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カスタムしがちなコーヒー

ニューヨークのカフェで働くと大変だ。一杯のカフェラテに対して、ホールミルク(日本で一般的にな普通の牛乳)かソイミルクかオーツミルク、アーモンドミルクに低脂肪乳(脂肪率2パーセント)の選択肢。それから、アーモンドシロップやバニラシロップ、シナモンやパンプキンスパイスのトッピングの可能性もあるだろう。人によって、フレイバーシロップを何回ポンプするかも指定してくる。なお、客はこれを声を息継ぎせずに注文してくるので、たまったもんではない。

生まれた時からスターバックスのカスタマイズが当たり前の世代とは違い、店が最高を最適の状態で提供するのがプロフェッショナルと思っている私には、カスタマイズはこちらがわがままを言っているような気がして遠慮してしまう。

コーヒーのカスタマイズ文化は周知のことだが、レストランに行けば肉の焼き加減や卵の焼き加減までカスタマイズ。出てきた料理に塩胡椒、ケチャップやスパイスの調味料をかけるのが当たり前なのも、一種のカスタマイズムかもしれない。ニューヨーカーが大好きなサラダバーでは、野菜とタンパク質の選択肢は必須だ。もちろんビーガンにも配慮しているので、豆腐や野菜のみの選択もできる。

レストランやカフェにて、出されたものが一番美味しい状態だと疑わない日本と、食べたい味を決めるのは店でなく自分だというスタンスの違いも面白いと思った。これは国民性や文化によるものか、世代によるものか、よく分からない。アメリカにいながら「これに慣れてしまうまい!」と抵抗する気持ちもあり、カフェの注文はブラックコーヒーかラテに落ち着く。あとはカスタマイズでオーダーするのがめんどくさいのも少し。

正直、そこまでのこだわりがある人に対しては尊敬すらも湧いてくる。何が人をそこまでさせるんだろう。コーヒーひとつ、されどコーヒー。何の結論も出ないが、ニューヨークのカフェで働きたくないことだけは確信する。

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