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見ているものは同じなのに視点が違うこと

Podcastを聴くことが増えている。
家事をしながら、歩きながらといった「ながら聞き」をできるのが最高の利点。
私が毎週欠かさず聞いている番組のひとつに『となりの雑談』がある。
ジェーン・スーさんと桜林直子さんが喫茶店で雑談をしているかのような番組で、まさしく雑談なこともあれば、深く深く考えさせてくれるようなことを話しています。

5月14日にアップされた最新回は、桜林さんが最近夢中になっている朝ドラ『虎に翼』のこと。
私もこのドラマを欠かさず見ていて、Podcast内で語られる桜林さんの感想がどれも「分かる!」となった。

寅子は女に結婚しかないという現実について、怒るのではなく「はて?」と疑問を投げかける。
特に第1週目は「はて?」がことさら多い。
けど、この「はて?」が私に心地よかった。
寅子のこういうところのおかげで、私は毎日見れているんだと思う。

番組が始まる前、時代設定や「日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性」がモデルということもあって、主人公はもしかしたら怒りに満ちた女性なのだろうかと警戒した。
だから夫にも「今回の朝ドラは見ない」とまで言っていた。

朝から主人公が終始怒っているドラマなんて嫌だな、と思いつつもとりあえず最初の週を見た。
すると寅子は常に「はて?」の連続で、怒りよりも「それってどういうこと?」という疑問を持っている人だった。
私の「見ない宣言」が帳消しとなった第1週目だった。

桜林さんは寅子が怒りよりも前の疑問を持つ点に自身との共通点を見出して、夢中になってドラマを見ているそうだ。
確かにこれまでPodcast内で話を聞いている限り、桜林さんと寅子は物事への考え方が疑問から出発するという点で、確かに同じだった。

桜林さんはもうひとつ、寅子へ怒りをぶつけて寅子のことを否定するよね(今は親友)に対して「私はあなたが好き」と受容するのは、育ちの良さや環境の良さ故と言っていた。
誰かに嫌われたからといって、自分を否定せずにいられる環境で育った寅子だから、よねに「私はあなたが好き」と断言できる。
スーさんが例え話で「人に好かれてこそ価値があると思い込んでいる人」のことについて語っていて、桜林さんもそういう人がいることについて「うんうん」と言う。
私は同じドラマを見ているにも関わらず、寅子がなぜ自分を嫌う相手のことを受け入れることができるのか不思議だった。
けど、桜林さんとスーさんはひとつの考えを持って分析できていて、私は「なるほどなー」と、感心するしかできなかった。

物語の感想や考察は、それまでの自分がどんなものを経験してきたかで違いが出る。
そこに優劣はなく、他人の視点について感心しても落ち込む必要はない。
なぜなら、その人が考えたこともないような感想を自分が抱いている場合もあるから。
同時に、他人の感想や考察が自分の意見と違うからといって、その人のことを批判することも不要。
人には人の、私には私の感想がある。
それで良いと思う。

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