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#32 the monogatary | 負けないよ

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今年もこの季節がやってきた。サウナの季節である。日々、野球に勤しむ中でのサウナ。至福の一時である。

竜太「光、早く行こうぜ!」

うちのショートストップ、竜太が高らかに宣言する。あぁ、きっとボクはこの為に、毎日、キツイ練習に励んでいたのだろう。  

ボク「オーキードーキー!」

その返事と共に、私たちは天国へと誘われる。


湯けむり。私たちのスパである。神奈川で暮らす私たちにとって、綱島にあるこの施設はまさにオアシス。日々の疲れを癒し、明日への活力を得る、絶好の機会である。幼なじみの私たちは、このリゾートの常連である。

竜太「しっかし、ここは変わらないな!いつ来ても、細かいところまで綺麗で…。オーナーの愛がひしひしと感じられる、素晴らしい場所だ!」

ボク「そうだね!ニ○ティのランキングでも、首位だったみたいだし。サウナブームは未だ健在だ!」

他愛もない会話。それでも。この些細な一時が心地良い。この時間が、一生続けば良いのにと、心底思う。こういう小さな幸福の積み重ねが、きっと私たちを大人にしていくのだろう。

竜太「さてさて、今日は果たして何セットになるのか…。まあ、日頃筋トレで汗水かいてる俺たちにとって、サウナなんて楽勝よ!」

ボク「何事もバランスだよ、竜太。でも…。久しぶりのスパだし、少しぐらい無理しても良いよね?」

竜太「もちろん!まあ、お互い程々に頑張ろう!」

そんな大して効果の無い口約束を交わし、ボク達はエデンへと誘われる。果たして、勝利の女神はどちらに微笑むのだろうか…?