『マトリックス レザレクションズ』をみた

忠言

はじめに断っておくと、僕はマトリックスにクソデカ感情を持っているわけではない。

昔DVDでマトリックスを見て、数年前に何周年記念かなにかで無印が4DXに対応した際に見に行って、最近レザレクションズが公開されると知って三部作をながら作業で流し見していた程度である。

なお、この記事は感想の体を繕おうとしているが、まるでできていない。

僕の 『JOKER』をみた という記事を少しでも見てもらうと分かるが、かなりとっちらかった文章がだらだらと続く。

くれぐれも気をつけてね。


前座

まあまあ面白かった。まあまあ。

単純な映画としての、単体として見るならば決して退屈はしないだろう。
しかし、あの、、マトリックスの、20年近く経ってからの新作ということを念頭に置いてしまうと、なにかと否めないものはある。

やっぱりというか、マトリックスは初代が格別に取りざたされている印象が少なくない。だからそれを超えられるか、という懸念は割と各所にあって、その懸念は杞憂ではなかったといったところだ。

2作品目や3作品目の評判も、僕は特に調べたことはないが、風聞のみをもってしても、どうやら良くはないらしいことが伺える。

確かに、1999年における「この世界はコンピュータによるシミュレーションであり、人間は電池として機械に支配されている」という考えは(僕は当時を生きた人間ではないが、おそらく)メジャーではなかった訳で、そんなとんでもない発想を植え付けられた観客が次作に多大な興味と関心を持ったのは仕方ないと言えるだろう。

しかし映画というものは次作がコケるというセオリーがあり、マトリックスはそれを覆せなかった。と、されているように見える。

個人的には2も3も面白いと思うけど。1でスーパーパワーの和製アニメジャパニメーション的な戦闘を楽しませてくれたところで、2は相対して泥臭い、実弾と血とオイルの戦争。かといって覚醒したネオによる無双もあったりして、そんで3は物語を完結させてくれたというだけで十分(完結していなかったことが18年越しに明らかになったが)。

ただやっぱりこの時代に見てしまうとCGが……画質が……といった技術的な問題が目に付かないわけでもない。ヒューマンドラマならそんなところは気にならないだろうけど、これは非現実を如何に現実に見せるか、という点も決して無視できない作品である。

だから18年もの年月を経て、CGもマシンパワーも格段に進化し、おそらく編集ソフトも使いやすくなったであろう現代におけるマトリックスは、もう、そらもう、とんでもない、すごくすごい映像が見れるんじゃないの!?!?!?!?!?!?と過剰な期待をしてしまうのは、仕方がないのだ。

もちろんもちろん、全くもって ”面白くなかった” 、などと宣うつもりは一切ない。
しかしマトリックス第一作目の、初めて映画館で見たときの、その衝撃を知らない僕としては、同等かそれ以上の衝撃を感じたかった、という身勝手な望みを押し付けていたということである。僕の問題である。




本文

ここからは躊躇なく映画本編の内容に触れさせてもらう。

まず言えるのは、


ネオ!!!!! ヒゲ剃れ!!!!!

これに尽きる。
いやさ。ヒゲ生えてるネオ、っつーかキアヌリーブスはさ、もうジョンウィックなわけ。ロン毛だし。

たしかにね、現実世界で目覚めたネオは坊主で、ヒゲも剃ってたよ。中途半端に。
「あー、初代のシーン再現してんなー」
って思ったけどさ。マトリックス内では常にジョンウィック。ネオもジョンウィックも無双キャラだから、マジで気を抜くと超能力使えるジョンウィックにしか見えない。

スミスとかモーフィアスとかトリニティとか、そういう ”The マトリックス” みたいなキャラもいない(役者交代or前半ほぼ出ない)から、なんの映画見に来たんだっけ……ってなる。
見ながら「おれは今マトリックスを見ている……」と自己暗示する必要に駆られるのは、流石に良くない。

まあ覚醒前のアンダーソン君がヒゲなのは仕方ないにしても、覚醒後は剃ってほしかったな。ネオに戻るっていう演出としても分かりやすくていいと思うんだけどな。やっぱりジョンウィック新作との兼ね合いかな。


でもネオが帰ってきたのは純粋に嬉しかった。年を取ってシワも増えて、体も少したるんでしまったけど(あとヒゲも伸びちゃったけど)、時々20年前のネオと完全にダブるんだよね。「変わってねーじゃん!」って。

特にヒゲのない現実世界でのカット。最新映画を見ているはずなのに懐かしい気持ちになれる。不思議な感覚。
ただ横顔になると……アゴの肉がちょっとね……。

しょうがない。キアヌリーブス今年で57なんでしょ。すごいよ。アラカンのアクションとは思えない。カンフーは忘れていなかったんだ。

そんな過去と未来が交錯する「マトリックス リザレクションズ」、絶賛上映中です。



初代リスペクト多っ メタ多っ

(リスペクトという言葉は自作品にも適用されるのかわからないけど、うまい代替語が見つからなかったからそのままにさせてもらう)

これは見始めた瞬間に浮かぶ印象だと思う。
僕は映画冒頭のとき、「あれ? 見る映画間違えた?」と少し心配になった。すぐ演出だとは思い直せたけど。

だってあんまりに初代なんだもん。先導するエージェントの人種とか、細かい部分は違うけど、ほぼ初代の冒頭と一緒。

そんでアジアンな女が言う。「私このシーンを知ってる」って。

おいおいおい。

この段階で、僕は少し心配になった。メタネタは非常に取扱が危険である。

オダギリジョーが監督だか脚本だかのドラマも、最終回で突然メタ展開をぶっこんできて、それはもうとんでもないことになってしまっていた。
素人が書く小説、というよりもSSは安易にメタに走り、もともと対して面白くないそれが恥で上塗りされていく光景も何度も見ている。
そもそも作品に没入したい層からしてみれば、メタネタなんてのは言語道断であり、少しでも下手を打てば一気に作品が陳腐化してしまう。

成功したメタネタといえばスタンリーパラブルとかシンエヴァとか、まぁ広義で言えばメタルギアも入るだろうか。
思い出せばもう少しあるだろうけれど、いずれも構造がかなり変わった作品だ。

スタンリーパラブルはメタ作品であるということがアイデンティティな、ゲームというよりもコンセプトアートのような側面がある。
メタルギアも操作説明の無線などでちょろっと匂わせる程度だし、そう考えるとレザレクションズのメタはシンエヴァに近いものがあるかもしれない。

とにかく、メタは危険だ。だから僕は開始早々にして恐怖した。ストーリーの最後にウォシャウスキー姉妹が出てきて「くぅ〜疲れましたw」とか言い始める幻覚が見えた。日本好きを公言しているようだけど、そこは模倣しないでくれ。


まあ、杞憂だった。

なぜ初代の冒頭を忠実に再現していたかの説明もちゃんとしてくれたし、筋道も通していたし、それでも途中の企画会議のシーンでは再び不安が押し寄せたけど、なんとかなった。

流石にセット内のスクリーンにモーフィアスとの初邂逅シーンを直接流したのにはびっくりしたけど。シンエヴァリスペクトだったりするのかな。

ただ何よりくどくなかった、というのが良い。メタネタが嫌悪される理由として、僕は「くどい」というのが挙げられる気がする。
作者の脳内には作品が確固として存在しているため、現実との交差は書いていると独特の面白さがあったりするものだけど、読者からするとまだその世界に慣れていないので気持ち悪いだけだったりする。そこの温度差でメタな作品は、自己満足というか、いわゆる作者のオ○ニー作品としてゴミ溜めに打ち捨てられがちな気がするのだ。

序盤は確かに初代リスペクトがスゴい。もうこれでもかってくらい見たことのあるシーン、見たことのある錠剤、見たことのあるウサギが出てくる。でも「これはそういう演出なんだ」って納得できるお膳立てをしてくれているし、実際そこを抜けると押し付けるようなリフレインは鳴りを潜める。

たまに「あ〜はいはいあのシーンね」みたいな訳知り顔後方彼氏面ができる場面を見つけて一人でニヤニヤする程度だ。僕はそんなことしないけど。

ただメロビンジアンのセリフは、些かやり過ぎだと思う。あまりに直接的すぎる。
思想が強いのは歓迎だが、婉曲して伝えてほしい。映画とか小説とかはその婉曲の加減を楽しむものじゃないのか。直接言って良いのはTwitterくんだりだけじゃないのか。

とは、歯に衣着せぬ僕の思想だ。



「はいはいあのシーンね」って場面

ごめんなさい、大好きです。

やっぱり最初のバッグスが逃げた先が鍵屋だったの、おっ、ってなるよね。キーメーカー出てくんのかと思ったよ。実際その直後モーフィアスがバックドア使うし。

ネオ覚醒シーンは完コピでちょっと笑っちゃった。でもピックアップした機械(名前忘れちゃった)がかなりスマートになってて、機械側の技術も進歩してるのが同時に示せる良いシーン。そしてネオの首周りのプラグ用インプラント増えすぎ。もうサイボーグじゃん。

ただやっぱり一番盛り上がるのは戦闘シミュレーションのシーンでしょ。
あそこではっきりアンダーソンがネオに戻るから。

モーフィアスの武術の移行プロセスもね〜。最高。
最初はこいつがモーフィアス?って感覚もあったけど、ネオに吹き飛ばされたあとの顔面のアップ。完全にモーフィアスだった。一瞬本人の映像使ったのか?って思った。

それからスミスとメロビンジアン(というかエグザイル)の戦闘場面で、モーフィアスがスミスに抱きつくようにして倒すのもよい。壁の中から脱出しようとして失敗したときの再現でしょ。

そっからのスミスとネオの戦闘も、どっかで見たような技とか構図とかいっぱい。再利用? いいえブラッシュアップです。

ネオがマトリックス内でボコボコにされてベッドに寝たまま体ビクンビクンッ!!ってなって吐血するのも見てて嬉しくなっちゃった。懐かしくて。

個人的には駅のホームで戦うシーンも欲しかった。あれが明確に「人間がエージェントに勝った」シーンだから。
ギリギリ拳がスミスに届かなかったネオが指伸ばして喉グエってなるのも見たかったなぁ〜。

あと「心と体は1つだ」って誰かに言ってほしかった。手ごろな機械あたりに。

そして最後にサティー。完全に意表を突かれた。左の方の席から「あぁ〜……」って声も聞こえた。
アツすぎる。しかもレザレクションズ序盤のウインク舌打ち(じゃないけど言い方がわからない)のシーン、なぜか記憶に残っててびっくりした。わざとらしいリフレイン中の取り留めのないワンカットのはずなのに。これが映画的技術か。

他にもいろいろ思わしいシーンがあったけど、よく覚えてないや。
見たの5日くらい前だし、ほんとは見た直後にメモ取りたかったんだけど、なんかちょこちょこ忙しくて取れなかった。
同じ映画2回見たら次から半額とかならないかな。ならないか。



世界観

このサブタイトルで本文を書き始めるべきだったかもしれない。

レボリューション後のマトリックスではネオの記憶がすべて妄想で、かつゲームとして世に出されておりヒットしている……つまりかなりこちらの現実に近い設定になっていた。

ニクいねぇ。これは伝わる人数がかなり減る例えだろうけど、平成ジェネレーションズFOREVERに近い不安感を覚えた。
え、これまでの戦いが全部天才ゲームクリエイター・アンダーソンの脳内設定だった……ってコト!? これから俺達はそんな彼の一生を追うモキュメンタリーを見せられるのか!?

全くもってそんなことはないんだけど、18年越しの新作という重圧に耐えかねた監督が狂ってその道を選択しても僕らは文句が言えないから、実は割とギリギリまで心配していた。
「大人になれよ」
って言ってくる例の映画みたいな。

いやー、よかったです本当に。

モーフィアスの設定が「自作ゲームの中から飛び出してくる」っていう、ちょっとアレなオタクの妄想っぽいのも最高。好きな女をゲームに出して、しかもその相手にそれが知られて、でもキモがられないのも最高。まぁあの二人だからってのはあるけど。
なんというか、やっぱりオタク的な要素は必須だよね。

でもヒゲは剃って。



アンダーソン君!!!!

声優がかなり頑張ってた。

あ、僕が見たのは吹替版ね。見にいく前日に小山力也のインタビュー記事読んじゃって、もう吹き替えで見るしかなかった。

ネオ、トリニティはオリジナルキャストだったし、多分メロビンジアンとナイオビもそのはずだけど、スミスとモーフィアスは変わってた。中村悠一(いっつもゼロノスの方と勘違いしちゃう)と諏訪部順一。こう見ると両者ともに名前が一で終わってるのか。どうでもいい。

モーフィアスが諏訪部ぇ?それは違くね?と思ってたけど、ちょくちょく玄田哲章に聞こえるんだよな。不思議なことに。
全く意識してなかったけど、もしかしたら発声が似てるのかも。

そしてスミス。スミスは普段からだいぶ寄せてきていた。最初は声優が変わってるのか変わってないのか自信が持てなかったくらい。
そして極めつけはあの「アンダーソンくぅぅん!!!」。本人かと思った。

諏訪部はもう諏訪部でしかなかったけど、中村悠一は原作(というと語弊があるが)再現に徹していた印象。

歴史があるキャラでこういう状況になった際、自分を出すべきか殺すべきかみたいな論争は度々起きているけど、今作は両方取りして丸く収めようって魂胆か? 一向に構わん。

トリニティの声がおばあちゃん過ぎ説はある。けど合ってたのでヨシ。

逆にネオの声若すぎ問題もある。もうちょっと加齢した声でも良かったんじゃない?

ま、些細なことです。



バレットタイム

完全にクロックアップ。高速移動してる側がフレームレートをあえて下げてるのもクロックアップの作り方動画でみた!!!!! ってなった。

でもやっぱり革新的映像ではない、あの当時のようにはならない。

映像技術が進歩しすぎたのだ。


人間爆弾

昨日まで言葉を交わしていた隣人が、隣に寝ている伴侶が、ビルから飛び出して人間爆弾に!!! botなので問題ありません。

これも映像というかショッキングな概念を導入しようとして用意された感はある。確かに面白かったが、しかし時代もまた早すぎる。

勢いと物量は全然違うけど、パプリカのワンシーンを思い出した。botの脳内もあんな感じなのかな。




ラブパワー

トリニティとネオが触れ合うとき、奇跡が起こる!

ロマンチックだしとてもキャッチー。なのは分かる。けどちょっと後半ラブパワー使いすぎじゃね? ありがたみが……。

うるせえ!! これまでネオとトリニティが会えなかった分のカタルシスだよ!!!!



スミスとの共闘

最高〜〜〜!!!!

宿敵との共闘が嫌いな人間なんていない。HALO3でフラッドが味方についたときの安心感といったら。エリートサンヘイリが味方になるのはまぁ、予想の範疇というかありえそうな感じあったけど、フラッドとは絶対共闘できないって思ってたからね。

スミスもそう。むしろ機械側と共闘(休戦だけど)するためのファクターとして登場してたくらいだし、絶対ないと思ってた。

そんですぐ敵に戻るのも最高。最高〜〜〜!!!



その他いろいろ

執筆現在11時。世間一般常識では深夜なんてのに掠りすらしていない時間だけど、僕はいまとても眠い。けど書ききりたいので、無理やり終わらせる。

  • モーフィアスの石像

    • なんか面白かった。なんでかな。

  • トリニティが分身したやつ

    • ごめん。これもちょっと笑っちゃった。トレーラーでも見たけど、やっぱりシュールさに負けてしまった。

  • 裏切り者

    • いなかったね。かなり初代を意識してたから裏切り者も出てくるかと思ったけど。まあアナリストが裏切り者っちゃ裏切り者か。裏切り者じゃなくて最初から敵じゃね?

  • トリニティの変心

    • いや、さっきまで家族がいるって、あなたは遅すぎたって言ってましたやん。突然家族捨ててネオの方に鞍替えっすか。もうちょっと葛藤のカットが見たかっ(激ウマギャグ)

  • 真の救世主とは

    • 救世主は、二人でひとつや。そういうことにしてあげてください。ネオがもうトリニティの後ろで黒猫を撫でることしか仕事がなくなっています。

  • キャットリックス

    • ちょっと、最後の最後でやりやがったなって感じ。個人的には最後に旧スミスがサングラスとってニヤって笑って終わりとかにしてほしかった。っていうかちょっとでいいから旧スミス見たかったよ。

こんなかんじ。



巻末

眠すぎて途中から何書いてるかわかんなくなったし、多分正気のときに読んだら消したくなること必至だろうけど、これは単純に記録として残しておこう。
ちゃんとした感想はレザレクションズがレンタルか配信落ちしたらまた見て、ゆっくり書こう。

ということで、お疲れ様でした。

ここはどこだ