どんなものでも「さん」を付ければかわいくなる説
「蟻さんおるねー」
義姉が甥っ子に向けて、テレビに映った人間以外の生物の存在、そしてその神秘について説明していた。
僕は蟻、というか昆虫がそんなに好きではないが、「蟻さん」と言われるとなんだかかわいく感じられ、画面上の小さな生物にも愛着が湧いた。
小さな子供に何かを説明するとき、特にそれが生き物の場合、「○○さん」と敬称をつけることが多いが、不思議なことにどんな生き物でも大体かわいくなる。
クマさん
おさるさん
うしさん
うさぎさん
よく「さん」を付けられる動物はこんなところだろうか。
これらの動物は「さん」が付いていないと生々しい動物の姿が連想されるが、「さん」が付くと急にいらすとやのフリー素材のような、デフォルメされたかわいいキャラが連想される。
これは
仮説①:「さん」が付くことで動物に人間性が付与され、より身近に感じられるから。
それとも
仮説②:動物がかわいくデフォルメされ「○○さん」とネーミングされたキャラに、昔から絵本などでよく接してきたから。
という仮説が考えられる。
どちらもありえるとは思うが、本当か確かめるために、今まであまり「さん」付けされてこなかったものにも「さん」を付けてみてかわいく感じられるかを実験してみたいと思う。
毛虫さん
→ぎりかわいい。
ハシビロコウさん
→かわいい。まあそもそもかわいいからな。
ゴキブリさん
→かわいくはない。けど殺虫剤のイラストくらいにはデフォルメされた!
チャバネゴキブリさん
→きもい。
ヘラクレスリッキーブルーさん
→あんまイメージ変わらないかも。
鬼さん
→かわいい。絶対人間側の鬼。
ヤマタノオロチさん
→かわいい。パズドラのキャラがイメージされた。
織田信長さん
→あの激烈なイメージは大分緩和され、織田信成くらいマイルドになった。
五郎丸歩さん
→これはただの人名。
石ころさん
→なんかかわいい。
岩石さん
→キャラクター感はある。
iPhone15 pro maxさん
→さすがに無理か。
天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)さん
→長すぎて微妙。
月間オリコンランキングさん
→無理だ。
どうだろうか。
この結果から、とりあえず大抵のものは「さん」を付けるとかわいくなるということが言えるのではないか。
例外としては、チャバネゴキブリなどの個別の種族名や、顔をはっきり知っている実在する人物、個別の商品名などになると、あまり印象は変わらない。
おそらく、具体性が高すぎるとデフォルメが追い付かないのだろう。
また、抽象的な概念はそもそも生物性を付与できず、像をイメージできない。
この結果を踏まえ、仮説①はおそらく正しいと言える。
「さん」は人間性を付与する力がある。ただ、限界はありそうである。
では仮説②はどうだろう。
これを検証するには赤ちゃんの時から一切「○○さん」を断ってもらうしかない。ので検証はできない。
が、少なからずあるのではないかとは思う。
絵本で「はらぺこあおむし」に接したから「毛虫さん」もすんなりイメージできたし、「ハシビロコウさん」は「からすのパンやさん」でイメージされた。
というわけで、「さん」をめちゃくちゃ変な単語に付けてボケるというのをやろうと思って書き始めたが、思いのほか真面目になってしまった。
まあ、こんなことがあってもいいだろう。
おつかれさん。
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