洋菓子店「トマトランタン」のしっとりフロランタン追憶
出会い
大学生らしき若い男の子が、他のおみやげ菓子に目もくれず特定の菓子の箱を5箱も持ち上げ、すたすたと手慣れた様子でレジに持っていくのを目撃した。それが、洋菓子店トマトランタンのフロランタンとの出会いでした。
年の瀬も迫った帰省ラッシュの時期。大学生の彼ははじめから目星をつけていたようで、
迷うことなくその菓子を買って新幹線ホームに消えて行きました。あのお菓子はきっと毎年恒例のおみやげで、お正月に親戚中で食べるんだな、美味しいんだろうな、と思ったら、わたしもつられて買ってみたくなりました。
見るとそのお菓子は、直径7センチくらいの円形のフロランタンで、ナッツ、ドライフルーツ、スライスアーモンドなどいくつかの種類があって、20個ほど入っています。
それが大正解。持って帰った実家で、美味しい美味しいと喜ばれ、それから帰省するときはいつも、大宮駅の新幹線改札内のおみやげ物売り場で、同じものを買って帰るのが習慣になりました。
娘のわたしが帰ってくるのと、おみやげのフロランタンと、どっちが嬉しいのか? というくらいです。
まあ、娘の私のほうも、帰省するたびに食べるフロランタンがとても楽しみでした。
洋菓子店トマトランタン
このお菓子は創業五十数年も続いたという洋菓子店「トマトランタン」のものでした。が、田園調布駅から徒歩5分のお店に、行ってみよう行ってみようと思っているうちに、2014年末、突然閉店してしまいました。
2014年に(株)キヨヒサという製造元が自己破産したというニュースがあったようなので、それと同時に閉店してしまったのかもしれません。
もうネット通販でもギフトお取り寄せでも買うことができません。
洋菓子店トマトランタンのトマトランタン
このお店のフロランタンは、商品名を「トマトランタン」といいます。
わたしは好きなスイーツは焼菓子派で、フロランタンも大好きですが、このお店のフロランタンはかなり特徴的でした。
一般的なフロランタンは、サクッ、カリッ、という音が出ますが、これは歯当たりがしっとりしていて、フォークや包丁でも切り分けることができます。
クッキー生地の上に乗っている具も、飴で固めたようなカチッ、カチッ、とした感じではなく、生キャラメルとか濃厚な蜜で包んだというような、しっとり感があります。フロランタンがジューシーだったら普通はおかしいのですが、ジューシーと言ってもいいくらい。
取り残されたファンの見る夢は
さて、焼菓子好きのわたしですが、あのトマトランタンをまた食べたいという願いは、かなわないのでしょうか。どこかに、あんなフロランタンを作って売っているお店はないのでしょうか。
いまのところ、まだ出会えません。
いちどmixi(というかつて流行ったSNS)でスイーツ好きの人たちのコミュニティーを探して質問してみたことがあるのですが、答えは得られませんでした。
トマトランタンの閉店、さびしい限りです。
一回もお店に行けなかったのも心残りです。
今でもネットで検索すれば通販サイトなどの写真が残っているので、トマトランタンのフロランタンを見ることができます。
また味わいたいなあ。
2017.3.1
この文章は止むに止まれぬ想いで2017年に書き、スイーツとはなんの関係もないビジネスブログにこっそり載せていたものです。
ブログのなかでも検索流入が多い記事でしたので、トマトランタンのその後を気にしているファンの多さがうかがえます。
noteを作ったのを機に引っ越してきました。せめてここにファンによる記念碑を残しておきたい、そういう気持ちです。
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