「くらしの清潔」を守る「ナノイーX」の挑戦——これからの清潔を語る場にnoteを選んだ理由
「ナノイーX」とはパナソニック独自のクリーンテクノロジー。家電をはじめ、車や鉄道、人の集まる施設など、日々を過ごす様々な空間で採用され、空気の清潔の実現を通して安心感の提供を目指しています。その「ナノイーX」が、この数年で大きく変化のあった「清潔」への価値観を多くの人たちと語りあうために「これからの清潔を語ろう」をコンセプトに、noteで「#清潔のマイルール」をテーマにした投稿コンテストを実施しました。
また、コンテスト連動のイベント「これからの清潔を語ろう会議」を実施し、本音が溢れる多くの声が集まりました。
「ナノイーX」はなぜ、「これからの清潔」を語り合う場をつくろうと考え、その中でなぜnoteを取り入れようと思ったのでしょうか。その背景と想いについてパナソニック株式会社の田中藤子さんにお話を伺いました。
タブー視されがちな「清潔」の価値観の共有
──「ナノイーX」が、「清潔」について生活者と語り合う場をつくろうとお考えになったのはなぜですか?
田中さん 2003年に初めて空気清浄機に搭載されて世に出て以降20年ほど、「ナノイー」「ナノイーX」は「くらしの清潔」に寄り添いながら進化を続けてきました。
そんな中、コロナ禍で社会的に「清潔」への関心が非常に高まり、さらに昨今はその価値観も多様化しているように感じています。
──コロナ禍以降、私達は“清潔”や“衛生”にとても敏感になりました。ですが、個人でできること/家族や職場での対応/対人関係においての気遣い/公共の場での振る舞い/会食の是非など、「どこまでやるのか」の考え方は人それぞれですよね。
田中さん そうなんです。今や、日常生活に密接なテーマでありながら、「清潔」に関して語ることがなんとなくタブー視されているようにも感じていました。
──同居している家族間でも「自分はここまでは許容できるが、ここからはアウト」なんていう価値観の相違を日々感じますが、これについて日常の会話で共有するのは少し気が引けてしまいます。
田中さん そういった方は少なくないようです。そこで、これまで「くらしの清潔」を大切にしてきた「ナノイーX」として、生活者の本音を聞いたり、相互に語り合ったりするような機会を作れないかと考えました。
「清潔」を語り合う場としてnoteを選んだ理由
──「清潔」をテーマに生活者同士が語り合う場所として、なぜnoteを取り入れたのでしょうか。
田中さん まず、当社の別の部門ですでにnoteを活用していたことで導入しやすかったというのが理由のひとつ。もうひとつは、多様な価値観を聞きたかったから。エッセイでもイラストでも小説でも、投稿手法も多種多様になればいいなと思っていたので、比較的自由度の高いプラットフォームであることにも魅力を感じました。
また、過去の事例も拝見し、定量的でないナラティブ(物語的)で熱量の高い作品が集まりやすく、かつ、ハッシュタグでテーマが広がりやすい仕組みがあることもnoteを選んだポイントです。
──今回のキャンペーンは、noteだけでなく、幅広いメディアで実施された多面的なものだと伺いました。
田中さん noteは生活者の声(UGC)を集めるプラットフォームとして活用し、その施策を広げるために雑誌やWeb媒体、インスタグラマーさんとタイアップを実施しました。
また、noteコンテスト自体の盛り上げと、コンテストの意図を伝えるために、noteクリエイターによるお手本投稿に加えて、企画に賛同いただいたメディアの編集長やプロデューサーの皆様にもご寄稿頂きました。さらに、リアルでの場を設定するため、一般の方を招待したイベントも実施、加えて、施策を広くPRするためにゲストもお呼びしてイベントのメディア露出も図りました。
ナーバスに捉えがちなコロナ禍の「清潔」と向き合う
──「清潔のマイルール」について、思い思いの試行錯誤の軌跡を丁寧に綴ったエピソードは、1,237作品集まりました。
田中さん 「清潔のマイルール」という同じテーマでも、切り口が多様で、それぞれの作品にクリエイターの方の個性が見えて、興味深く拝見しました。内容も、大変示唆のある作品が多いと感じました。
一方で、「清潔」というテーマが日常でじっくり考えることが少なく、作品化することが難しかったかもしれないとも感じました。そもそものテーマ設定が少し企業目線過ぎたところもあったかもしれないと。そうした視点でも大変参考になりました。
──全1,237作品をご覧になって、田中さんが共感・注目された点はどのようなところですか?
田中さん 抽象的な意見になってしまうかもしれませんが、やはりコロナ禍で生活が変わり、試行錯誤したり悩んだり苦労したことを記載されている方が多いなと感じました。例えば、子育て中の方は子どもや家族のために非常に清潔・衛生にナーバスになった経験を書かれていましたが、それぞれの立場で共感する作品が多々ありました。
当社としても、そうした不安に感じている方たちに少しでも安心感をお届けできるような技術や製品を提供する会社でありたいと改めて感じました。
多様な価値観を共有・理解して「くらしの清潔」を支えたい
──コンテストの応募期間である2023年2月4日に、連動イベント「これからの清潔を語ろう会議」も実施されましたが、こちらはいかがでしたか?
田中さん イベントでは、「こういうふうにすれば相手が喜ぶかなということを考えられる1日になりました」「認識の違いに柔軟に対応したほうがいいんだなと勉強になりました」など、参加された方からリアルな感想やコメントを頂くことができ、貴重な機会になりました。
反省点としては、どうしても運営側の一方的な発信になってしまったので、もう少し無理なくイベントに参加いただける仕組みを上手に作れたらなお良かったと感じています。
──投稿コンテストやイベントで集まった本音溢れる声を集めて、「清潔のマイルール白書」とMOVIEを制作されました。制作される過程でさまざまな生声を改めて読んで、感じたことはありますか?
田中さん 通常、レポート化する場合は定量的なデータで作ることが多いので、定性的な声(UGC)を活用してまとめていくことは一つのチャレンジでもありました。「”清潔コスト”が金銭的にも、時間的にも増えているように感じてしまう」「外から帰ってくるとすぐさまお風呂に直行する」といった数値化されていないからこそ見える本音があると思うので、そうした本音を改めてくみ取ることができればと思っています。
──今回の実施を踏まえて、今後の展望があれば教えてください。
田中さん 今回の施策の大きな結論としては、やはり「人それぞれに様々な考え方がある」ということです。このコンテスト、レターに接した方には、ぜひ他者の意見を尊重しながら、自分なりのマイルール、これからの清潔を考えて頂きたいと思います。
また、私自身においても、一つの意見を押し付けることなく、多様性の視点を大事にしていきたいと強く感じることに繋がりました。
「ナノイーX」は皆さんの目に見えないところで、家電や車、鉄道、公共空間など様々な場所で使われています。社会全体に広がっているからこそ、これからも「くらしの清潔」に寄り添うことを大切にしていきたいと思います。
コンテストの詳細はこちら
これからの清潔を語ろう会議
text by 三浦良恵