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ソニーが日本だけでPS5の値上げを行った、為替や原材料高以外の本当の理由

ソニーが行ったPS5の値上げについて、ソニーと任天堂を比較して理解するという話です。

ソニーはPS5を値上げしました。
PS5の値上げが発表。全モデル7万円超えに

これを要約すると日本だけ割安販売していたのを辞めた、という話になります。
このことについて、ソニーと任天堂を比較しながら説明したいと思います。

為替や原材料高等はソニーにも任天堂にも影響するものです。
それでは、なぜスイッチは値上げしないかですが、スイッチは日本以外では割高で販売しているからです。
そうなると転売が横行しそうですが、流通量が多く製品価格の絶対値も低いため、手間をかけてまでの転売に利益が少ないため、”たまたま”防げているのでしょう。

ソニーが日本優遇を辞めた理由

それではなぜソニーは日本優遇を辞めたのか、考えてみましょう。
これはソニーと任天堂のコンテンツビジネスの軸足の違いで見ると良く分かります。
実はPSだけ、今までがいびつな形になっていました。内実はアメリカが軸足の企業にも関わらず、PSの生まれた地である日本を優遇していたのです。

なぜ日本を優遇していたか

ソニーは今やコングロマリット企業で、グループ内に多様な企業を有しています。
コンテンツビジネスも同様に、ソニー・ピクチャーズやSIE、クランチロールなど多数の企業を有しています。
重要な点は、これらが米国の企業だという点です。
つまり、現在のソニーはコンテンツを生み出す拠点が米国にあるということです。

かつて日本を優遇していたのは、少し前まではソニーも日本にコンテンツ生産拠点があったためです。
そこでは日本の顧客をターゲットにして生産活動を行い、それらのコンテンツを海外に”輸出”していました。
いままではこのフローで生まれたコンテンツがうまく販売に結びついていたため、日本優遇を継続していました。

ところが現在、ソニーは米国コンテンツ企業を買収等で多数のIPを手に入れ、映画業界やゲーム業界で米国産のコンテンツベースで戦える体制になりました。
つまり、ゲーム事業で日本の顧客を優遇してまて日本製のオリジナルコンテンツを作る必要が無くなったのです。
結果として、ソニーはここ数年で日本のコンテンツ生産拠点を閉鎖しました。

一方で、任天堂は今でも日本に主要なコンテンツ生産拠点があり、日本人が日本人をメインターゲットとして製品を生産し、かつ、それらを”輸出”しています
このフローでビジネスが成り立っているため、
つまり、任天堂はビジネスの軸足が日本にあるため、日本で売る・売れる”必要がある”のです。

ソニーとPSの今後

日本人から見るとソニーが日本を冷遇しているように見えますが、実は主とするコンテンツを米国製に変えた結果であって、冷遇というわけではないのです。
映画など他のコンテンツと同様、まずは米国のユーザーに商品を届けて、成功すれば他の国にも輸出するという流れが主になったのです。

日本にいると、米国産の映画やドラマ等コンテンツはフィルタリングされた一部のものしか入ってきません。これはローカライズのコストと見込み収益の兼ね合いからです。

今後、ゲームについてもPSのゲームは欧米の英語圏で開発されたものが主軸となり、コストの見合うものだけがローカライズされるようになるでしょう。

少しさみしい気もしますが、一方でソニーがPS事業を畳む、といったようなことは起きないと考えられますのでその点はほっとできると思います。


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