御剣怜侍は平成で終わらないメロい男『逆転検事1&2 御剣セレクション』感想
逆転裁判シリーズのスピンオフ作品である『逆転検事1&2 御剣セレクション 』を初クリアしました。
推理アドベンチャーゲームの傑作と名高い本作ですが、期待を裏切られるどころかたとえ令和新作だとしても名作と評される出来栄えでした。
なによりも主人公である御剣怜侍が追い詰められても涼しい顔で食らいつき立ち上がる姿があまりに凛々しく健気であんまりにもかっこよくて、何度も泣かされた。かっこよ泣き。
本作はネタバレが楽しみを損なうタイプのゲームですので、ネタバレ無し&有りで感想を分けて書いていきたいと思います。
また逆転裁判1~6と大逆転裁判1・2をプレイ済みです。ネタバレ有りの感想では軽く上記作品に触れます。犯人や確信に関わるネタバレはしません。
ネタバレ無し感想
簡単な紹介
簡単なあらすじ
検事局きっての天才検事・御剣怜侍。とある事件で自分と知人が理不尽にも容疑者になりかけた時、その明晰な頭脳で切り抜ける!彼の真実の追求にかける情熱を描いた推理アドベンチャーゲーム。
プレイ時間:計44時間程度(逆転検事1 約20時間、逆転検事2 約24時間)
シナリオ面:面白すぎ、圧巻。推理ゲー好きにはおすすめ。推理の難易度はそこそこあるが、ゲームオーバーによるペナルティが無いに等しいため虱潰しでプレイできる。また逆転裁判シリーズをある程度履修している必要がある。
システム面:ほぼ満足。ADVオタクとしてはバッグログからシーンを遡ることができたらよかった。
以下は逆転検事1&2を総合した感想です。個別の感想はネタバレ有りで書きます。
感想
本ゲームを終えて真っ先に思ったのは、逆裁シリーズって面白すぎる……というものでした。そのため本作を1000%楽しむためには逆転裁判1~3の履修が必須である点が残念ですが既プレイであれば本作の評価は5割増しになりますので未プレイの方はぜひご検討ください。
もちろん、シリーズ初プレイとして逆転検事に触れる方でも楽しめるのが本作です!
作品の大まかな流れとしては①殺人現場の証拠を集める操作パート→②事件関係者の発言の矛盾を探る対決パート→以降①②を繰り返して真相を探っていきます。
圧倒的に不利な被疑者をどのようにして逆転勝利へと導いていくか?推理系ゲームとしては反則技ともいえるほどに状況は一転二転していきますのでワクワクしながら物語を追うことができました。
また事件の謎も簡単には解けるものではない骨太の構成で最後まで気が抜けませんでした。
全ての証言と証拠が脳内で繋がったときの快感、のらりくらり逃げる犯人に決定的証拠を突きつけたときの達成感、最高に気持ちがよかったです。
とりわけ逆転検事2はドラマチックに物語が展開していくため、何度も目頭が熱く……。
そしてあまりに御剣怜侍がかっこよすぎて、よすぎ泣き。
この御剣怜侍という男は頭脳明晰でクールでキザなところがあって、そんな彼が真実の追求に情熱を燃やす姿はシンプルにかっこいいんですよね。ちょっと人とズレているところも可愛い。
本作はキャラクターへのヘイト管理がしっかりなされているゲームなので、犯人との会話はそれはそれはストレスがたまります。しかし御剣やその仲間たちで牙城を少しずつ崩していき、派手に最終通告を突きつけてくれます。上司や他部署の人間をここまで論破したら修復不可能な亀裂が入りそうです。
またビジュアルをドッド絵⇔HDイラストへ随時変更が可能です。HDイラストではドッド絵で表現されていた細やかな動きを再現しており、箱庭ゲーム好きにはたまらない魅力があります。
逆転裁判シリーズのキャラクターも本作に関わります。シリーズ未プレイの方でも疎外感を感じないように描いていますので大丈夫です。既プレイとしては「この人が!?」から「やっぱりな……」までありました。
本ゲームがおすすめな人
・推理系アドベンチャーゲームが好き(ダンガンロンパ・パラノマサイト・バディミッションBOND等に雰囲気もよく似ています)
・ミステリ小説が好き、人間ドラマがあるとなお良い
・逆転検事の移植を待っていた人(絶対に買いなさい、損はしません)
・私と男の趣味が似ている人
ネタバレ有り感想
逆転検事2の評判はよく耳にしていましたので今回の移植決定はとても嬉しかったのを覚えています。そして期待を上回る面白さで本当によかった。ネタバレを見なくて本当に良かった……。
ということで本稿はネタバレを含む感想を書きますが、物語の確信については触らないようにします。しかしながらがっつり作中イベントの話はしますのでネタバレ記事ということでご了承ください。
逆転検事1感想
逆転検事2の影に隠れがちな本作ですが、もちろん完成度は高く、満足のいく作品でした。
地道に証拠を漁り、論証を積み上げ、丁寧に犯人を追い詰めていく。王道の推理アドベンチャーゲームです。逆転裁判シリーズは証拠不十分でスタートしてハッタリとガッツで派手に相手を打ち負かしていくため、むしろ後者の方こそアウトサイダーなのです。逆転検事2はその本流に則っているため若干ずるいのです(でも面白い)。
アプリ版が発売された頃にプレイしましたが操作感が慣れず第一話もクリアできないまま放置してしまったのでSwitchに移植してくれて本当に感謝です。
1では2話と4話が好きです。なぜなら狩魔冥が大好きだから……。というのも本気なのですが、2話は倉庫こそ殺人現場ではないかという選択肢が出てきた時の話の広がり方にわくわくした点と、4話は終盤に差し掛かるまでまったくトリックがわからなかったのでビデオテープにビビり散らかしました。
第5話のとのさまんじゅうのくだりの御剣が好き過ぎる。美雲が遠慮をした時に御剣は「事件が解決したら、ゆっくり食べようではないか。」と鷹揚に答えるのですが、①遠慮に気が付き優しく提案したこと②事件が解決しても美雲ちゃんと関わる気があること、この2点がわかり御剣も彼女のことを好ましく大切に思っていることが表現されているセリフなので大変良いです。御剣はドライな発言も多いから勘違いされがちですが、自分の懐に入った人間を守ろうとするあたたかな男で最高です、好き。
逆転検事1で御剣は法曹人としての自分の限界に直面し、ある種の結論に達します。
逆転検事2で信楽は"限界を超える"を"成長"と表現しており、人も法も成長するのだと話していました。
御剣は逆裁5・6で"成長"した姿をみせてくれますし信楽のセリフと合わせても好きなシーンの一つです。いや、出世した姿はみせてくれるけれど何だかんだいつもの御剣かもしれないです。
やはり彼女の正体が最も驚きました。ロウもかわいそうに……。シリーズ屈指の不運男ではないでしょうか。
逆転検事2感想
なぜこんなにも逆転検事2は人を魅了してしまうのか。それは人間ドラマと御剣怜侍の掘り下げに舵を大きく切ったからです。アドベンチャーゲームを好んでやる人種なんて胸震えるような体験をもう一度したくてゲームを買うのです。そういう意味では本作を買って、出会えて、人生最高~~~~!!
しかしながら推理の難易度はあがり、幾度もなくゲームオーバーを繰り返して渋々攻略サイトを開きました。また事件の印象が様変わりしていき、初見時に感じたものとはまるっきり異なっていくところも逆裁らしいです。第4話時点でバルーンは思いつかないって。
2で一番好きな話は第4話。記憶喪失の美少女が美雲ちゃんで(驚き)、闇オークション会場が御剣ファンクラブの様相で(驚き)、茜ちゃんと科学捜査ができて(驚き)、第5話に続くあの引き!(驚き)最高でした。
また美雲が自身を信じることができなくても御剣は彼女を信じ抜き何度も何度も励ます姿に胸が熱くなりました。この話は逆裁シリーズの中でも上位に食い込んでくるほどに好きになりました。
第4話について語りたくてこの記事を作り始めたまであるので以降オタク長文になって本当に申し訳ないのですが……。
御剣は逆裁1で容疑が着せられ、何よりも自身の尊敬する父を殺してしまったという疑惑が持ち上がり、本人も当時の状況証拠からはそれが正しいのかもしれないと認めてしまいますよね。しかしそんな彼の無実を成歩堂は一途に信じ、全ての疑いを拭い去ってくれました。
成歩堂にあのとき救われた御剣が同じような状況になった誰かを救う。この展開は激アツ過ぎる。
御剣は決して美雲に弱音を吐くこともなく、彼女の無実を証明するためにつきすすみます。その一途さ、健気さ、愛情深さ、深く深く胸を打たれました。もう御剣怜侍のことが大好きになってしまいました。責任を取ってほしいです(=逆転検事3を出してほしいです)。
御剣が法の番人たる検事として法の矛盾と向き合うと決意を述べるシーン、よかった。御剣父である信さんはもう亡くなってしまったけれど、御剣のことを後輩というよりも息子を見守るような眼差しで接している信楽に話すところがまた良かった。
美雲ちゃんにとって御剣は頼りになる年上のお兄さんで、信楽にとって彼は頼りになるが心配もしている恩師の息子。御剣怜侍一人をとっても多層的な人間関係が垣間見える本作の人間ドラマっぷり。父と子というテーマの群像劇に楽しませていただきました。
御剣怜侍の話しかしておらず誠に恐縮しているのですが、どの登場人物たちも魅力的で、どこか憎めない、逆裁でしか出会えないタイプでよかったです。
このゲームをやるために逆裁1~3をやる価値はありますしそちらも名作なので両得すぎる。そしてせっかくだから逆裁4~6も大逆転裁判1・2もお願いします。
もしもここまで私の妄言を読んでくださった方がいましたらありがとうございます。逆転裁判シリーズの新作を心待ちにしています。
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