刀「燭台切光忠」が生きた怒涛の5年間
注意:最初私がこの記事を書き始めたのは、公式が極修行後の新しい姿の燭台切光忠を公表するであろう8月25日の18時以降に公開する記事の下書きにしようと思ったからです。
新しい衣装を見たら今までにないほど滾ってしまって、いろいろと書きたいことができてしまったので。
けど燭台切光忠のことを考えていたら、モチーフとなった刀剣の方にも思いを馳せるようになってしまって、この数日私は刀「燭台切光忠」と刀剣男士「燭台切光忠」のことばかり考えていて、せめて他のことを考える余白が欲しくなって、吐き出すようにこの記事を書いてます。
刀剣乱舞のゲーム内で、燭台切光忠の極(きわめ)修行後の戦装束が公表されました。
常に身嗜みをきちんとすることを心がける厨房男士の燭台切光忠は、伊達政宗が小姓を斬った時に青銅の燭台も斬れたから「燭台切」の号がつきました。
伊達家のあとは水戸徳川家に渡りました。
水戸黄門で有名なあの水戸光圀さんが見初めたとか。
「光忠」はこの刀剣を鍛えた刀工の名前で、備前長船派の元祖です。
長船派はこの他に長光とか景光とか長義などがいます。
多くの審神者が、最推しとは別枠で燭台切光忠を愛おしんでいるように思います。
キャラクターメイクの妙というのもあると思いますが、個人的に思うのは、「刀剣乱舞」運営開始以降にモチーフとなった刀「燭台切光忠」自体がドラマティックな生き様を刻んでいるからだと思います。
親戚の子供の成長を見ているような、そんな感覚。
燭台切光忠のエモいところ その1:本当は焼失してなかったけど、勝手にそう思われてた。焼身もカッコいい。
仙台伊達家から水戸徳川家に渡り、関東大震災で罹災した刀剣のひとつで、水戸の徳川ミュージアムでひっそりと蒸し焼きされて焦げた状態のまま、保管されていました。
展示したことはあったみたいですけど、話題にならなかったようです。
ゲーム運営開始の頃、モチーフとなった刀剣「燭台切光忠」は一般的には存在しないと思われていた刀剣のひとつでした。
保管されているのに存在してないと思われていたのがなぜかというと、ゲームがなければ「燭台切光忠」に注目されることはなかったし、焦げた刀剣(正確にはもう刃物でもなんでもない焼身なので刀剣ではない。この時は)なんて誰が興味持つ?という感じだったようです。
刀剣の展示といったら、やっぱりキレイな姿が見たい、となるじゃないですか。
しかし多くの要望を受けて展示をしてみたら大盛況。
焦げて黒くなっているので照明を反射することもないし、刃紋なんてまったく見えないし、熱で融けた金色のハバキが茎(なかご)に黄土色となってべったりしている。これが今の「燭台切光忠」の刀身。
これ以降「燭台切光忠が展示されるよ」となると、かなり注目されるようになりました。
いまや水戸市の観光大使なのでは?と勝手に思ってたり。
JR東日本とのコラボで駅長姿になったりもしたしね、刀剣男士の燭台切光忠さん。
水戸駅前のカフェはフィギュアやぬいぐるみをたくさん並べて、ファンを喜ばせてくれてます。
これが現在の「燭台切光忠」です。
2018年3月に水戸の徳川ミュージアムに行って撮影してきました。
さて、現存しないと一般的には思われていた刀の「燭台切光忠」。
刀剣男士「燭台切光忠」のキャラデザのイラストレーターさんやその他スタッフさんが、ゲーム運営開始以前に刀の燭台切光忠の現物を見たことがあったり、現存している事実を知っていたりとか、その可能性はとても低いと思います。
それなのに、内番のジャージ姿には金(黄土色)があしらわれています。
融けたハバキが茎にべったりと付着している、あれと同じ色です。
なんでしょうね、この偶然は。
燭台切光忠のエモいところ その2:資料を元に再現刀ができちゃった
もともと徳川ミュージアムには「武庫刀纂」(ぶことうさん)という水戸徳川家所蔵の武器などを詳細に描写した資料があり、当然そこには焼ける前の燭台切光忠の詳細な絵もありました。
武庫刀纂のおかげで、焼身の刀剣が燭台切光忠であると確認できたほどです。
そこで武庫刀纂を参考にして燭台切光忠の写しを制作するプロジェクトが2016年に立ち上がり、2018年にはこれが完成しました。
かつて伊達政宗や水戸光圀が見てきた姿がこうだったと証言しているような出来栄えの再現刀です。
もちろん資金がなければ再現刀はできません。
審神者が喜んで財布を差し出したのは、言わずもがなです。
燭台切光忠がエモいところ その3:焼けた身なのに、再び「刀剣」になる
斬れない刀で、鉄の塊だと思われた刀の「燭台切光忠」ですが、2019年には東京都から「刀剣」として登録されました。
ついでに文化遺産データベースにも『刀 銘 無銘 (燭台切光忠)』として登録されました。
文化遺産とはなにか。文化庁運営のこのサイトには、「文化遺産オンラインにおいては、有形・無形を問わず、歴史的な価値を有する文化的所産を、文化財を含む広い意味での文化遺産ととらえています。」と書かれています。
焼けたけど、刀の燭台切光忠には歴史的な価値があると認められたと言えます。
そのままの姿で十分価値がある。
そういうことなんですよ。
こういう流れをリアルタイムで見てきていることもあって、刀剣乱舞をずっとやってきた審神者としては燭台切光忠への思い入れが強くなります。
現在進行系で刀剣としての逸話を作り続けているんです。
ゆえに、前述の通り「親戚の子供のような存在」に近い。
だから最推しじゃないけど、水戸にまで足を運んでしまう。
キャラクターの成長も見守ってしまう。キャラとしてのカッコよさもあるけど。
今年の梅の時期も水戸に行きたかったな。
次に会いに行ける日を楽しみにしてます。
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