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#34 the monogatary | 君だけ

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あぁ、きっと私はこの瞬間の為に…。

また、この季節がやってきた。夏合宿。高校球児にとって、その数日間は地獄である。ただでさえ、日々の練習で自らを追い込む日々。そのような中での、夏合宿。地獄である。


高校球児にとって、大切なことは幾つか存在する。その1つが食トレである。心技体。身体の健康は、己の技術、そしてポジティブシンキングへと繋がる。ゆえに。私たちは食トレをするのである。

ゆえに。メニューは必然的にバイキング。それぞれが、自らの胃と相談しつつ、バランス良く、栄養を摂取していく。辛い日々。それでも…。

★★★

人の数だけ、人生がある。昔の私は、苦しい経験をすればする程、人は成長出来るのだと信じていた。あぁ、私はどうしてこんなにも愚かなのだろう。

物事には限度が存在する。私はとっくに限界だった。私は己を偽り続けた。たとえその行いの積み重ねが、自らを破滅の道へと誘うのだと分かっていたとしても。


悩みからの脱却は簡単である。ただ、自らを追い込めば良い。

カーネギー

『道は開ける』。この本を通して得た知識を、私は盲目的に、信じ続けた。違う道があったのかもしれない。それでも。私は無我夢中で歩み続けた。