戻った後に、どのような行動変容が見られるかを観察し、フォローアップ調査や上長へのアンケートなどを通じて評価します。

この段階の評価は、学んだ知識やスキルが実際に業務に適用されているかを確認するために不可欠です。たとえば、新しい営業手法を学んだ社員が、それを実際の営業活動にどのように活用しているかを観察し、その結果を評価します。行動変容が見られれば、研修が実際の業務に効果をもたらしていると判断できます。

レベル4(結果):組織への影響を評価する

最後のレベルでは、研修や教育が組織全体にどのような効果をもたらしたかを評価します。具体的には、プログラムが組織の目標達成にどのように貢献したか、ROI(投資対効果)を含めた成果を測定します。

この評価には、効果測定チェックリストや具体的な業績指標を用います。たとえば、研修を受けた社員が業務の効率をどの程度改善したか、売上にどのような影響を与えたか、またはコスト削減にどれだけ貢献したかを測定することで、研修の最終的な効果を評価します。このレベルの評価は、組織が研修や教育に投資する価値を判断するために非常に重要です。

カークパトリックモデルの活用

カークパトリックモデルは、研修や教育プログラムの効果を多角的に評価するための強力なツールです。このモデルを活用することで、単に参加者の反応を測定するだけでなく、学習の定着度、行動変容、さらには組織全体への影響までを包括的に評価することができます。

特に、研修担当者は、このモデルを基に評価指標を設定し、効果的な研修プログラムを設計することが求められます。カークパトリックモデルを取り入れることで、研修の成果をより正確に把握し、次回以降のプログラム改善に役立てることができます。

まとめ

カークパトリックモデルは、研修や教育プログラムの評価を行う際の基本的かつ重要なフレームワークです。4つのレベルで構成されるこのモデルを理解し、実際の研修評価に活用することで、教育の効果を多角的に測定し、組織の成長に寄与することができます。次回、研修効果の測定が求められた際には、このカークパトリックモデルを参考にし、総合的な評価を行ってみてください。

(この記事は、2019年12月20日にオフィスKojoのメルマガ「KOJO井戸端会議」に掲載したものを再編集したものです。)

※この記事は、弊社のメルマガ「KOJO井戸端会議」の過去の記事からピックアップし、note用に再編集したものです。
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