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あの頃の詩

もう何十年も前の

詩を書き始めたころは

恋の詩ばかりだった。

ただ自分の思いを

書きなぐっただけのものに

“詩です感”をたっぷり出して

読めば

10代が書いたことは

推測されてしまうような

大人びた表現を

使おうとしているのが

時折わかる程度の

世間知らずが滲みでた

甘くせつないものだった。


その頃のノートは

何年か前に破り捨てたから

残ってはいないが

それでよかったと思っている。

いま読んでも

ただの想い出でしかない“もの”。

それ以上に

気恥ずかしさでいっぱいになる。

処分する際に

幾らかに目を通したはずなのに

ノートに書いた詩を

ただの1つでさえ思いだせない。

それでも

書きながらの感情感覚だけが

驚くほど残っている。

かつて通りすぎた

青春期がそうさせてしまうのか。

🍀

気恥ずかしさでいっぱいの

あの頃の詩は

あの頃で終わり

二度と甦ることはない。

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