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「炎天」ウィリアム・フライヤー・ハーヴィー


見ず知らずの2人が体験した偶然が緊張の瞬間を生み出す、短いホラー小説。

手記形式の、ある画家と石工の話。二人とも互いに知り合いでもないのに画家は裁判で判決が下された際の石工の姿を、石工は画家の名前を用いた墓石をお遊びで作る(しかもそこに書かれた誕生日も画家のものと同じだった)。二人は互いに出会うことになり、、。

ほんの10ページ程度の短い話ですが、ホラー小説をさっと読みたいときにぴったりだと思いました。

小説が終わった後の展開は分からない。だって私達が読んでいるのは画家によって書かれた手記であり、本人がナレーターとして語っているわけではないから。もしここでナレーターとして画家が語っていたら、「過去に起こったこと」として解釈できるけれどそうではない。この構成にもドキドキしてしまいます。もう冬に近づいてるのに「炎天」なんていう真夏のホラー読を読んでしまいました。

原題:”August heat”

奇怪小説傑作集1より。



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