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北京五輪 フィギュアスケート男子SP

北京五輪が開幕し、徐々に盛り上がりが増している。
フィギュアスケートは団体戦で悲願の銅メダル。ペア・アイスダンスの4人がメダルを持ち帰ることが本当に嬉しかった。それぞれの力を出してミスのない演技ができていたことが個人戦でプラスになってくれたらと思う。

団体戦が終わると今度は個人戦。まずは男子シングルが8日に始まった。

白熱の試合から一日明けた今、自分の思いの備忘録として残しておこうと思う。
試合は全てリアタイしましたが、特に心に残った選手だけ触れること、ご了承ください。


第1G

第一滑走、カナダのロマン・サドスフキー選手。
団体戦ではもともとSPかFSだけの予定が、同国のキーガンが現地到着が遅れたことで急遽両方のプログラムを滑ることに。その結果、4日SP、6日FS、そして8日にSPという過密スケジュール。その中で疲れも見える中よく踏ん張って滑りきってくれたことは拍手を送りたい。
なお隣で観ていた家族は「なんか応援したくなっちゃった」と話していた。そう、五輪という舞台に立つことでその頑張り・魅力が目に留まるんだな、結果は関係ないのかもしれないとふと思った。

前回の平昌では4位だった中国のボーヤン・ジンも第1G。
いきなりの登場に少し驚きながら、そして彼も団体戦でSPとFSを滑ったことで疲れていないか心配だった。
しかし、それは杞憂だったようだ。彼の代名詞である4Lzを軽々と跳ぶとその勢いのままノーミス。これにはスタオベ。
団体戦では順位を落とさないように抑えながら、個人戦にピークをもってくる、素晴らしい調整力。これにはあっぱれ。


第2G

メキシコのカリーヨ・ドノバン選手。
競技が始まる前にメキシコから五輪出場は30年ぶりと聞いて驚いた。しかも、ショッピングモールの中のリンクで練習しているらしい。怪物級の選手じゃないか…。
個性的な動きと綺麗な4T。フィニッシュの笑顔がかわいくて思わず応援したくなるようなチャーミングな選手だと思った。

ウクライナのイワン・シュムラトコ選手。
彼は五輪直前にあった欧州選手権で初めて知ってずっと気になっていた。流れるようなスケーティングが本当に綺麗。
彼は団体戦も出る予定がコロナの陽性反応が出てしまい欠場、個人戦には何とか間に合った。この滑りを観られてよかった。

そのあとはチェコのミハル・ブレジナ選手とイスラエルのアレクセイ・ビチェンコ選手と続く。この二人は出場選手の中のベテラン勢。二人ともミスはあったけどいつまでも4回転に挑戦し、五輪に出場し続ける姿はかっこいいと感じた。

本当はここにアメリカのヴィンセント・ジョウ選手がいるはずだった。
彼は団体戦を滑った後に陽性判定が出てしまい、個人戦を欠場することに。
ネーベルホルン杯に出場し五輪の3枠目を獲得、GPS1戦目のスケートアメリカでは優勝、GPFに進出を決めるなど、確実に五輪に向かっていた矢先の出来事はかなりショックだった。唯一団体戦で銀メダルを獲得していることが救いではあるが…世界選手権ではどうか思い描く演技ができますように。


第3G

フランスのアダム・シャオ・イム・ファ選手。
ジャンプが惜しくも決まりきらなかったけど、最後までキレのある演技は見応えがすごくある。効果音も効いていて、普段フィギュアを見ない人にも受けがよさそうだと思うので、もっと日本の試合出てほしい…。

ロシアのマルク・コンドラチュク選手は過密スケジュール組。
さすがにきつそうで、団体戦の時のようなきびきびとした動きがなかったのが残念。
ロシアは男子3枠あるのに何でコンドラだけ出場にしたんだ…と思う。
彼は今季躍進した選手だからピーキングとかも難しいのかもしれない…と思った。

同じくロシアのエフゲニー・セメネンコ選手。
彼は本当は補欠の選手だったけど、ミハイル・コリヤダ選手がコロナに罹ってしまい、代わりに出場した。
18歳にして選手の代わりってきっとプレッシャーが大きかっただろうけど、それを見事はねのけてノーミスの演技をしてくれた、本当に凄い。

フランスのケビン・エイモズ選手は個人的ハイライトの一人。
今シーズンは怪我の影響で思うような演技ができず苦しそうだったが、今回は4Sが3Sになったけど他でしっかり加点がもらえて点数的にも満足のいくものになったのかなと思う。キスクラで思いっきり喜ぶ姿が見られてよかった。


第4G

羽生結弦選手。
演技内容は皆さんご存じの通り、あの瞬間は息が止まりかけた。けど転倒して怪我しなかっただけよかった。続く4T-3Tは全日本の数倍綺麗だったが、そのあとは本人も言っていた通りふわふわしていたかな…。でも動揺せずに滑りきれたのはすごい。
個人的には五輪の舞台で最高傑作だと思っているロンカプが良い形で披露されなかったことが悔しかった。これほど羽生結弦に合ったピアノとそれを体現する振り付け、観客を惹き付けるプログラムがまだ存在したのかと驚愕したあの気持ちを全世界の人に味わってほしかった。ただこれは私の勝手な思いだし、過ぎ去ったことはどうしようもないけど…。
フリーでは何も背負わず自分のために、自分の夢のために滑ってほしいし、そんな羽生くんを応援したいと思う。

次は宇野昌磨選手。
一番の推しなはずだけど、今回は全然緊張はしなかった。彼はやってくれるだろうと信じていたし、表情見る限り落ち着いていたのでこちらも演技にすっと集中できた。
演技内容としては、ジャンプは一つお手付きがあったけど、他の部分は取りこぼしなくまとめたので自己ベスト更新。最終的には3位につけた。より動きが大きくなってゆとりが生まれた、そんな素敵なオーボエ協奏曲だった。
そして、団体戦から学び着実に成長する姿は本当に凄いと思う。フリーは…ボレロの完成形が見たい思いが強いし、楽しんでほしいし、どうしても欲張りになってしまう笑。けど、とにかく信じて応援してます。

韓国のチャ・ジュンファン選手。
今季ノリに乗っている流れを生かして、今回も魅せてくれた。
4Sは綺麗だし、3Lz-3Loもよくハマっているし、何より疾走感のある音楽を魅力的に体現できるのがすごいと思う。
点数がギリギリ100点行かなかったけど、全体の4位につけたのは拍手。


第5G

カナダのキーガン・メッシング選手。
彼は北京に向かう前に陽性判定が出て足止めをくらってしまい、何とか試合前日に到着したというエピソードがある。
練習全然してないはずなのにジャンプ全部綺麗に決めてスピンも回転速くてまとめたのはもうあっぱれ。しかもベテランの選手なんですが…いや、すごすぎんか?
後、キーガンはいつもキスクラで我が子自慢をするのがほほえましくて好き。

鍵山優真選手。
五輪を思いっきり楽しむ高校生が、ニコニコ笑顔のまま凄い演技をしてしまった(いやとてもいいことなんだけど)。本当に恐ろしい。
シーズン前半はステップやジャンプをこなすことに精いっぱいで笑顔になる余裕なんてなかったのに、少しずつ試合を重ねて全日本でやっと心から楽しめる演技ができて、そして五輪という舞台でノーミスができて…って考えたらすごく感動した。
フリーもベストな演技ができて、今までの頑張りが実るといいな。

アメリカのネイサン・チェン選手。
完璧な演技。4年前の忘れ物を取りに来て、ようやくそれが戻ってきたのだろうか…と考えるとWRはもちろんすごいけど大きくガッツポーズをする姿に大きな拍手を送り続けたいと思った。そして、あんなに感情がむき出しになったネイサンは今までに見たことないと感じた…やっぱりここに懸けてきた彼の想いの大きさを実感したし、それが叶う瞬間をフリーでは見届けたい。

ジョージアのモリス・クビテラシヴィリ選手。
正直平昌から4年の間にSP5位まで成長するなんて思っていなかったのでびっくり。ここぞという時に決められたのは大きいし、フリーもその勢いを生かして頑張ってほしいな。

アメリカのジェイソン・ブラウン選手。
最終滑走にふさわしい見応え抜群の演技。フィギュアスケートって総合的な技術と美しさが求められるんだなと改めて感じさせてくれる、そんな選手。
そして、4年越しの夢の舞台で楽しそうに演技していたのがとても嬉しかった。


以上、駆け足ながら振り返った。
SPは割と神演技が多かったけど、ここで安心できないのが五輪。
FSも全員コロナにかからず満足のいく演技ができることを何よりも祈っているし、せっかく五輪という舞台に来たのだから、自分へのご褒美だと思って楽しんでほしい。
これが私の一番の願いです。

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