【識者の眼】「地域を挙げてコロナ軽症者へのオンライン診療を展開しよう」黒木春郎
黒木春郎 (外房こどもクリニック理事長、日本遠隔医療学会理事・オンライン診療分科会会長)
Web医事新報登録日: 2021-08-03
東京都を中心に首都圏でのコロナ感染は爆発的状況と言ってよい。これは全国に拡大している。私は千葉県で小児科を開業し、昨年以降、県の発熱外来指定も受けているが、2021年7月現在、コロナ患者さんは激増している。無症状ないし軽症例のコロナ患者さんは自宅または宿泊施設待機となる。私は昨年より当地を管轄する保健所と協議を繰り返し、コロナ患者さんの自宅・宿泊施設待機例に対してオンライン診療を実施している。コロナ陽性者は自宅または宿泊施設待機となった時点で保険所管理となり、医療からは切断されてしまう。その不合理、患者さんの負担および保健所の負担増を考慮し、現在は保健所から陽性者のオンライン診療を依頼されるようになっている。
さて、この7月後半を迎え感染者急増の中、前向きな取り組みのニュースを聞いた。
東京都品川区医師会が、管轄保健所と協力して、陽性者をオンライン診療に導入する試みをスタートしたというのだ(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/miura/202107/571011.html)。陽性患者さんに一律にオンライン診療へ入るURLを配布するという取り組みである。神奈川県でも県HPに、コロナ対応としてオンライン診療ができる医療機関の一覧を掲載している(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/covid19/online/index.html)。
コロナ対策の最前線は地域である。コロナの社会的収束は地域医療にかかっている。その感染者の多くを占める軽症者への対策が重要であるが、現状では、軽症者が医療とつながる方途は困難であるとしか言えない。世界的には、コロナ罹患へのオンライン診療(Telemedicine)は当初より第一選択である。日本においても、有効な新しい技術を地域へ浸透させるべきである。先進的な取り組みを始めている地域に学び、コロナ対策としての地域オンライン診療体制を早急に構築する必要があると考える。
地域医療とは患者さんの生活圏での医療であり、コロナ罹患者に適切な医療を提供することは医療者の務めである。全国で同様の取り組みが進むことを望む。
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