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Zone Count(その2): カウントのばらつき

注記:「Zone」は単に「区間」という意味です。AT機などで言う、当たりやすい区間という意味のゾーンとは違います。



はじめに

前に「パチスロの波を理論で読む:Zone Count」という記事を公開しました。(以下、「前回の記事」と書きます。)今回はその続きです。

この記事ではカウントのばらつきについて考察したいと思います。

※ あるZoneでのボーナス当選回数を、そのZoneのカウントと言うことにします。

概要

前回の記事の概略


前回の記事で、ボーナスに当選する確率がそれぞれ25%になるZone1~4という区間を定義しました。
また、当選確率が10%となる遅いゲーム数のZone5という区間も定義しました。(図1)

各Zoneが何ゲームから何ゲームまでの区間になるかはボーナス確率によって変わり、理論的な計算で求めることができます。

※  実際の機種の例はZone表一覧にある無料のファイルをご参照下さい。

図1.   Zone1~5の定義


まず、実践を開始する前にどの設定でカウントをするかを決めます。これを基準設定と呼びます。(複数の基準設定でカウントすることは、より望ましいです。)

そして、基準設定に対応したZone表を参照しながら、ボーナスに当選するたびに、どのZoneで当選したかをカチカチ君などを使ってカウントしていきます。これをZone Count(ゾーンカウント)と呼びます。

この記事の目的


さて、基準設定と実機の設定が一致しているとき、各Zoneでの当選回数(カウント)の期待値は、Zone1~4がボーナス回数の1/4、Zone5が1/10になります。

例えば、ボーナスを20回引いた場合を考えると、Zone1~4のカウントの期待値はそれぞれ5回になり、Zone5は2回になります。

しかし実際には、期待値どおりにならないことが少なくありません。

※ 前回の記事では「期待値」を「理論値」と書いていました。この記事は確率論的な話になりますので、「期待値」と書くことにします。

この記事では、何パーセントの確率で期待値からどれくらい外れるか、を計算した結果を示します。

その結果として、Zone Countの有効性がどれほどのものか、が分かりますので、「やってみようか」or「やらないよ」の判断に使って頂ければと思います。

また、「この程度のバラツキは発生し得る」ということを理解し受け入れることによって、いわゆる「ギャンブラーの誤謬」から逃れることができます。


なお、以下の計算は、Zone Countの基準設定と実機の設定が一致していることを前提とします。(一致していない場合については、この記事の最後で触れます。)

また、ボーナス確率の違いはZoneの区間の違いに取り込まれていますので、以下の計算はボーナス確率に依存せず成り立ちます。

カウントとその確率

Zone1~4の計算結果

Zone1~4のカウントとその確率を計算した結果を下図に示します。ボーナス回数別に色分けしています。
横軸はカウント、縦軸はそのカウントになる確率を示しています。

この図は、Zone1~4の中のどれかひとつのZoneについてのものになります。(4つのZoneはすべて同じ図になります。)

図2a.  ボーナス回数別のカウントとその確率  (計算値) ※Zone1~4


グラフの見方ですが、例えばボーナス回数が8回の場合は、一番左の赤いグラフを見ます。

横軸が2のとき、縦軸の値は31%になっています。つまり、ボーナス8回のとき、Zone1~4のカウントが2になる確率は31%ということになります。

ところで、赤いグラフのピークはカウント2の位置にあります。そして、ボーナス8回のとき、カウントの期待値は2です。

つまり、期待値と同じカウントになる確率が最も高いことを表しています。

しかし、期待値から外れたカウントになる確率も、それなりに高い値を示しています

他のボーナス回数のグラフについても同様のことが言えます。

Zone5の計算結果

次に、Zone5のカウントとその確率を計算した結果を下図に示します。

図2b.  ボーナス回数別のカウントとその確率  (計算値) ※Zone5


説明はZone1~4の場合と同様ですので割愛します。

補足ですが、 ボーナス回数が増えるにつれてばらつきは拡大しています。しかし、期待値に対するばらつきの比率は、実は、だんだん小さくなっています。

計算式

参考のために、計算式を書いたpdfファイルを添付します。

カウントだけでなく、例えばボーナス確率1/140の機種で1000ゲーム回したときに10回当たる確率を求めたい、というような場合にも同じ式を使います。

興味のある方はご参照下さい。



期待値からの差の発生確率

計算結果

図2に示した結果を使って、カウントと期待値の差の発生確率を計算することができます。

計算方法ですが、例えばカウントと期待値の差が2以下になる確率は、差が0になる確率+差が1になる確率+差が2になる確率、で計算できます。

なお、差は絶対値とします。つまり、”2だけ多い”、”2だけ少ない”、はどちらも"差は2"とします。

では、計算結果を下図に示します。ボーナス回数別に色分けしています。

図3a.  カウントと期待値の差が~以下になる確率 ※Zone1~4
図3b.   カウントと期待値の差が~以下になる確率 ※Zone5


グラフの見方ですが、例えば図3bでボーナス回数が10回の場合は、一番左の赤いグラフを見ます。

赤いグラフの横軸が2のとき縦軸の値は99%になっています(図からは読み取りにくいですが・・)。

つまり、ボーナス10回のとき、Zone5のカウントと期待値の差が2以下になる確率は99%ということになります。

検算

念のためですが、考え方や計算に間違いがないかを確認するために、自作の簡易シミュレータを使ってシミュレーションを実施しました。
ボーナスを100回引くまでを1セットとし、1000セット実施しました。

凡例の"sim"が付いているものがシミュレーション結果で、"sim"が付いていないものが計算結果です。数字はボーナス回数です。

図3c  シミュレーション結果と計算結果の比較

見にくいですが、シミュレーション結果と計算結果はきれいに一致しています。

現実解の選択

さて、ここで頭を悩ませる問題に直面します。
それは、確率は何%あれば実用的か?ということです。

筆者は、現実的な解として、確率が80%あれば実用的、としてよいのではないかと考えています。

(変な例えですが、占いが5回に4回の頻度(=80%)で当たるなら実用的と言ってよいだろう、という感じです。)

この点については意見が分かれると思います。95%と言う人もいれば、75%と言う人もいるかもしれません。それは個々人の判断に委ねたいと思います。

では、80%の確率で期待値とカウントの差がいくつ以下になるかを図3のデータから求めてみましょう。結果を図4に示します。

※ 80%以外の場合も図3から読み取ることができます。

図の横軸には数字を2段で書いています。上段の黒字はボーナス回数、下段の青字はそのボーナス回数でのカウントの期待値です。


図4a.  80%の確率で、カウントと期待値の差は赤い数字以内に収まる  ※Zone1~4


図4b.  80%の確率で、カウントと期待値の差は赤い数字以内に収まる  ※Zone5


グラフの見方ですが、例えば図4bを見ると、横軸のボーナス回数が40の時に、縦軸の値は1.9になっています。

つまり、ボーナス40回のとき、80%の確率でZone5のカウントと期待値の差は1.9以下になる、ということになります。

実践では以下のざっくりとした指針を頭に入れておくとよいでしょう。

~ざっくりとした指針~

  • Zone1~4は、ボーナス40回までは差が3以下に収まる。

  • Zone5は、ボーナス40回までは差が2以下、ボーナス80回までは差が3以下に収まる。

  • ただし、5回の実践に1回の頻度でそれ以上になる。


補足

3つ目の指針に関連してですが、Zone1~4はそれぞれが1回の実践と数えられますから、合計で4回の実践になります。Zone1~4の少なくとも1つが図4aより大きくなる確率は約60%になります。

筆者の実践経験でも、Zone1~4の中のどれかが図4aより大きくなることは少なくありません。それに対して、Zone5は図4b程度に収まることが多いです。

この理由から、Zone1~4は大まかに見て、Zone5は厳しく見ることを推奨します。


Zone Countを使った設定推測

以上の計算は、Zone Countの基準設定と実機の設定が一致していることを前提としています。

逆に言えば、カウントと期待値の差が図4以上に大きくなった場合には、実機の設定が基準設定とは違う可能性が高くなります。

その場合は基準設定を何にすれば辻褄が合うかを見てください。これがZone Countを使った設定推測になります。

※ ちなみに筆者は、「最低限この設定なら打ち続ける」という設定を基準設定にしていますので、Zone5のカウントが上記の指針より大きくなった時点で原則として台を捨てることにしています。ただし、他の設定推測要素が高設定を強く示唆している場合は少し様子を見ます。

Zone Countは有効か?

以上の結果を見てZone Countの有効性をどう思われるでしょうか ?

それは個々人のご判断に委ねたいと思います。

もちろん筆者は有効性を実感しています。
カチカチ君を忘れたりしてZone Countができない時は、ゲームの経緯を俯瞰(ふかん)できない、また、近い将来の展開に心構えができないと感じます。その結果、押し引きの判断に明確な根拠を持てない、と感じます。
あくまでご参考として。

まとめ

この記事では、Zone Countのカウントのばらつきについて考察しました。

具体的には、期待値とカウントの差の発生確率を計算で求めました。

そして、発生確率80%を実用性の目途として、カウントが期待値から最大いくつずれるかを求めました。

Zone Countを「やってみようか」or「やらないよ」の判断に、今回の記事が参考になれば幸いです。

(「やらないよ」が大半な気がする・・・。めげないぞ~・・・。)

Zone Countをやらない方にもZone表は有用かと思います。無料のものもありますので、是非ご覧下さい。
Zone表一覧

次回: Zone Count(3) : シミュレーション結果


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