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『徳川美術館展 尾張徳川家の至宝』@サントリー美術館

いつか名古屋に行ったら徳川美術館に行きたいなって思っていたら、あちらから来てくれました。

まだまだ大河ドラマ『どうする家康』の記憶も鮮明に残っている中でのこの展覧会。
国宝「源氏物語絵巻」と「初音の調度」を引っ提げて徳川家ゆかりの品々を六本木に持ってきてくれたので、見に行かないとなりません。
「源氏物語絵巻」はちょうど『光る君へ』もやっていることだし、こちらの大河ドラマが好きな方にもおすすめです。
私個人としては徳川美術館は「刀剣乱舞」に関わりの深い刀剣の所蔵先だし、今回はその中でも「物吉貞宗」が六本木に来てくれているので、行かないとなりません。

徳川美術館公式サイトによると、第一展示室は「正面中央に甲冑一領、向かって右手に太刀拵と馬標、左手に采配と鎗拵を配した展示」とのことで、このインパクトをサントリー美術館でも体感できるようになっていました。
展示室に入ると、まずは甲冑「銀溜白糸威具足」とその後ろに配された大きな大きな葵の御紋が目に入ります。
左に陣太鼓、右に「葵紋蒔絵糸巻太刀拵」が置かれ、一瞬にして名古屋の徳川美術館に飛んで行ったような気分になれる仕組みです。
このインパクト、威圧感はぜひ体感してほしいです。
目の前にドンっと徳川の威光を浴びることになります。

徳川家康と言ったらコレという絵画「徳川家康画像(東照大権現像)」も拝見しましたが、こちらはまじまじと見るとひとつの疑問が。
絵の中の御帳に描かれた葵の御紋が、正面であるにも関わらず少し斜めに描かれていることに気がつきました。
残念ながら私ではネット上で確かな理由を探しきれなかったのですが、きっと何かの意味があるはず。

「物吉貞宗」が展示されていたのは、徳川家ゆかりの刀剣エリアの一角。
剣と梵字の彫刻が入っていて、調べたら表面には大日如来を表す梵字、裏面は金剛夜叉明王を表す梵字が彫られているとのことでした。
大日如来は救いを説く万物の慈母とされ、また金剛夜叉明王は心の汚れを取り除く聖なる力を持つとされています。
善の祈りを込められたなんとも尊い刀ではないか。
尾張徳川家では最も重要な刀剣として代々の当主に受け継がれ、当主の身近に置かれていたそうで、確かにこの刀はある種の信仰心のもとで大切にしないとならないような気もします。

武具だけでなく、茶道具や能衣装、香道具なども徳川家には伝来しています。
私は螺鈿や蒔絵を見るのが好きですが、その技術を施す手間暇に思いを馳せることもあります。
展示品を見ながら「ちょっとした平面があったら、とりあえず螺鈿か蒔絵やっておけば良いと思ってないか」とツッコミたくなるほど、豪華な調度品の数々。
そして彫金の技をこれでもかと見せつけてくれる「秋の野蒔絵十種香箱」や「初音蒔絵旅眉作箱」。
これはまさしく至宝です。
さすが徳川御三家筆頭。
徳川家のような大名や豪商たちが技術者にお金を出して作らせたから、この技術が現代にも残っているのですね。
そして名古屋の空襲でよくぞ焼けずに残ってくれました。
おかげで私のような庶民にすら眼福に次ぐ眼福で、良い時間を過ごせました。

この日の近侍は当たり前のように物吉貞宗でした


ちょっと余談。
サントリー美術館が入っているのが東京ミッドタウンなので、お買い物も食事も充実しています。
この日はたまたま名古屋にゆかりのあるものばかり食べました。
この展覧会にピッタリじゃないかと思ったのでちょっとご紹介を。

ランチに選んだのはサントリー美術館と同じフロアにある「まるや本店 東京ミッドタウン店」。
名古屋のひつまぶしのお店で、徳川美術館からは少し離れているものの、同じ市内に店舗があるようです。

まるや本店 東京ミッドタウン店 昼御膳

展覧会を見終わってショッピングも終わった後に寄ったのが、地下1階の「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」。
パティシエの青木定治さん、名古屋出身なんだそうです。
これは帰宅後に知ったので驚きました。
ランチもおやつも名古屋に関連していて、この日は図らずも六本木で名古屋に浸る1日になったのでした。

パティスリー・サダハル・アオキ・パリ デギュスタシオン

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