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【感想】どうする家康  第48回「神の君へ」

最終回からもう10日ほど経とうとしていますが、別にロスっていたわけではなく、体調不良が重なっていただけです。
しかし薄れてゆく最終回の記憶。
そんな中でも頭の中に残っているものは、真田信繁のまさに亡霊ともいえる戦乱への固執。
あれこそ家康が葬るべくものの象徴です。
このドラマに真田信繁が登場した当初は少し影が薄いようにも感じたのですが、最終回が近づくにつれてどんどん存在感を増していきました。
いい顔する役者さんだな、日向亘さん。

茶々さまは見事な最期を遂げたわけですが、彼女は言う戦がない世界はまるっきり現代社会のようでいるのですが、それを彼女は「つまらない」と言いました。
現代に生きる私たちへの問いかけとも言えます。
卑劣なものばかりが増えるという”予言”は、ネットで毎日いろいろな炎上がある現実への皮肉にも見えました。
じゃあ戦争があった方が良いのか?と、心がざわついたかもしれません。
豊臣はあそこで滅ぶべきではなく、家康が負けて乱世が続いていれば、現代は今みたいに生きづらさを感じることはなかったのではないか。
しかし最後のシーン、家康と瀬名が見すえる遙か遠くに東京タワーが立つ現代がありました。
きっとそれが家康が勝利したことのアンサーではないでしょうか。

歴史とは現代への地続きです。
確かにネット上で争いごとが起きて、誰かが誰かを貶し、名誉毀損で訴え訴えられの毎日。
しかし安穏と美味しい食事をしたり旅行やテーマパークに行ったり、好きなアニメを見てゲームをして、推し活したりできる毎日があるのは、あの時家康が勝って乱世が終わったからと言えます。

もちろん、豊臣が勝ってもこんな現代になっていたかもしれませんが、これはあくまで「どうする家康」の世界線での話です。


さて、家康の最期です。
度々出てきた「鯉の話」をここで回収しました。
信長に贈られた鯉が食べられてしまった! しかし真相を知らないのは家康だけ。
てんやわんやの岡崎城で、まだ若い家康は家臣団から殿と言われつつも同列のような仲の良さ。
一緒に切磋琢磨した仲間たちと笑い合っていた日々の、夢うつつな回想。
死の間際、神と言われるようになった家康に若い家臣たちは恐れて近づくこともできず、広い部屋で孤独に死を待つだけの日々を送っていた家康。
しかし家臣団たちとの和気藹々のシーンで終わったことで、ただ息を引き取るだけの悲壮感のある終わり方ではなく「ああ、良い作品だったな」と安心できる終わり方だと思いました。

作品作りは最後の最後まで気が抜けません。
今まで絶賛されていても、終わり方に不満があれば平気で手のひら返しされます。
「どうする家康」については、最後まで私は楽しめました。
毎回集中して見ることができた作品でした。
キャストの皆さん、スタッフの皆さん、携わった皆さん、お疲れ様でした。
良い作品を見せてくれて、ありがとうございました。

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