2021/02/16 曇り

 きょうは『マズロー心理学入門』を読了。おもしろい本だった。カバーされている内容はマズローの生い立ちや思想遍歴、欲求階層説と自己実現の解説、経営学とのつながり等である。高校だか中学だかでマズローの欲求5段階説は聞いたことあったけど、当のマズローは5段階説とは言っていなかったらしい。なんなら自己実現が2層になってて6段階あるようだ。その自己実現は超越経験の有無で分けられる。これはいわゆる「フロー状態」かそれに近いものらしい。このへんのくだりでエサレン研究所とかが出てきたのが一番興奮したな。60年代のLSD界隈にマズローも関わっていたらしい。とはいえ、薬物による神秘体験の効果は一定認めるものの、界隈の即物的に自己実現を求める態度や個人としてだけ高まろうというやり方に批判的で距離を置いていたようだ。マズローの思想にはシナジーの概念が強い前提になっていて、自己の利益の追求が社会の利益追求と相乗効果を生むことが最上であると考えていたらしい。だからひとりだけで悟りに至っても仕方ないということだな。このへん大乗と上座部みたい。あとは「ユーサイキア」という自己実現者の社会というのもマズローは考えていた。一種の理想社会だな。本書ではその実現には価値観そのものの大きな改革が必要だと述べられていた。めちゃくちゃ大雑把に言うと世界のみんながもう少し他人にやさしければ……みたいな感じだな。こう書くとだいぶ情けなさを感じる。身につまされる。

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