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世界は言葉でできている ~僕が好きだった番組~

突然だが、皆さんはこの番組を知っているだろうか。僕が今まで見てきたテレビ番組の中で特に印象に残っているもので、終わってしまった今でも、いつか復活しないものかと願っている。

簡単に番組の概要を説明しよう。まず偉人や有名人の残した名言が、一部を空欄にした状態で紹介される。出演者はその空欄を予測するのではなく、その言葉を超える名言を新たに生み出す、というのが基本的な流れだ。男女50人ずつ100人が一人一点で評価し、偉人の言葉の点数より出演者の点数が高ければ名言超えとなる。

例えば、こんな感じだ。

男は『     』を願う。女は『     』を願う。 

言葉の主は、19C頃のイギリスの作家、オスカーワイルド。

これに対し、番組中では、こんな名言が生まれる。

男は女の幸せを願う。女は二人の幸せを願う。(谷中敦)
男は彼方の成功を願う。女は足元の成功を願う。(若林正恭)

で、オスカーワイルドが残した言葉はというと、

男は、愛する女の最初の男になることを願う。女は、愛する男の最後の女になることを願う。

どうだろう。皆さんはどれが好きだっただろうか。このように、様々な視点から様々な回答が繰り出され、そのどれもが考えさせられるものだった。

芸人やら俳優やらが、軽々しく偉人の名言を超えたなんて決めるな、というような批判もあったが、価値観とはアップデートされるもので、時代に合った名言があるわけだし、別にこの番組でそう評価されたからと言って偉人が貶されるわけではない。司会者に多少不快感があったり、採点者が浅はかだと感じることもあったが、僕は十二分にこの番組を楽しんでいた。

残念ながら、深夜枠で始まり、見事ゴールデン進出を果たすもわずか5回で打ち切りになってしまったこの番組では、そう多く名言が生まれることはなかった。しかし、中には本当に素晴らしいと感じるものもあった。書籍も出ているので、気になる人はぜひ読んでいただきたい。

さて、今回は僕が番組内で生まれた名言の中で、一番好きなものを紹介しようと思う。

原題は瀬戸内寂聴さんの名言である。

『恋を得たことのない人』は不幸である。それにもまして、『恋を失ったことのない人』はもっと不幸である。

恋多き女性といわれた彼女らしい名言だが、これに対し、カリスマ国語教師、「いつやるか、いまでしょ」でもおなじみの林修先生の言葉が、僕の胸を貫いた。

『自分に自信のない人』は不幸である。それにもまして、『自分自身のない人』はもっと不幸である。

国語教師らしい言葉遊びも取り入れつつ、本質を突く金言だと思う。

自信がないのは確かに不幸だろう。何をやるにも一歩踏み出せず、その結果大事なものを失うかもしれない。チャレンジすれば成功したのに、それができないかもしれない。

しかし、自身がない人は、そう思うこともなければ、自分の意志で何かを決めるということができない。人についていくだけ、為されるがまま。そんなの、幸福であるとは言えないだろう。

自身と自信を持つこと。簡単なようで難しいこのことを、僕は意識して生活していきたい。

皆さんも暇なとき、ぜひ好きな言葉を探してみてほしい。もしかすると、人生を変える一言に、出逢えるかもしれない。

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