小説: ペトリコールの共鳴 ㉑
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第二十一話 甘え上手のカリスマ ⑥
来客が去ったあとの静けさを、囁くキンクマの声が
ゆっくりゆっくり俺の耳へ。
「浮所さんとの話を聞いてた。
僕の未熟な考えを言っていいかな?」
俺は返事をしなかった、キンクマは続けて話すだろうから。
「被害者、3人も死んじゃったかもしれないんだね。多分ね、愛羅は心が死んじゃってたんだよ。
昔、もっと昔から」
「どうしてそう思う?」
「なんか、動画とか観てるとね、愛羅みたいに小さな頃から父親に嫌なことをされた人の証言もあったり