three cheers~馬爾康へ行くつもりじゃなかった【中国・色達⇒成都】
2016/6/30投稿
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最初に謝っておきますが、今回の話、自分自身との壮絶な戦いを繰り広げていたため写真はほとんどありません。
今回で中国・東チベットの旅編も最終回!色達(セルタ)から成都(せいと・チェンドゥー)まで帰ってきた話になります。
昨日バスチケットを買えなかったのでこの日は朝一で行動。バス会社の人から聞いていたバスの出発時間より30分早めにバスターミナルへ向かいます。まだまだ空も暗いうちに出発しました。(宿の送迎サービス5元=約83円)
昨日の話だと、色達からまずは馬爾康(マルカム)に行き1泊し、次の日に馬爾康から成都行きのバスに乗って帰る方法しかないとのこと。
チケット売り場のズル込みの嵐に揉まれながらも、無事に馬爾康行きのバスのチケット(102元=約1689円)を買うことができたところで後ろを振り返ると、なんと「色達⇒成都」という看板が掲げられたバスが2台も停車してるじゃないですか!!えええ、一体どういうこと?
もしかして昨日、「色達から成都まで行くことはできないよ」と言っていたのは、路線がないわけではなくて、バスチケットが売り切れだったからなのかもしれません。
念のためもう一度、成都行きのバスには乗れないのか聞いてみましたが、やはり無理とのことだったので、しぶしぶ馬爾康行きのバスへ乗り込みます。
なぜここまで成都行きのバスにこだわっていたというと、色達の町で色々あったから、早くチベット文化圏を出たかった。規制があるとかないとか、そんなものは関係のない大都会・成都に戻って安心したかったのです。
朝が早かったこと、諸々の疲れがあっこと、緊張が解けたことが、あいまってバスに乗り込んだ瞬間に寝てしまいました。
2時間ほど眠ったでしょうか。次に眼が覚めると、バスは粉塵を巻き上げ、とりあえず道路だけに整備されたという山の中を走っています。窓の外を覗くと茶色い川は勢いよく流れていきます。
ここで眼が覚めた理由。実は…トイレに行きたくなったため。
中国の長距離バスは基本的にはトイレ休憩がありますが、さすがに出発して2時間でトイレ休憩をしたバスには乗ったことがありません。
バス移動中にトイレに行きたくなったときの唯一で最も素晴らしい方法といえば…寝ること。 (腹痛の時と一緒!)というわけで、そっと目を閉じ再び眠りについたわけですが、ものの1時間で起きてしまいました。
その後は寝ようと思っても寝れず、トイレへの想いは段々と腹痛に変化していきます。
前かがみになって目を閉じたり、羊の数を数えたりしても全く効果なし!
気を紛らわそうと走る景色を眺めてみると、勢いよく流れる茶色い川がトイレへの渇望を助長させるというトラップが…!!
最初の衝動からもうどれだけ時間がったのだろう…。このバス、もう5時間は走っているのに全然休憩してくれない!!30分に1回ほど現れる道端の「厠」と書かれた箱の存在は無視され、バスは悪路を走り抜けていきます。
そうやって自分との戦いをしていると、運転手とは別の乗務員のおじさんが突然私たちに話しかけてきます。もちろん何を言っているかわからないので文字で書いてもらい、翻訳アプリを駆使しなんとか解読すると、「今乗っている馬爾康のバスから途中で、成都行きのバスに乗り換えられるかもしれない。運がよければね。」 とのこと!
…なんと!このおじさんは私たちが本当は成都に行きたいと言っていたのを覚えてくれていたのです!!
なんていい人なんだ!そう感じた私はこう直感しました。"このおじさんならいけるかも!"
…何をって?トイレ休憩への嘆願です。
「我想去厠」
なんて、あっているか、微妙に違っているかさえわからない中国語(…のとなりに念のためWCとも添えて)を書いておじさんに渡してみます。するとおじさんは席を立ちドライバーの方へ向かっていきます!そして私たちの席まで戻ってきて、グーサインをして微笑んでくれたのです!!…あああ神様あらわる!!
これで一安心かと思いきや、バスは一向に止まる気配がないまま進んで行きます。40分ぐらいたったところで、休憩所らしき店に入ろうとバスが側道にそれスピードを落としました。…これでやっと解放される!と思って立ち上がった瞬間、なんと運転手は再び道路へとハンドルを切ってしまったではないですか…!!
このとき私の頭によぎったものは「絶望」の二文字。一瞬安心してしまったがために、これまでい増して我慢をするのが辛くなります。
ああ、そういえば中学のテニス部の合宿のときに大型バスで長距離移動したときも、調子に乗って烏龍茶をがぶ飲みして、トイレに行きたくなって、我慢できなくなって、途中のコンビニでバスを止めてもらった事があったなぁ…。14歳のあの時から何も成長してないのか私は。ははは…。
こんなしょーもない思い出が走馬燈のように頭の中を駆け巡り、私は事が起きてしまったあとの羞恥心に耐えきれず天へと召されることへの覚悟を決めていましたが、幸いにもその15分後ぐらいに、正規の昼休憩があり事なきを得たのです。止まった場所のトイレは、1元払ううえにニーハオトイレだったけど、私にとってはこれまでの中国旅で1番のトイレでした。
そして、宇宙からの帰還を果たした飛行士並みにやりきった顔でトイレから戻った私に、旅を共にしているWさんがこう教えてくれたのです。
「なんか乗り換えできるっぽいですよ」
…このときの私は万歳三唱しそうなくらい嬉しかったのを覚えています。
長く続いた拷問のような時間から解放され(自分のせいだけど)、叶わないと思っていたこの日中の成都への到着が実現するのですから!!
馬爾康行きのとなりに止まっていた成都行きのバス乗務員に事情がきちんと伝わってなかったのか、乗り換えたタイミングでひと悶着ありましたが、言われていた追加料金(140元=約2318円)を払ったら一件落着。なんとか無事に成都へ到着することができました。
成都の宿に荷物を置き、Wさんと出会った日に一緒に夕飯を食べたお店に行って、「お疲れ様でした!」とビールで乾杯したときの安堵感たるや……この瞬間は一生忘れることはないでしょう。
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