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【着物1年生】初心者に親切だった呉服屋さん

たまに見かける「呉服屋さん怖い」論争に私は加わることはできない。
初めて入った呉服屋さんは、「まあいずれ買ってくれたら良い」といったスタンスだった。

呉服屋さんと言っても、私が行くのはショッピングモールの中に入っているチェーン店で、昔ながらの個人がやっているような呉服屋さんではない。
ちょうど浴衣販売シーズンが始まった頃合いで、ショッピングモールの専門店ではどういうものが売っているのか見たかったので思い切って呉服屋に入ってみた。
金糸銀糸が盛り込まれた華やかな振袖や帯が飾られ、奥には着付け用の広い畳の間なんていうのもあって、着物に用がなければ敷居が高そうで入りづらい。
しかし夏になると浴衣に限ってはお仕立てだけじゃなくて既製品も売っていると知っていた。
もちろん呉服屋の押し売りはキツいと聞いていたので、その店もそんな感じだったら即退出しようと思っていた。
ところがそんな買え買え攻撃は喰らわなかった。
私が既製品しか見ていなかったから「客」として見られなかったのかもしれない。

「浴衣を夏着物みたいに着たいんですよねえ」と話すと「じゃあうそつき衿を使うと良いですよ」と教えてくれたのは、この呉服屋さん。

正直、意表をつかれたというか、もっと言えば不意を突かれて膝カックンされたみたいな感覚。
「半襦袢はネットで安いの売ってますよ」
「すなおさんの着付け動画は私も参考にしているんですよ」
など、いろいろなことを教えてくれた。

もちろん合間に色無地のお仕立ての話もされたが、「そういうのも良いですよね」とヘラヘラ笑って誤魔化した。

話をしている中で「着物を好きになってくれて嬉しい」といったことも何度か言われたので、客として育てようと思っているのかもしれない。
最初に行ったその日は何も買わず、「またいらしてください」と見送ってもらうのみ。

後日うそつき衿を買った時は別の店員さんだったが、その時も嫌な思いをせず。
そんなことで、浴衣がセールになった時を見計らってその店で既製品の浴衣と帯を買ったのだが、それはとても気に入っている。
選んでいた時も既製品だからと中途半端なことせず、こういうのはどうか、あれなら夏着物風にできるかもしれないと、いろいろと着せてくれた。
結果、店員さんが持ってきてくれた浴衣と帯がとてもよくて買ったのだった。

先日行った時は色無地と長襦袢のお仕立てセットが安い(店舗比)ということで、「1着仕立てたのを持っていると良いですよ」と言われたのをまたヘラヘラとかわしたが、その流れでネットで買ったアンティーク着物やリサイクル着物を持ってきたら仕立て直しもできると教えてくれた。
中古買うな、新品買えといった話にはならなかった。
1着はちゃんとしたの持って、あとはリサイクルを楽しんだら良いよという話。

チェーン店だからか、ショッピングモールの中のテナントだからか、上得意客になりそうもないと見放されているからか、そんなにキツい営業トークは受けなかった。
イベントがあると言われたが、仕事や体調などで約束できないので予約は断ってそれで済んだ。
まあ確かにダイレクトメールや電話は来るが、基本的にお断りして、それで済んでいる。

もしかしたら私が鈍感で、何かを察していないだけかもしれない。
「2度とこんな呉服屋行くか!」といった経験は、今のところないのだった。

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