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第113回看護師国家試験解説(必修午前25問目)※採点除外問題

【採点上の取り扱い】正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する。
【理由】問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため。

厚生労働省

酸塩基平衡に関連した呼吸の問題ですね!
それぞれ見てみましょう!

酸塩基平衡とは?

●酸塩基平衡とは、体内での酸と塩基のバランスを表します。
動脈血採血をすることでデータを確認できます。
バランスを保つために主に腎臓で調節されます。

●正常のpHは7.35~7.45になります。

7.35以下はアシデミアと言い、酸性に傾けようとする「アシドーシス」になります
7.45以上はアルカレミアと言い、アルカリ性に傾けようとする「アルカローシス」になります。

●アシドーシスとアルカローシスの原因としてそれぞれ呼吸性代謝性に分かれます!

アシドーシスの原因

呼吸性:中枢性抑制(頭部外傷や脳卒中)
    呼吸筋障害(筋弛緩薬や神経疾疾患)
    肺胞低換気など
代謝性:敗血症、腎不全、循環不全など

アルカローシスの原因

呼吸性:頭蓋内圧亢進、脳腫瘍、脳炎
    不安、過換気症候群など
代謝性:嘔吐、利尿薬の使用
    内分泌疾患など




代謝性アシドーシスの発生とその後の呼吸の仕組み


下痢やショック状態などの症状や病態が発生

酸塩基平衡として
pHの低下、HCO3-の低下、BEの低下が発生(PaCO2の変化はない)
※BEは「塩基過剰」と言う。塩基である重炭酸イオン(HCO3-)が正常値からどれだけ過剰になっているかを示す指標のこと。
正常値より多い場合は「+」、正常値より少ない場合は「-」と表示する
※PaCO2は動脈血二酸化炭素分圧のこと。正常は35~45mmHg

この時点で体内に揮発酸という酸がたくさんたまっている状態なので
換気量を増大させて揮発酸の主であるCO2を排出させることでpHを正常に戻そうとします(呼吸の代償が発生)


という仕組みなんですけど…
「なんのことかわからん!!」という人もいるかと思います。

簡単に書くと
体が酸性の状態になったから酸(主に呼吸においては二酸化炭素)を抜くために、いっぱい呼吸をして正常に近づけようとするよ!
ということです。

つまり、このことを理解していれば
正常に戻すために頻呼吸になるということはわかります。

では、選択肢ではどの呼吸なのか?

それはまた、それぞれの呼吸について知っておく必要があります。



選択肢のそれぞれの呼吸について

●奇異呼吸●

正常の呼吸運動とは逆に吸気時に胸壁が陥没して
呼気時に膨隆(ぼうりゅう)する呼吸のこと。
胸部外傷の際にみられることが多い。

●口すぼめ呼吸●

COPDなどの息を吐くことが難しい疾患の患者に行う
口をすぼめて呼吸をする呼吸リハビリテーション訓練のこと

●ビオー呼吸●

呼吸リズム(呼吸数)、換気量および無呼吸時間が
すべて不規則に混在する異常呼吸の事

●クスマウル呼吸●

深く速い呼吸が規則正しく持続する異常呼吸である。
深く速い呼吸により肺胞換気量を増加させて
動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)を低下させ、
代謝性アシドーシスを補正しようとする。

●チェーンストークス呼吸●

小さな呼吸から始まって徐々に増大し、そしてまた次第に小さくなっていくという特有の呼吸パターンを繰り返す状態
心不全や脳卒中などの重要な疾患の兆候の可能性がある。


答え

4のクスマウル呼吸になります。

これは…ちょっと難しかったかもしれないですね。
呼吸パターンを知っていれば解けたかもしれないですけど…。

余談ですがこの問題を解いたときにあることを思い出しました。

新人で最初の頃に人工呼吸器に※1カプノメーターをつけた患者さんが居て

先輩看護師に
「これなんですか…」と聞いたら
「こんなこともわからないのか!!」とめちゃくちゃ怒られたことを思い出しました…笑


※1 カプノメータ(カプノグラフィ)とは
気管チューブと人工呼吸器回路の間にサンプリングアダプタやセンサ(もしくは鼻や口元にサンプリングチューブ)を装着して、吸気・呼気に含まれる二酸化酸素(以後CO2)の分圧mmHg(濃度%)を測定するモニターのこと

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