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曖昧な言葉じゃ足りないよ

創作とだけしるしておきます。

~2023年7月のこと~
どうして君は私に言葉をくれないの?
すき、あいしてる、だいすきなんでもいい
私は馬鹿だから耳から聞いた言葉は忘れちゃうけど、目で見たものは忘れないからあなたから目に見えるものが貰いたいの

サンローランがすき、人に媚びないから
君は私にサンローランの帽子と靴をくれたね。人からプレゼントを貰ったことがほとんどないから嬉しかった、ほんとだよ。それを見るとあなたが私のために選んだことが嬉しくて、好きなものを知っていたのが嬉しくて使うことも勿体なくなる
それが愛だなって思うよ

手紙が欲しいの、好きは行動で示すって
わかんないじゃん行動なんて気分じゃん曖昧な言葉じゃ足りないの
目で見えるよう紙に書いて私にください
きみの言葉を見て、何度見返しても変わらない紙を見て安心したいよ

なにかしてあげたいよ
なにをしてあげたいかな
毎日しんどすぎる
生きているだけで偉いでしょ
もう終わりにしたい
あいしてるで綺麗に
結婚したかった君と
思考は分からないし思想もわからない
苗字をお揃いにしたら名前書くときに毎回嬉しいなとか、指輪が手にあったら手を見る度に嬉しい
証拠が欲しいの
愛を見えるように


~2024年の7月のこと~
曖昧な言葉じゃ足りなかった1年前の私は、1年経った私になっていた。
曖昧じゃない言葉でも足りなかったのかもしれない、コップが大きい訳じゃない。

ひび割れて穴が空いたコップにいくら注いでも流れ出てしまうだけだから。

2024年の4月、2年記念日に付き合っていた男の人が捕まった。
朝起きたら音信不通で家には私以外何も無かった。
10時まで待った、
14時に気づいたら学校にいた、
15時に彼の父親から彼が警察署にいると連絡が来て早稲田駅から大江戸線ってどうやっていくんだろうとかぼんやり考えた、現実かなって考えた、目がやけに霞んだ。
警察署で面会の書類を書いた、20分しか面会できないと言われてそんなルールがあったのに驚いた

弁護士さんと被疑者みたいなドラマしか見た事なかったから、私は普段から他愛もないことを喋るから20分は短すぎた

しばらくすると彼から手紙が届いた、捕まるまで手紙なんて書かなかったくせに、毎日のようにたくさんの文字が書かれた手紙が届いた。

言葉にしていれば欲しいものはいつか手に入るのかな、でも今じゃないと思った、わがままだ。

平日は朝7時に起きて彼に会いに行くのが私のルーティーンになった、寝れなかったし毎日世界でいちばん不幸だと思った、そんなわけないのに

彼の慰めになる存在が私だけでずっと檻の中、他の女もいないというのが面会に行き続けた理由だった。
私だけが知っている、私だけが会える、少し嬉しかったな
20分はは急いで要件を伝えるには長すぎるし、雑談や愛を囁くには短すぎた。
一人でいる時はずっと悲しかった、涙も涸れると言うけれど気を張っているときは涙が出ないの間違いだ、悲しさは持続すると知った。
警察署で何回も泣いた、看守のおじさんもよく泣く女だと思っていただろうな

眠剤を飲んで精神科で私はどうしたらよかったのと泣き叫び眠剤を飲んで、寝る前に手紙を読んで面会に行って、4月の記憶はほとんど抜け落ちている。

ブロンをずっと飲んでいた、馬鹿なんだと思う。
痴人の愛とモンスターを差し入れした、あと紀伊国屋で彼の母に頼まれた本も、読んだと言っていた

結局5月に彼は釈放された、そのあと知らない土地で知らない仕事につくと言ってまたそれも私の視界をぼやけさせた。

身分証を全て燃やしたけど燃やし残しがあったようでどこかに行くから待っていてと言われた

ならせめてお願いだから指輪が欲しいと散々駄々を捏ねた、結局彼は折れた。
Tiffanyで指輪を買ってくれた、右手は婚約指輪だと私は昔から思っていたから右手に着けた
左手につけると思っていたから不満だったみたい、結婚指輪は左手につけるからそれまで右手なんだよ。

手紙もくれた、指輪もくれた、でも彼はいなくなった
私は不満だった、あれだけ欲しかったものが全部手に入ったのに彼がいなくなることが許せなかった

2週間に1回帰ってきてくれた、どこで何をしているのかは分からなかった。
何回か帰ってくるうちに私も本気で探るのを辞めた。

会う度に彼からの好きも執着も薄くなっているのに気づいていた、手紙はもう読み返せなかった。

気持ちがもうないと分かっているのに読んで傷つきたくなかった。

6月に大喧嘩をして薬の過剰摂取で病院送りになった。記憶がそこもない、胃洗浄を食らったらしいけれど全く覚えてなかった。
意識があると苦しいと聞くから意識がなくてよかった

救急車を呼んでくれたのは彼だったがきっと彼が居なかったら死んでいる量の薬を飲んでいた。
苦しくはなかった、絞め落とされたみたいに眠かった、
意識が途切れた。

7月、彼がやっと家に帰ってきた。
私は手紙も読み返せなくなっていたし大喧嘩以来指輪もつけていなかった。
彼が居ない日は毎日毎日、過食嘔吐をしていたから喉に突っ込んだ右手につけた銀製の指輪はあっという間に黒ずんだ。

欲しかったものはこれなんだろうと神様に聞かれてる気分だ、確かに欲しいものは全て手に入った
彼の気持ち以外は全部手に入った

きっと私の愛は勘違いか洗脳だった、いつもそうだ

私と距離を置くと私への愛なんてすぐに消え去る

3年目は長かった、頑張ったと思う、頑張ったけど足りなかったからこうなったんだと思う

得られたものは楽に死ぬ方法、手紙、指輪、それだけ

ただの創作です。お気になさらず、よしなに。

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