中高生3名が玉塚 元一 様(ロッテホールディングス代表取締役社長)にインタビューしてみた!
こんにちは。認定NPO法人キッズドアです。
キッズドアはすべての子どもが夢や希望を持てる社会の実現を目指し、経済的な困難を抱える家庭の子どもたちへ生活や学習の支援を行う認定NPO法人です。
中学生・高校生が企業の経営者などにインタビューする企画「Dialogue of the future」の第3弾として、玉塚 元一 様(ロッテホールディングス代表取締役社長)にお話を伺いました!
抽選で選ばれた3名の中高生が、若者ならではの視点で素朴な質問をぶつけました。
※この記事は2023年8月時点のものです。
社長というのはあくまで「役割」。敬意を持ち、誰とでも平等に接する
——会社のトップとして働くうえで大切なことは何ですか?(13歳男子)
私は社長として、ロッテグループ全体の方針を考えることや、リーダーシップを発揮して人事制度や会社の文化を作ることを仕事としています。
ただし、それはあくまで社長としての「役割」であって、誰とでも対等だと考えています。
例えば、ロッテの工場の課長さんと私は対等だと思っています。課長さんの役割は良い品質で競争力のある商品を作ることで、私の役割は会社全体の方向性に向き合うことです。
同じように中高生の皆さんが知っていることがあれば、私は敬意を表して教えて欲しいと思いますし、私の経験も皆さんにお伝えできればと思います。
なので皆さんも各自の強みを磨いて、その強みで世の中に貢献していくことがとても大事だと思います。
目標を達成し成果を出すためには、強いハートを持って努力することが大切
——学生時代のスポーツの経験は今どのようなところに活かされていますか?(17歳男子)
私は慶応大学でラグビーをしていました。
慶応大学は当時、高校で大活躍をした才能ある選手を多くリクルートすることが困難でした。
そんな中でも他の大学に勝つためには。一生懸命に努力するしかありません。今でも思い出すと苦しくなるほど、倒れるまで練習を重ねました。
その結果、関東大学対抗戦では全勝優勝し、大学選手権では準優勝することができました。努力をすれば強敵をも倒すことができるという経験ができたことは、私の人生にとって大きな財産となりました。
世の中には、天才と呼ばれる卓越した人は確かに存在します。ただ、それ以外の人の間にはほとんど差はありません。
目標を達成し成果を出すためには、強いハートを持って努力することが大切だと思います。
グローバル人材になれるかどうかで、大きな差が生まれる
——将来、留学をしたいと思っています。留学で大切にすべきことはありますか?(15歳女子)
悲観的になる必要はありませんが、少子高齢など様々な理由で、私は日本の将来はとても厳しい状況にあると思っています。
その中で、日本国内だけで仕事をする人と、グローバルに仕事ができる人の間で大きな格差ができると思っています。
留学したいというモチベーションはとても素晴らしいと思います。
これからは日本市場も小さくなるなかで、様々な国の人と仕事をすることが当然になり、英語はできた方が良いと思います
皆さんの時代は特に、グローバル人材になれるかどうかで大きな差ができることを覚えてほしいですね。
今までお会いした全ての人に感謝だと思っている
——座右の銘に「感謝」とありますが、一番感謝しているのは誰ですか?(13歳男子)
私は今ロッテの社長をしていますが、ここに来るまで多くの出会いがありました。
例えばラグビーをしていなかったら今の自分はいないですよね。
新卒で入社した旭硝子株式会社(現AGC株式会社)での2年間の工場での勤務も大切な経験でした。
その後、ユニクロの柳井さんという素晴らしい経営者にお会いして7年間近い距離で仕事をしましたが、この経験が私の経営の基本になっています。
そう考えると、今までお会いした全ての人に感謝だと思っています。
また、私はすべての人から「学びたい」と考えています。
より多くのことを人から学ぶためにも、話している人に感謝を態度で示すことは大切だと思います。
——大学でマーケティングを学びたいと思っています。ロッテのマーケティングで優れているところは何だと思いますか?(13歳男子)
やはり、ロッテの創業者である重光武雄さんの影響は大きいと思いますね。
私がお会いしたのは晩年だったのですが、30代40代の時の発想力は物凄いものでした。
当時では珍しい女性だけの販売促進チームを作ったり、「お口の恋人」というスローガンを作成したり、カカオに対するこだわりをチョコレートのマーケティングに繋げるなど、重光武雄さんの天才的なセンスが今も連綿と受け継がれています。
ただ反面、その重光武雄さんの功績に頼りすぎている部分もあるのかもしれません。
その成功のベースを大切にしつつ、自分たちのオリジナルのやり方ができるように会社を変えていかなくてはならないと思っています。
マーケティングとは、お客様の視点に立って「そのプロダクトはどんな意味があるのか」「どんなメリットがあるのか」を商品の設計段階から考え、そしてそれを伝えることだと思います。
なかなか思った通りの結果になることは少ないですが、繰り返し修正して実行するという点でいえば、まさに経営につながるところなのかな、と思います。
全く新しい発想で、一生懸命頑張ることができれば大きなチャンスになる
皆さんの時代は、大きな変革期だと思っています。ビジネスの世界だけではなく、あらゆる今までの仕組みが限界に近づいています。
そんな時代で過去のしがらみがない皆さんにとっては、全く新しい発想で自分が力を発揮できる領域で一生懸命頑張ることができれば、大きなチャンスになると思います。
繰り返すようですが、世界で戦うことができる人材とそうでない人材で本当に大きな差が出てきます。
少なくとも英語を勉強するべきですし、チャンスがあれば海外に出て経験を積むことができるといいですね。
日本が大きく変わるタイミングで、活躍することができればとても面白いと私は思います。
そして、「分かったふりをする」ことは本当に良くないと思います。
「我以外皆我師」という言葉がありますが、これは自分以外は人でも物でも、自分に何かを教えてくれる先生だという意味です。
自分が経験できることはとても限定されているので、自分以外の人から常に学ぶ姿勢を大切にしてほしいな、と思います。