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NOT A HOTEL1人目の経理財務として覚悟した、誰も経験していないことを切り拓いていく責任

「世界中にあなたの家を」をコンセプトに掲げるNOT A HOTELでは、日々未知の領域にチャレンジしています。それは決して建築やソフトウェア、ビジネスだけではなく、コーポレートの領域にも同じことが言えます。

事業成長の後押しのみならず、仕組みそのものをゼロから生み出しながら、ときにはフロントに立ち、会社とビジネスをリードする。NOT A HOTELのコーポレートチームのあるべき姿は、そのように形容できます。

経理財務担当として入社した栗山も、そんな「あらたな仕組みを生み出す」メンバーの一人。NOT A HOTELが世に出す全てのサービスに、経理財務の面から関わりながらも、ときにその領域を飛び越え、事業や組織にもコミットしています。

しかしそんな栗山は、これまで事業会社で働いた経験もなければ経理の実務経験もなかったという。そんな彼がなぜ、スタートアップの1人目経理財務として働き、いまや会社にとって不可欠な存在になったのでしょうか。入社1年4ヶ月という短くも濃厚な栗山の日々、そこから得た視点や学びについて聞きました。


銀行、行政、監査法人というキャリア上に、ふと目に飛び込んできた一つの投稿


ー栗山さん、まずは簡単に自己紹介をお願いします。

栗山といいます。NOT A HOTELで経理財務を担当していまして、現在は決算・予実分析や会計処理の検討などをメインに業務にあたってます。なお、岐阜県の出身でこれまで(住まいを)岐阜から出たことがなく、今も岐阜で暮らしています。よろしくお願いします。

栗山 直明:南山大学法学部卒。十六銀行、岐阜県庁を経て、有限責任監査法人トーマツにて監査業務、IPO支援業務などに従事。22年5月NOT A HOTEL参画。公認会計士。

ーNOT A HOTELには都内在住者と同じくらい地方在住者も多いですよね。

まさかこうして東京のスタートアップで働くことになるとは考えてもいなかったことですが、NOT A HOTELがフルリモートワーク可能な働き方を採用しているからこそ、実現できていると思っています。おっしゃる通り、地方在住者も多いので、その点でも気が楽ですね。

ーでは、これまでの経歴を教えていただけますか?

(新卒から)十六銀行に2年7ヶ月、岐阜県庁に6年1ヶ月、その後有限責任監査法人トーマツに2年5ヶ月、そして22年5月にNOT A HOTELへ入社しました。

ー銀行、行政、監査法人、そしてスタートアップ…かなり業界も幅広いですね。

そうですね。銀行では支店での融資や営業、県庁では商業や農業等に関する許認可や補助金に関する業務、監査法人では監査業務やIPO支援業務などをやっていました。役割としても銀行員、公務員、そして公認会計士…と職種もバラバラですね。

ー3度目の転職にして、はじめての事業会社になるんですね。NOT A HOTELに入社したきっかけは何だったのでしょう?

まず私がNOT A HOTELを知ったのは、X(旧Twitter)での濵渦さん(弊社CEO)のこの投稿でした。

この投稿でNOT A HOTEL NASUのCGパースを初めて見たとき、「こんなすごい建築が、しかも日本に建つのか!」という衝撃とワクワクした気持ちを今でも覚えています。それから何度か会社のホームページに飛び、採用情報を見たりしたのですが、自分ができそうな業種は募集していなくて、「いつかは泊まってみたいな」という思いでしばらくいたんです。

ー2021年2月10日の投稿で、栗山さんの入社が22年5月なので1年弱の時間を経たんですね。

そうですね。監査法人で働いて2年が経った2021年12月頃に、公認会計士の修了考査という試験を受検するために数週間の休暇に入り勉強漬けの日々を過ごしていました。勉強の気分転換がてら、気軽な気持ちで転職サイトに登録、転職エージェントと面談し、そのときに紹介された会社の一つに、NOT A HOTELがあったんです。

ーすごい偶然ですね。

「あのNOT A HOTELだ!」とは思ったものの、この時点ではスタートアップへの転職は考えていなくて、証券会社の引受審査部門など、どちらかと言えばスタートアップの支援を行う役割に関心がありました。それに経理経験がなくスタートアップで働く姿をイメージできなかったこともあり、面談時には応募しようとはなりませんでした。

でも、どうしてもNOT A HOTELを気にしている自分がいて。どんな会社か改めて調べてみようと思い、当時は情報も少ないなかで、濵渦さんのnoteやTwitterをひたすら読み漁り、インプットを増やしていきました。濵渦さんの発信する言葉を読んでいるうちに、より一層ワクワクする気持ちが溢れていったんです。今応募しなければ後悔するだろうと覚悟が決まり、すぐに転職エージェントに連絡を取り、その日のうちに履歴書を送りました。このときの自分の行動と決断が今に繋がっていて、人生の選択において後悔をしない選択をすることは大事だなと、感じましたね。

ー覚悟を決めたら、即行動だったんですね。最終的な入社の決め手は何だったんですか?

今私が所属するコーポレートチームの管掌(マネージャー)である山下さんが決め手でしたね。一次面接で山下さんと初めて会話したのですが、会話しているうちに、山下さんと働いてみたいという気持ちと、この方とだったらチームとしてやっていけるだろうという感覚になり、この時点で働きたいとの気持ちがかなり強くなりましたね。

ー「この方とだったらチームとしてやっていけるだろうという感覚」ってどんなところから感じたのでしょうか?

なんでしょうね。これといったエピソードがあるわけではないのですが、山下さんのおおらかな雰囲気がそう思わせたのかもしれないですね(笑)。今となっても当時の感覚は間違いなく、コーポレートチームでのびのびと働くことができているのは山下さんの存在が大きいと思っています。

ー感覚的な衝動があったのでしょうね。NOT A HOTELの事業が持つポテンシャルについては、当時どう捉えていましたか?

最初知ったときに建築として惹かれるデザインだったということはもちろんですが、室温や照明など家の中すべての管理をアプリでできること、建築前のパースでオンライン販売することに新しさを感じて、不動産・ホテルというアセットが重い業界で、唯一無二のスタートアップとして革新的な挑戦をしようとしていることに共感しました。

スタートアップにおけるコーポレートのゼロイチって?


ー満を持して、スタートアップの1人目経理財務担当として入社するわけですが、当時を振り返っていかがでしたか?

冒頭で経理担当だと伝えましたが、実は入社してからは経理業務以外の様々な業務に携わることとなりました。でも、ここで役立ったのが、これまでの銀行員、公務員、監査法人での経験でした。

ーというと?

私自身は職種を色々と経験してきてはいますが、それぞれの業務を長く深くやってきた人には正直敵わないです。その分、幅広く対応できる部分という柔軟性であったり、押さえるべき部分のキャッチアップの仕方というものは長けているのかもしれません。NOT A HOTELでは、深い専門性を使うより、柔軟性を持って広く業務に対応する場面が多くありました。

ーたとえば、どんなケースがありましたか?

まったくと言っていいほど経験したことがないことをやらなければならない局面がいくつもありました。一番大きいものとしては、「NOT A HOTEL MEMBERSHIP NFT」というNFTを販売する事業です。

NOT A HOTELでは、「偶然を、旅する日に」をコンセプトとして特定日に47年間毎年NOT A HOTELへ宿泊できるNFTを2022年8月から販売開始しました。例えば、1月1日のMEMBERSHIP NFTを持っていると、毎年1月1日はランダムでどこかのNOT A HOTELへ宿泊でき、それが47年間続くというサービスです。

この事業を開始するにあたり、NFTの開発を行うソフトウェアチーム、そして販売・マーケティングを行うビジネスチーム、法的論点や会計処理を整理するコーポレートチームが販売開始までの2〜3ヶ月という短い準備期間のなかで、一丸となって取り組みました。

ー開発から発表まで、わずか2〜3ヶ月だったんですか?

そうなんです。そのなかで私は、主に会計処理や暗号資産の管理の部分を担当しました。販売したNFTの売上計上をどのように把握して仕訳していくのか、暗号資産はどの程度保有するのがよいのかなど、その他にもとにかく分からないことだらけでした。そのときは暗号資産の会計に関する書籍を読むなどして知識を身に付け、「こうするのが良いだろう」という仮説を立てながら決めていき、運用していくということを行っていきました。

ーかなりタフな状況だったのではないでしょうか?

そうですね。でもスタートアップで働くことで一番大事だと感じていることは、自分で決めていく覚悟を持つことだと思います。誰も経験したことがないことを進めていくためには、判断を行うために必要なことを調べ、仮説を立て、自分で物事を決めていく気概を持つことができなければ進んでいきません。

山下さんと会話するときに、「栗ちゃんはどう思う?」ということをよく聞かれます。この問いの想定回答を常に持っておくことが、「自分ならどうするか」という視点を持つ意識付けにもなっているように思います。私自身がまだまだ足りていないところは多いため、常にこの意識を持って業務に取り組むことが大切だなと感じますね。

ーたしかに先ほどの、柔軟性とキャッチアップ力がないと、その仮説すらもすぐ古くなってしまいますよね。

日々、社会や会社の状況も目まぐるしく変化するので、スタートアップとしてそうあらねばならない、という前提がありつつも、自分の経験やスキルの特徴としてもフィットしていたのはラッキーだったと思います。

今も会社として新たな事業に向けて準備をしている最中で、まさにNFTの準備期間のような状況です。これもまた経験したことがないことばかりで、事業開始に向けて整理しなければいけないことが山積みな状態(笑)。もちろん大変ではありますが、超クリエイティブなアイディアを爆速で形にしていくのが、NOT A HOTELの良さであり、そのチャレンジに主体的に携わることができるのが、NOT A HOTELで仕事をしていく醍醐味だと感じます。

ー新規事業などに両足を突っ込んでいるようにも見えますが、しっかりと日々の業務遂行や改善などもあるわけですよね?

ここまでは経理というか、新規事業のコーポレートメンバーとしてのエピソードでしたが、もちろん経理としての業務も色々と対応してきました。入社した当時は社内に経理担当者がいなかったことから、経理業務支援を行う会社に請求書処理や仕訳の大部分を対応していただいていました。その頃はNOT A HOTEL(各拠点)の運営開始前で、物件も販売契約はしているものの引渡し前で売上がほとんど上がってはいない状況だったため、月次でタイムリーにPLを把握する必要性があまりありませんでした。

その状況から2023年3月期の終わりにかけて、経理の内製化、月次決算の早期化に取り組み、現在は月次PLを早期に把握できる体制になりました。これまでの過程で大変だったのは、私自身が経理実務を経験したことがないことで手探りで対応しなければならないことや、1人で経理をやっていたときの業務量に対する対応でした。先ほどまでお話ししたとおり、いくつかの職種を経験したものの、経理経験はゼロです。

ー経理の実務経験はゼロだったんですね。

仕訳を切ったことはなく、会計士として監査のために傍から経理業務を見てはいましたが、経理としての実務はぼんやりとしか理解していませんでした。そのため、支援いただいている会社の方に教えていただいたり、経理に関する書籍を読むなどして、「こうあるべきだ」を常に考えて対応してきました。

また、経理が一人だったときには、急に業務量が増えると対応できなくなるので、少し先の時期にこの処理をやる必要があるから今から少しずつ準備をしていこうという意識でなんとか乗り越えてきました。今は経理が2人体制となり、業務を分担できるありがたみを感じています。経理チームとしては、これからの上場準備を進めるにあたって会計基準に沿った整備や運用をしていく部分がまだまだ足りておらず、ぜひ一緒に推進してくださる方がいらっしゃると嬉しいですね。

「すべての人にNOT A HOTELを」を本気で考える


ー入社して1年以上経ちましたが、この期間を振り返って今一番思うことはなんですか?

ここまで偉そうに話していますが、NOT A HOTELでの仕事に対して自分自身としての手応えはあまりないというのが正直なところです。それは、濵渦さん、各チームの管掌、メンバーが優秀な方ばかりで、自分がそこについていけているか、自信を持って「大丈夫」だと思えるには、まだまだだなと感じているからです。

チームオフサイト実施後のコーポレートチームを中心としたお花見会の様子

ー栗山さんと同じことを思ってる仲間は多くいそうです。

そうですかね。でも、だからこそ「すべての人にNOT A HOTELを」というNOT A HOTELが掲げるミッションの実現に向けて、私ができることをこれからもやっていきたいと思えるのかもしれません。NOT A HOTELには、自分がどうなりたいかということよりも、NOT A HOTELを多くの人に知ってもらいたい、ここで働いてみたいという想いで入社し働いていることもあり、良くも悪くも自分自身の成長とか個人として目指すところは特にはないんですよ。

ただ、NOT A HOTELのオーナーさまは、初期は都心が中心でしたが、今では私が住んでいる東海地方でもオーナーになっていただいている方や購入をご検討いただける方が増えてきています。何よりNOT A HOTELを知っているという方が周りに増えてきていることを今は嬉しく感じています。スタートアップ初期に入社して、徐々に知名度が上がっていくのは何にも変え難い、喜びがありますね。

ー栗山さんの視点からみた、NOT A HOTELの伸び代はどこにあると思いますか?

知名度が上がってきてはいるもののまだまだ知られていないことが伸び代だと思います。それは購入をご検討いただくこと以外にも、地方で「ここでしか見られない景色」だけれども活用しきていない土地を持つ方にNOT A HOTELに共感いただいて、その土地にNOT A HOTELを建てさせていただく、あるいは建築家やクリエイターと協業する、といったこともより多くの方々に知っていただくことでタッチポイントが増え、さらに魅力的な事業を展開できる可能性が高まっていくことになるんじゃないかなと。なので、NOT A HOTELでの個人的なチャレンジとしては、東海地方、特に岐阜にNOT A HOTELをつくりたいですね。

ー地元・岐阜という地域を愛することと、NOT A HOTELが目指す「世界をもっと楽しく」というビジョンが通じ合うようにも見えます。NOT A HOTELに入社して、地元や地域へ向ける眼差しは変わりましたか?

変わりましたね。公務員のときには県内の商店街の活性化に関する仕事もしていましたが、人口減少や高齢化などで地域の方々が頑張って盛り上げようとしてもなかなか思い通りにいかない状況があるというのも感じていました。たとえば宮崎県の青島はそれまで更地で手付かずであった土地にNOT A HOTELができて、青島神社など周辺の施設とともに訪れる人が増えて活性化されてきていると思います。同じように、何かのきっかけで変わる地域はあると思いますし、NOT A HOTELができることで、住んでいてワクワクするような地域が増えていけばいいですよね。

NOT A HOTEL AOSHIMAができる前後の青島の風景

ー先ほど、「良くも悪くも自分自身の成長とか個人として目指すところは特にはない」という言葉がありましたが、お互いの目指す先は一緒であり、表裏一体なのかもしれませんね。

そうですね。表裏一体だからこそ、意識をしてこなかったのかもしれないです。今回、お話する機会をいただいて、改めて認識することができました。濱渦さんが生まれ故郷の宮崎にNOT A HOTELを建てたように、自分の生まれ育った場所に今自分が一番向き合っているサービスが接続される。そんな瞬間を夢みて、これからもNOT A HOTELを広げていけたらと思います。

イベント情報


9/7(木)に「NNOT A HOTEL経営企画・財務経理にみる、NOT A CORPORATEな動き方」をテーマにオンラインイベントを開催します。今回のイベントではCEO濵渦自らが登壇し、NOT A HOTELのコーポレートチームの役割に囚われない動き方や、変化の大きい市場やテクノロジーに対応するための柔軟性など、「NOT A HOTELらしいコーポレート」のあり方をご紹介します。是非ご参加ください。

採用情報


現在、NOT A HOTELのコーポレートチームでは経営企画や経理・税務、総務をはじめ複数ポジションで採用強化中です。カジュアル面談も受け付けておりますので、気軽にご連絡ください。

STAFF
EDIT/PHOTO:Ryo Saimaru


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