「ビジネスの出会い」の大切さを伝えたいーーnoteコンテストを通してブランディングを強化するSansanの取り組み
みなさんには、“出会い”にまつわるエピソードがありますか?「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションを掲げるSansan株式会社では、3月3日の「Sansanの日」にnoteコンテストを実施。「#ビジネスの出会い」というテーマでエピソードを募りました。
ここでは、Sansan株式会社のブランドエクスペリエンス部の荒井透さんとコーポレートコミュニケーション室の鬼久保明日香さんに、コンテストを盛り上げるべく多数のメディアを活用した理由と、各メディアの利点を生かした情報設計でコンテストを大成功へ導いた秘策をうかがいました。
企業ミッション「出会いからイノベーションを生み出す」に、あらためて向き合う場をつくりたかった
——コンテスト実施プロジェクトが発足した経緯を教えてください。
荒井さん 本プロジェクトは、4名でのブレストが発端です。当初は「noteの投稿企画をやりたい!」ということよりも、「Sansanの日(3月3日)」を機に自社のブランディングをするための施策として始まりました。
最初にブレストをした4名は、通常業務では関わりのない部署にいます。それぞれの部署からメンバーが集まって新しいことをやってみよう、というラフな感じでスタートしたんです。
その中で、Sansanが掲げる「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションに今一度向き合う機会をつくりたいという話になりました。
Sansanのすべてのプロダクトは、このミッションに紐付いています。人と人の出会いの証である名刺のほか、近年は、企業と企業の出会いから生まれる請求書や契約書を扱うプロダクトも増えました。
プロダクトが広がって社員も増えて、会社が大きく変化する中で、あらためて「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションに向き合ってみよう、どうせやるなら3月3日の「Sansanの日」に合わせてキャンペーンをしようと試みたのが立ち上げの経緯です。
企画が固まってからは、クリエイティブを担うブランドエクスペリエンス部から制作チーム5名と、広報やメディア系を担うコーポレートコミュニケーション室4名からなる、9名のプロジェクトメンバーで発進しました。
Sansanのファンを増やしたい──noteコンテストを活用した企業ブランディングに挑戦
——御社のブランディングを強化する場として、noteコンテストを選んだ理由はなんですか?
荒井さん “出会いを大切にするキャンペーン”といっても、さて何をやろうか?となり、そこからさまざまなアイデアを考えました。イベントを企画するとか、映像を作って発信するとか、さまざまな案が出たのですが、最終的に「どんな人でも必ずひとつは忘れられない“ビジネスの出会い”があるはず。そういうエピソードを集めて発信してはどうだろう」と着地したんです。
エピソードを募る方法として最適な場所を、SNS担当だった鬼久保のチームに相談したところ、「noteはどうだろうか」と提案がありました。
鬼久保さん 当初は、TwitterなどのSNSを使ってハッシュタグで募集という案もあったんです。しかし、前年の2022年8月からSansanで公式noteをスタートしたこと、私自身も以前からnoteコンテストの盛り上がりを感じていたこともあり、noteコンテストはどうかと提案しました。当時は、noteでの情報発信に一定の手応えは感じていたものの、もう少し多くの人にリーチしたいと考えていたタイミングでもありました。
もちろん、エピソードを募集するプラットフォームとして、どこが高い効果を期待できるかを検討しました。他社の過去の実施例を調べつつ、note・Twitter・自社サイトの応募フォームなどを比較した結果、noteコンテストが最も効果が見込めるという結論に達したのです。
note以外のチャネルも活用し、それぞれのプラットフォームの強みを活かす
──今回のコンテスト実施にあたり、note以外にも3つのメディアを活用されたとうかがいました。それぞれのメディアの役割や期待したところを教えてください。
鬼久保さん コンテスト開始の3月3日に、コーポレートサイト内の特設サイトを公開し、PR TIMES、Twitter、Sansan公式noteで告知を行いました。
コーポレートサイト内の特設サイトは、自社の世界観や、ミッションである「出会いからイノベーションを生み出す」を伝える場所です。投稿を集めるというより、企業ブランディングを重視していました。社内外に向けて会社の想いやメッセージを共有するための場所という位置付けです。
鬼久保さん PR TIMESとTwitterは、メディアやユーザーなど普段から弊社の情報に触れている方たちがよく見てくださる場所です。なので、すでにSansanをご存じの方にコンテストの存在を知ってもらうこと、エピソードを応募してもらうことの2つを目的にしました。
鬼久保さん 作品募集のメインとなるnoteでは、読者がSansan公式note内の他のコンテンツにも流入することと、Sansanに興味を持ってくれることを期待しました。なので、コンテストに興味を持った方や、応募してくれた方が公式noteを見に来たときにコンテンツが充実しているように、コンスタントな記事発信を特に意識しましたね。その結果として、Sansanへの興味に繋げたいという想いがありました。
——コンテスト実施期間中に、一般の投稿作品や社員さんのエピソードを数本ずつ、公式noteの記事として発信されていましたが、どんな意図があったのでしょうか。
鬼久保さん コンテスト期間中の3月に、コンテストの告知記事を1本、投稿作品の紹介記事を2本、関連する社員のエピソードを4本公開し、それをマガジンにまとめておきました。
いちばんの目的は、ご自身のエピソードの振り返りはもちろん、いろんな人の出会いエピソードを読んでいただくことで、ビジネスにおける出会いの重要性を感じていただきたかったから。また、応募数を増やす起爆剤にもしたいと思いました。あと、投稿作品の紹介記事については、おすすめ作品としてご紹介したエピソードの作者さんが、ご自身のSNSなどで拡散してくれたらいいな〜という狙いもありました(笑)。
荒井さん 社員のエピソードを積極的に紹介した理由のひとつに、社員数が増えたことによる課題の解決があります。前述したように、社員数が多くなり、会社としての施策やイベントに関わらない人が増えたり、企画の詳細をよく知らない人がいたり、なんてことが起こりやすくなりました。
なので、今回のnoteコンテストは、社員からエピソードを事前に集めて紹介することで、社内を巻き込みながら実施したかった。社員に少しでもこの企画に興味を持ってもらうフックになればと考えました。
“うれしい誤算”の連続
──noteコンテストを実施してみて、社内での反響はいかがでしたか?
鬼久保さん とても好意的なコメントが多かったです!社員のエピソードを公開するたびに「誰々さんのエピソードが公開されていたよ」と社内のSlackが盛り上がりました。特に創業メンバーのエピソードや神山まるごと高専のエピソードなど、これまで関わっていなかった社員にも情報が行き届いたことは、とても意味のあることだったと感じています。
荒井さん コンテストのLP(ランディングページ)である特設サイトは、社内クリエイティブプロジェクト「Juice」の有志メンバーが集まり作り上げました。ちなみにJuiceには、デザイナー・エンジニア・ディレクター・コピーライターなどさまざまな職種のクリエイターが所属しています。
noteコンテストは、ブランドサイトがなくても成立するキャンペーンです。ですが我々としては、Sansanが大切にしている出会いの価値観や世界観が伝わるLPを同時に立ち上げたかった。
例えば、「あの人のあの言葉が心に残った」「あの人に出会えてよかった」という話ももちろん「出会い」のエピソードです。ですが、Sansanが考える「出会い」は、ビジネス的なイノベーションが生まれる出会いなんです。技術が出会って新しい技術が生まれたり、企業と企業が出会ってコラボ企画が発進したり。そういったことを、社外はもちろん社内にも周知するためのLPが必要だと考えました。
公開後は「すごく良いサイトになったね!」と社内からも高評価をいただきましたし、制作メンバーもとてもいい経験を積めました。
鬼久保さん うれしい誤算としては、Sansan公式noteのフォロワー数が想像以上に増えたことです。当初、フォロワー増加の目標数を100人に設定していたのですが、コンテスト開催後は1,000人以上増えました。目標数の10倍以上というのは、運営メンバー全員がビックリする伸び率でしたね。ちなみに、コンテストへの応募数も1,000記事を目標にしていましたが、結果は倍の約2,000記事が集まりました。こちらも、とてもありがたい誤算でした。
コンテスト終了後もフォロワー数とビュー数増をキープ
——目標値として設定されていた数を大幅に超えるフォロワー数の増加があった御社の公式noteですが、コンテストを終えて数ヶ月たった現在の状況はいかがですか?
鬼久保さん コンテスト開催後に公開した記事のビュー数は、コンテスト終了後も引き続き伸びています。コンテスト企画の関連記事もそうですが、それ以外の通常の記事も伸びました。
——コンテストをきっかけに御社に興味を持たれて、他の記事にも魅力を感じていらっしゃる読者さんが増えたということですね。ちなみに、コンテスト受賞者にはSansanオリジナルのノベルティグッズ詰め合わせをプレゼントされたとか。
荒井さん はい。コンテストをやって表彰して終わりではなく、本当の終わりまでの全部の設計——どのタイミングでどういう記事を出すかや、どうやったら受賞者に”Sansanというブランド”が届くのか、一連の体験設計まで作り込みました。
Sansanのノベルティって、ほとんどの物が”出会い”や”イノベーション”をコンセプトに作っているんですよ。例えば、受賞者にお送りしたノベルティセットに入っているビールも、二つの酵母を合わせてオリジナルでつくっています。「出会いに感謝の気持ちをコメて(お米)」とか「ご縁茶」といったダジャレも多いですけれども(笑)。
オリジナルノベルティには、もうひとつ大切にしていることがあって。会社のノベルティって誰に何をあげたら喜んでもらえるか、分からないじゃないですか。なので、クスッと笑って、食べてなくなっちゃうくらいのものが、メッセージを押し付けすぎなくてちょうどいいかなと。「Sansanって面白い会社だな」と少しでも記憶に残してもらえたら嬉しいです。
————最後の最後までエクスペリエンス(体験)が設計されているんですね。では最後に、今後の展開をお聞かせください。
鬼久保さん 今回、コンテストを通じて弊社の公式noteに興味を持っていただいた方に、引き続き興味を持っていただけるような記事作りをしていきたいです。ちなみに、noteコンテストを通じて、審査する立場でたくさんの素敵な応募作品を読んだ体験は、弊社noteの編集部にとっても非常に勉強になりました。この経験も生かして魅力的な記事を発信していきたいと思います。
また、noteコンテストは社内外ともに効果が高かったと思うので、来年以降もぜひやりたいですね!
荒井さん コンテストは、"出会い"には本当に色々な可能性と価値があるということをあらためて感じる良い機会でした。今後もSansanのブランドとプロダクトを通じて、出会いの価値を一人でも多くの人に届けていきたいですね。
──今回、noteコンテストに向けた情報設計から、終了後に配布するノベルティを通した体験設計まで、すべてを「出会い」をコンセプトに組み立てることでnoteコンテストを大成功に導いたSansan株式会社。来年の3月3日にまた新たな展開を拝見できることを期待したいですね!
text by 三浦良恵