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言オリ×フィンランド語、あと「カレリアの丘」

ふと見つけたこの問題。

実は少しだけフィンランド語をかじっているので、問題の趣旨を無視して解ける。

だけど、そんな知識なくてもパズルみたいに楽しく解ける。

ということで、解く。

以下ネタバレ注意。

①問題の趣旨に沿って解く

出題されたフィンランド語文は7つ。

Ette naura.
Seisot.
Uimme.
Nauran.
En seiso.
Nauratte.
Emme seiso.

対して日本語文も7つ。

私は笑っている
あなた方は笑っている
あなた方は笑っていない
あなたは立っている
私たちは立っていない
私は立っていない
私たちは泳いでいる

とりあえず、日本語文の「主語」と「動詞」と「否定の有無」に着目しましょう。

【主語】
「私は」(一人称単数)→2個
「私たちは」(一人称複数)→2個
「あなたは」(二人称単数)→1個 
「あなた方は」(二人称複数)→2個

【動詞】
「笑う」→3個
「立つ」→3個
「泳ぐ」→1個

【否定】
否定文→3個
肯定文→4個

フィンランド語の方は……?

nauraみたいなやつ→3個
seisoみたいなやつ→3個
uimme→1個なので「泳ぐ」確定

2単語の文→否定だろうなぁ…、ついでにEから始まる単語が英語のnotみたいなやつなんだろうなぁ…
1単語の文→肯定だろうなぁ…

とすると、nauraみたいな文は否定が1つ、seisoみたいな文は否定が2つ。

日本語文を見ると、「笑う」は否定が1つ、「立つ」は否定が2つ。

よって、
naura...=「笑う」
seiso...=「立つ」

ここまでくるとあと一息。

フィンランド語って、語尾の変化で人称が変わるんだろうなぁ。という推理(実際そう)

それから、否定文の時は否定の語が人称変化して、動詞は原形みたいな感じ(正確には現在語幹とかいうそうですが……)になるんだろうなという推理(実際そう)

英語もそうだよね、三人称単数現在形のsはdoesn'tのあとは原形だし。

Ette naura.(tteは笑っていない)
Seisot. (tは立っている)
Uimme. (mmeは泳いでいる)
Nauran. (nは笑っている)
En seiso. (nは立っていない)
Nauratte. (tteは笑っている)
Emme seiso. (mmeは立っていない)

太字にしたとこが、人称を表すやつだろうなぁ〜。そしたらEが否定を表すもので、動詞はもう暴いた……

日本語文と見比べると、mme=私たち、tte=あなた方、n=私だと分かりますね。

これで(a)は解けた。

(b)Seisomme.→立っている+私たち(肯定文)だから……

(c)あなたは泳いでいない→泳ぐui(否定なので、文頭にEt

②問題の趣旨を無視して解く

をやろうと思ったが、上で書いたことを繰り返すことになってしまう……

フィンランド語の動詞やら否定の語やらは人称によって活用する(語尾の形が違う)ので、それをつらつらと書いておきます。

ちなみに、語尾でわかる!という理由で、一人称とか二人称みたいなのは主語なしでいけるそうですよ。(さっきの文に英語のyouみたいな単語がなかった理由)

seisoa「立つ」
現在語幹はseisoで、語尾がaという、スタンダードな活用をする動詞。
(左単数、右複数で書いてます)
一人称 seison  seisomme
二人称 seisot   seisotte
三人称 seisoo  seisovat

uida「泳ぐ」
こいつは特殊。daで終わってるやつはdaを引っこ抜いたuiが現在語幹。
一人称 uin uimme
二人称 uit uitte
三人称 ui uivat

nauraa「笑う」
これも普通タイプ。naura+語尾。ナウル好きの人こと、ナウラーみたい。
一人称 nauran nauramme
二人称 naurat  nauratte
三人称 nauraa nauravat

否定の語
一人称 en emme
二人称 et  ette
三人称 ei  eivät

なんか謎の点々がついたやつキター!と思われたかもしれませんが、まあ少しエが混ざったような発音が変わったaです。(ドイツ語やってる人にはお馴染みのウムラウトですね)

ところで、フィンランド語とかトルコ語とかそのお仲間の言語には母音調和という概念がありまして、発音の組み合わせによって使える文字や発音の決まりがあります。恐らくここのeivätvatではないのはそれが絡むのではないかなとか思います。が、本題から逸れるので気になる人はググりましょう。

というような知識と、否定文は否定のE〜+現在語幹で作ると知っていれば、そのまま訳せますね。という話でした。

「カレリアの丘」

関係のあるような無いような話。
「カレリアの丘」というフィンランド民謡の歌詞とメロディが美しくて好き。

ウクライナ侵攻を見ておりますと、フィンランドの冬戦争やら継続戦争やらを思い出します。小国が大国に耐えきった話とか、シモヘイヘとかが出てくる話とか、そんな文脈で有名ですね。

そして、第二次世界大戦後にフィンランドからソ連に割譲された、カレリア。

今はカレリア共和国としてロシアの一部となっています。

なんか、そのカレリア共和国の国歌の一部がカレリアの丘のメロディの一部なのもエモい。国が変わっても文化は変わらないことを表しているのか……

さて、そんなカレリアの丘からワンフレーズ。

Minä seisoin vaaroilla paljain päin,
Missä Karjalan kauniin eessäni näin.
https://en.wikipedia.org/wiki/Karjalan_kunnailla

私は、山の頂に裸足で立った。
そして、そこでは、カレリアの美しい景色が眼前に広がっていた。

とでも訳すんですかね……(違ってたらごめんなさい)

seisonが出てきてますね〜!途中に入ってるiはタイポではなくて、過去を表します。

フィンランド、いつか行ってみたいです。

それでは、また。

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