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【識者の眼】「唾液検査の未来」槻木恵一

槻木恵一 (神奈川歯科大学副学長)
Web医事新報登録日: 2021-10-05

新型コロナウイルスの蔓延は、唾液で病気の診断ができることを知らしめた。しかし、唾液検査で社会実装された検査ツールは、まだそれほど多くない。この約20年で唾液への関心が高まったのは3回ある。その唾液検査のトピックスを紹介したい。

唾液ブームの1回目は、約22年前の1999年頃に唾液を用いたストレス測定が大きな話題となった。唾液中のクロモグラニンが精神ストレスと関連することを見出し、トヨタ製の車の乗り心地の評価に使われた。さらに、2007年頃、アミラーゼでもストレスの測定ができることを示し、簡易的に測定できるアミラーゼモニターが開発され、唾液検査において社会実装された初めての機器となった。2回目のブームは、約10年前の2010年頃に唾液からがん診断できることが発見され、マスコミから大きな注目を集めた。現在は、様々ながん診断への社会実装が整い、唾液によるがん自費検査が実用化されている。3回目のブームは、唾液を用いた新型コロナウイルスの検出である。唾液を用いた感染症の診断で保険収載されており、完全な社会実装を短期間で獲得した。

唾液検査のブームの背景には、その時々の世の中からの要求がある。この次の関心事は何だろうか。いま、人々は免疫力を測定したいと考えてはいないだろうか。唾液検査から目が離せない。

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