マグカップに潜む妖精1

マグカップを覗いても、小さな妖精は出てくるわけがなかった。

私の創作のクセやら、性格やらはここからきているのかもしれない、という作品が一つある。先述した通り、マグカップから妖精が召喚される少女漫画「ミルモでポン!」。
同じクラスの結木摂(ゆうきせつ)に片想いする主人公、南楓(みなみかえで)の元に、召喚用のマグカップで呼び出された妖精ミルモ。ミルモは楓の恋を叶えるという修行のため、楓の家に住み着く。といった感じの話。
好きすぎて昨日読み通しまくったのにまた読んでます。ちょっとくらい自粛したらいかが?

私が「ミルモでポン!」に出会ったのは実はアニメ放送だとか、漫画の本誌とかじゃなかった。レンタルビデオ店だった。
小学校低学年ごろだったと思う。親と共にレンタルビデオ店に行って、アニメコーナーを物色していた。そこに「わがままフェアリー ミルモでポン! ちゃあみんぐ」のDVDが置かれていた。それを手に取り、借りた。それがシリーズの最後であることも知らずに。
それを見終わって、ようやく前のシリーズが存在することを知り、全部見た。そんなことをしていたら父が漫画を中古で揃えてくれた。
といった出会い方としては珍しいものだった。

現在、アニメ版は、原作漫画が連載されていた、ちゃおの公式YouTubeに初回7話だけ残っている。私としては、ごおるでん(2ねんめ)とわんだほう(3ねんめ)が見たいのだが。もう、見ることはなかなかできない。探しても、Netflix、Amazonプライムビデオみたいなサブスクにはないようだし、ビデオテープでしか残っていなかったはず。つまり、再生機のない私の家では見ることができない。もう一回、見たかったな。
漫画版は個人的に全て持っているのでいつでも読める。今もその山に囲まれているようなもの。幸せ。

なんで、ごおるでんとわんだほうが好きなの? と聞かれたら、少女漫画原作としては重たすぎるくらいのオリジナルストーリーが好きだったから。これに尽きる。
ごおるでんは原作からの逸脱はまあ微妙なところ。でも、主人公の敵側であるアクミも、突然転校してきた謎のフルート奏者の沙織も原作には出てこない。ここからは完璧に振り返られもしないので、私の記憶頼りになっていくが、この二人が人間界と妖精界を滅茶苦茶にしていた。そこで出た主人公、楓の「もうやめて」と言う叫びがずっと心の中に残っている。あんな主人公すぎる人間、いるのか。あの叫びがきっかけになって、世界を救えるなんてどんな主人公じゃい。
しかし、見た当時はずっとなりたいなと思っていた。夢見る少女すぎて、いつかは妖精がやってきて、こんなことが起きるのかもしれないなんて妄想していた。今や「そんなわけねーだろ」って感じだが。でも、ああやって楽しい日々を送るのは夢でもある。

わんだほうの方はとんでもなく原作から逸脱している。原作に、人間界と妖精界以外の世界の存在は描かれていない。しかし、わんだほうでは第3の世界「クリスタルランド」が出てくる。そのクリスタルランドからやってきた超高性能なタコ型ロボット、タコスの話が主となっていく。ここが1番しんどい。これ、小学校低学年の頃に見るもんじゃないかもしれない。タコスの住んでいたクリスタルランドは、実は戦争中で、彼はそこから逃げてきたのだという。しかし、逃げる途中において来てしまった同じタコ型ロボットの花子ちゃんを探すために、楓たちも共に(?)クリスタルランドに戻る。花子ちゃんの体は、敵によってすでにスクラップの山に投棄されていた。が、直すための肝心な脳みそ部分がなくなっていた。そこに、敵の最終兵器がやってきて、周りを荒地にしていく。その兵器がタコスに目を向けた途端、攻撃をやめた。そして、タコスにとってとても懐かしい声が聞こえてくる。兵器の脳みその一部に、花子ちゃんのものが使われていた。という一連のストーリー、重すぎません? 重すぎて、私の文章が追いつかないです。

本当に、良質な作品なんだぞ。見せてくれ。アニメ版を……リマスターしてくれ……

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