ダイソーの300円イヤホンを使うと価値観が変わる

やっすい自己啓発本みてえなタイトルだな。

さて、この度は「DAISOの自称高音質300円イヤホンを使ってみた所感」をつらつらと書いていったものになります。次の段落の行頭を見ると、いきなりタイトルとはかけ離れた書き出しになっていますが、世の中そんなものです。ご容赦ください。

安かろう悪かろうの権化、玉石石石石混交の修羅場。鈍く輝く硬貨を一枚握りしめ、使えないゴミと使えるクズとを見極める不時着寸前のロー・フライヤーが集うその場は、一般には「百均」と呼ばれます。

その中でも、百均いちの背伸びっ子「Seria」と、質実剛健「DAISO」と、その陰に追いやられがちながら、平沢進の楽曲に登場したことだけを誇りに生きている「Can Do」、これら三店が百均業界の四聖獣です。足りない残り一つはあなたの土地の適当な百均を当てはめてください。私の近辺だと「Watts」ですね。

この物語は、これまで電気小物最強と(私から)信じられていたSeriaと、本記事主役のイヤホンを輩出したDAISOの二店間で繰り広げられる一大スペクタクルとなります。

さて、百均において最強のイヤホンといえば、Seriaの「Aluminum」であることは周知の事実でしょう。

画像1

その見た目といい、音質といい、どれもその他の百均イヤホンとは一線を画すものです。さすがに通話ボタンは付かずとも、同じ100円という価格でマイク付きとマイクなしの二通りの仕様を選べた点もグッド。
そして何より秀でていたのは「スピーカ部からコードを保護するプラスチック部分の短さ」でした。

画像2

私は100円のイヤホンを使っていながら、いわゆる「SHURE掛け」という方法でイヤホンを着用しています。これはイヤホンを直接耳に差さず、一度コードを耳の裏に回してから差すというものです。こうすることでコードと何かが衝突して生まれるノイズ(タッチノイズと言うそう)を軽減することができます。
そしてこの掛け方をする際、ネックになるのが「スピーカ部からコードを保護するプラスチック部分の長さ」です。
百均のイヤホンというのは、どうしてかこの部分が長めな傾向があります。開発陣は、そちらの方が断線を避けられるとでも思っているのでしょうか。力の分散が望まれ、実用期間が延びるとでも考えたのでしょうか。
百均でイヤホンを買うような連中が、断線を気にしているとでも、本気で思っているのでしょうか。答えは否です。我々は百均のイヤホンを半ば「使い捨ての消耗品」として扱っています。何せ100円です。そこらの自販機で買うジュース一本我慢すればおつりがくる金額相手に、できるだけ長く使おうなどという気持ちが生じるでしょうか。
答えは是です。百均でイヤホンを買う連中は、その僅かな金銭をすら惜しみ、「100円だから、三か月ちょっと使えば1日1円ってことになるな」などというモチベーションのどん底を這い回っているのです。たかが100円、されど100円。100円を笑うものは100円に泣きましょう。我々はあの直径22.6mm、4.8gの金属の塊に、到底見切れぬ夢の、その一端を覗こうとしているのです。

少し話が逸れてしまいましたね。つまり、「スピーカ部からコードを保護するプラスチック部分」が長いと、SHURE掛けをした際、耳からプラスチックが飛び出す羽目になってしまいます。これは実用的にも、外観的にも、よくありません。外れやすくて、ダサい。最悪です。私はこういったイヤホンを買ってしまったとき、「件のプラスチック部」をラジオペンチなどで砕いて使っていたのですが、荒い破断面は控えめに耳を刺突し、想定外の外力が加えられたコードの寿命は短くなってしまいます。

対して、Aluminumは「件のプラスチック部」が限りなく短い。その上見た目が割かし良く、音質も(同価格帯の中では)良い。これら三本の矢でもって「百均イヤホン界の頂点の座」を確固たるものにしていたのです。

ところが、ある日、革新が起こります。その爆心は、そう、かのDAISOでありました。

時は西暦2021年。月は3。日は22。国連により「水の日」と定められているだけの、本当にどうしようもない日でした。
私は経年劣化でカチカチになり、挙句には割れてしまったイヤホンのコードに飽き飽きし、テーブルに置いてあった誰かの500円玉を握りしめ、最も近くのDAISOへ足を運びました。本来ならばSeriaのAluminumを買いに行きたいところですが、あいにくSeriaは三大百均の中で最も離れた場所にあります。

正直、DAISOの電気小物はクソです。碌なものが置いてありません。客のニーズというものがおそらく理解できていないのでしょう。

こと電気小物に関してはSeriaが最強と述べましたが、実はCan Doもなかなか光るものを持っています。一昨日ぶっ壊れたスマホリングならぬスマホバンドは、およそ半年もの間に渡って私とスマホとを固く結んでくれました。
それ、"電気"小物じゃねえんじゃねえの、って? 実はここだけの話、スマホに関係するものはすべて電気小物なんです。

最善、Seria。次善、Can Do。イヤホンの購入地としてのDAISOなど、圏外に等しい。これは今日まで変わることのなかった掟です。
ですので、DAISOへ向かう私の足取りといえば、ひどく重たいものでした。

(どうせ音質悪くて、クソダサくて、「件のプラスチック部」がバカ長えイヤホンしか売ってねえんだろうな)

そんなことを考え、ふと私はかつてDAISOで買った、白い、300円イヤホンのことを思い出していました。

百均における「300円」の価値は、百均の外の世界(アウターワールド)での300円の価値とは全く異なります。
300円というのは、どちらかといえば軽んじられる金額です。300円を見せて、高価か安価、どちらと判断するか、というアンケートを街頭で行った結果、は存在しませんが、大多数が安価へ票を投じるはずです。(これが硬貨か安価か、であれば結果はまた変わるでしょうが)
しかし百均内における300円の相対評価は、間違いなく高価です。近年では百均のくせに500円だの1000円だのと異常価格商品を頻発している店もありますが、とはいえ300円は高価であるという意識は根深いものです。通常の3倍ですよ、3倍。

ならば300円のイヤホンは、きっと100円のイヤホンとは比べ物にならないほどの音色を響かせてくれるはず。

そう思ったあなたは甘ちゃんです。Noobです。半年ROMってください。
一般に、百均における300円イヤホンとは、「マイク付き、通話ボタン付きの、音質100円相当、あわよくば未満」というとんでもない代物です。事実、かつて私が購入した白き悪魔は確実に音質がAluminum以下でした。300円であるにも関わらず、です。通話ボタンは一つのみで、音量調節も、マイクミュート機能もないのに、です。「件のプラスチック部」がとんでもなく長かったのに、です。

私は失望しました。DAISOにではありません。愚かな自分自身に絶望しました。
価格だけが製品の質を決めるすべてではない。長い百均との生活を通して培ったはずのその価値観を、いつしか忘れ去ってしまった。
すまない、DAISO。すまない、百均。

それ以来、私はDAISOの電気小物コーナーへ行くことは少なくなりました。トラウマになりました。3倍出して価値は3分の1以下ですよ。詐欺。信じられない。DAISO、KUSO。あとチャックにもなるイヤホンとか売ってた。まともに使えるわけね―じゃん。バーカバーカ。

いつしか、遠い過去に置いてきたはずの怒りの炎が、めらめらと燃え盛っていくのを感じました。
そう。DAISOに到着したのです。

到着するなり私はスマホを取り出しました。何を買いに来たか忘れたからではありません。
素早くChrome(クローム)の検索窓に「百均 イヤホン」と入力し、少し考え、「ロケ○トニュース」をスペースで繋いでから検索しました。

そこには、我々百均常連にとって、なかなか興味深い記事を更新しているライターがいるのです。その名は「G○羽鳥」。彼は身を削って、数々の百均商品を検証してきたパイオニアです。

すると出てきましたイヤホンの記事が。しかも、DAISO! 300円!
なるほど、なるほど。これは運命だな、と私は感じました。

(どれ、いつかの雪辱を果たそうではないか)

いつも通りの読みやすく、適度な長さの記事。節々にちりばめられたユーモア。この記事だけで、もう既に300円以上の価値、あるよ。そんな媚び諂いを隠し切れぬ感想を考えていたかは別として、記事の結論で言えば、そのイヤホンは「アリ」でした。

ほーん。

買ってやろうじゃん。

正直、この記事がお勧めしている時点で、私の「勝ち」はほぼ確定していたのですが、しかし勝負とはいったい何が起きるのかわからないもの。ここで買って、使って、初めて私は完全なる勝利(パーフェクト・ヴィクトリー)に酔いしれることができるのです。

おもむろに電気小物コーナーへ向かう私の足取りには、もうかつての侮りも、怯えも、油断も隙も、土踏まずの接地もありませんでした。そうとも。私は偏平足ではない。それこそが、私の勝利の、その、先の、あの、あれ


ところが、ここで事件が起こります。例の記事では一種類のイヤホンについてのみ書かれていたため、それだけだと思っていた私の前に、「高音域重視」、「バランス型」、「重低音重視」の3タイプの300円イヤホンが立ちはだかりました。

そう、かの商品はシリーズものだったのです。

思いもよらぬ展開。3種の神器。私の葛藤を利用してまでDAISOは私に300円イヤホンを買わせぬつもりか、と追いやったはずの憤怒が鎌首をもたげます。

3つ。揃えたい。揃えてどれが一番いいか、確かめたい。しかし、300円。3つで900円。税込み990円。
DAISO相手に、札。百均で、野口英世が取引されると。
否。断じて不可。許されぬ。百均で流通してよい最大の金額は、500円玉までなのだ。硬貨の範疇を超えた先は、無垢なる闇だ。

“Beware that, when fighting monsters, you yourself do not become a monster… for when you use thousand yen, Hideyo gazes also into you.”
怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。
千円を使う時、英世もまたこちらを覗いているのだ。

ニーチェもかく語りき。一撃。最善の一手を持って、勝負は決される。
ずっしりと重い500円を持つ右手に、汗がじとりと滲んだ。こちとら、これが今の全財産なのだ。三つ子だなんて、聞いていない――――


画像14

バランス型を購入しました。

帰宅したら、さっそく視聴です。比較対象には、いつどこで買ったかわからない片方断線したから切り落としてダウンのポッケに入れっぱなしの黒いイヤホンと、我らが大正義Aluminum(マイク付き)を用意しました。使用する楽曲はAmazarashiで「あんたへ」。タイトル通り、聞き手に直接語り掛けてくる歌詞が胸を打つ名篇です。

まず断線かたw……は言葉狩りを受けていたので表現を慎み、断線イヤホン。

画像4

うーん、まあ、聞けるわ。音が聞こえる。そんな感じ。
なんか片方だけのイヤホンを使ってると段々つけてないほうの耳からもおんなじ音が聞こえてるように感じることない? 知らんけど。

再生を一時停止し、続いてAluminumを聞きます。

画像5

いつもの。相変わらず底辺価格で栄華を誇るザリガニみたいなやつだ。安心感がある。

最後にDAISO。果たしてどうなるのでしょうか。

画像6


!?

違う。恐ろしく違う。何が違う。”重み”が違う。
音の向こうに、空間がある。響いているのだ、明らかに。その矮小な発音機構にそぐわぬ体積の中に、私はいる。
それだけではない。”静か”なのだ、世界が。ストーブの炎がちらつく音も、家屋の壁を隔てた2tトラックの揺動も、隣の家の犬と子供の高周波も、まるで聞こえない……というと流石に言が過ぎる。”遠い”。これならば妥当だろう。
騒音と、一歩置いた距離。それは強者の余裕。膠着の間。
そうか、イヤホンには遮音性も必要なのだ。
今まで思いもよらなかった。イヤホンの音質とは、その機構が、銅線の抵抗が、コイルの密度が、振動板の薄さだけだと思っていた。
違う。どれだけ精巧に音を再現しようとも、外からノイズが入っては意味がない。
それだけのことに、おれは今まで気が付かなかった。目からうろこならぬ、耳から……一体、何が剥がれ落ちるんだろう。
とにかく。これは、すごいぞ。

先んじて言っておきますが、私の耳は貧乏です。貧乏極まります。ガリッガリの栄養失調です。何せこれまで百均のイヤホンか、投げ売りされている中華のBluetoothイヤホンか、引き出しの奥に眠っていたpioneerのふっるいイヤホン程度しか使ったことがありません。
その程度の男の語彙でこのイヤホンを例えるならば、「音の籠りの少ない、無線のホワイトノイズが乗らない、遮音性の高い、セール価格998円の完全ワイヤレスイヤホン」の音です。
おそらく、世に蔓延る音響強者の皆様からすれば鼻で笑われ、その鼻息で吹き飛んでしまうほど浅く軽い音質なのでしょう。
しかし私にとっては圧巻でした。正直、音響界隈へ向ける目が大きく変わりました。

これまで私は、高い金を出して音質を求める者たちのことを救いようのない愚者だと思っていました。これは私が音響ガチ勢を知ることになったコピペの影響も大きいです。曰く、

電源コードを変えると音が変わるのはピュア界では常識です。
私は発電所から専用線で我が家まで電力を引っ張り込んでいます。
電線の材質は無酸素銅が最高ですよ。
おかげで、ウチはミニコンですが、ハイエンドよりいい音がしますよ。

だとか。

真のピュアオーディオの道は発電所選びから始まります。

だとか。

他にもオーディオ専用の電柱を立てるとか聞く部屋は電波暗室がベストとか原子力発電所の電気を使うと劣化ウランの重量感とどこまでも突き抜ける中性子の透明感を併せ持つとか。

明らかにネタだろうとは分かっていますが、火のない所に煙は立たぬとも言います。
要するにオーディオなんてのは、中々に頭のおかしい狂人どもの道楽であったわけです。私の中では。

ところがどっこい。この300円のイヤホンを使って、私はおそらくオーディオ狂の求める境地を垣間見ました。
彼らは空間を持ち運ぼうとしていたのですね。あのアーティストがいたはずのスタジオを。いつかのライブハウスを。コンサートホールを。
いつでもどこでもあの感情を。あの感動を。時間、空間という概念を、己が意識の統制下に敷く。
なるほど、なるほど。それは確かに、ロマンです。

私も、いろいろと試しました。Youtubeで「高音質」だの「立体音響」だので検索しまくり、聞きたい曲の動画がまるでないことに気づき、こういう動画って権利関係どうなってるんだろうな~などと浅ましい思索に耽りながら音の面白さを再確認していました。
それは実に興味深い時間でした。ですが、それだけでした。

10

確かに、音響は面白い。目を閉じて、耳に意識を集中すれば、まるでここではないどこかへトリップしたような気分を味わえるでしょう。スピーカの向こうに広大な草原だろうと戦場だろうと何もかもを再現できるのでしょう。
しかし私は気づいたのです。

きっと、この楽しみは、1週間で飽きる。

このイヤホンを使ってここまで楽しめたのは、きっと私が今までゴミ同然のイヤホンしか使ってこなかったからなのだと思います。

いつだって人は何かと何かを比べることでしか物事を判断できない

とは私が勝手に言っていることなのですが、たぶんいつかのどこかの偉い人も同じようなことを言ってると思います。なので各自引用元を頭に思い浮かべておいてください。
つまり、オーディオの楽しみとは、これまでの環境より良い環境に身を移したときにのみ味わえるものなのではないでしょうか。
もっと良いスピーカを。もっと良いコンポを。もっと良いイヤホンを。もっと良いヘッドホンを。もっと強く。もっと高く。際限なく膨らみ続けた欲望は、ついに危険な領域へと突入する――――。

11

まあ、だからなんだって話ではありません。多くの娯楽というものはこの体制をとっているだろうし、本人が楽しめていれば何よりなものです。趣味なんてものは。
ゲーム機だって新世代機が出るたびにそのグラフィックではしゃいで騒いでおめでたいものです。ゲームの内容は碌に進化もしていないのに。
それに、ゲーミングPCなんてその最たるものです。いくらかのフレームレートのためだけに大金を溶かしている人間がいます。恐ろしいものですね。

しかしそれこそが人間の長い進化の歴史でもあります。つまるところ、が見つけられなかったので、この話はこれでおしまいです。

商品紹介

ということで、商品のまともなレビューをしていきたいと思います。

画像7

DAISO 高音質ステレオイヤホン 300円(税抜)

まず外装から見ていきます。パッケージの佇まいからオーラが違いますね。百均イヤホンがこの透明なトレイに入ってるのは初めて見たかもしれません。

長さは約1.2m。これも百均のステレオイヤホンにしては長い方ですね。大抵は1mです。ので、個人的に少々煩雑に思います。その20cmで、いったい何ができるようになるというのでしょうか。

そしてパッケージ横。

画像8

そう、インピーダンスがどうとか書いてあるんですね。これは中々やってます。それ自体は特別珍しいことでもないんですが、百均製品のくせにこういう所に注力していると、なんかなぁ……って印象を受けます。ちなみにAluminumにはそういう表記、一切ありません。潔いですね。

イヤホンを取り出すと、コードから私の嫌いなタイプの感触がしました。材質表示を見てみるとTPEという素材らしいです。古いpioneerのイヤホンのコードも同じ素材だったので、やはり塩化ビニルよりこちらの方が高級ということなのでしょう。しかしこの弾力といい、肌に引っ付くような抵抗といい、あまり好みではありません。何より放置しておくと埃がくっついて汚くなります。絡まったとき解くのも大変です。でもきっと、経年劣化による硬化が起きにくいのでしょう。取柄などそこだけです。とても重要ですね。

そしてなんと裏面にロット番号が書いてありました。

画像9

すごい。

イヤーピースは普通のシリコンゴム製ですが、外して見ると綺麗な網目が。

画像10

昆虫の複眼みたいで綺麗ですね。

他の百円イヤホンは基本的に、イヤーピースを外してみても深淵が広がるばかりです。

画像11

こういうあみあみの感じはむしろ、安いBluetoothイヤホンで見かけることが多いですね。

画像12

これがドンキで売っていた1000円弱のイヤホンです。網の密度が低く、バリの処理などもDAISOのものより粗雑に見えますね。百均以下です。

スピーカ部を持った感じ、ほかの百円イヤホンと比べてずっしりとした印象がありました。比較対象がプラスチック製のイヤホンならば納得なのですが、同じアルミニウム製という土俵であるはずのAluminumより重いとはどういう了見なのでしょうか。そこで重量を測ってみました。

画像13

Aluminum、11g。

画像14

DAISO、12g。

そりゃ一部分しか金属でないAluminumに比べれば、外装は全部金属製のDAISOイヤホンの方が重いですわ。
1gの重みの影響は未だ出ていません。多分これからも出ることはないと思います。ただ、イヤホン自体の高さ(厚さ?)は少し大きめなので、寝ながらイヤホンを使うという方は寝返りに気を付けた方がいいかもしれません。入っちゃいけないところまで入ってきます。耳の。

続いて音質について、と行きたいところなのですが、初めての感覚だったので、正確に言語化することができません。ただ「音の立体感」を感じることはできました。心なしかAluminumよりいろんな種類の楽器の音が聞きやすい気もして、よくイヤホンの評価で聞く「音の粒立ちがなんたら」みたいな言葉がなぜ生まれたのかも想像できました。
あと「音圧」という言葉の意味も少し理解できました。それまではただの音量の大きさと音割れの有無のみを指している言葉かと思っていましたが、確かに「押される」感覚を体験することもできます。ちょっと鼓膜が心配になるくらいです。

また、遮音性も高い……とはもう何度も言っているのですが、そうなのです。密閉感が違います。正直、つけっぱなしでいたら絶対内耳がおかしくなります。今までのイヤホンは通気性が良かったんだな、としみじみ思いました。

最後に

DAISOの300円イヤホン、すごいです。マジで。音響に対する見方、価値観、本当に変わりました。ありがとう、DAISO。

私以外にも「人生で3桁を超える金額のイヤホン・ヘッドホンを使ったことがない!」という方がいるかはわかりませんが、もしいるのならぜひ買ってあげてください。多分めっちゃ感謝されます。300円で売れる恩としては最大に近いと思います。

ただ、そのせいでそいつがオーディオの道に入り込んでしまったのならば、逆に可哀そうかもしれませんね。3桁以上のイヤホン買えないやつがまともな商品を買えるわけがないので。ちょっとネットショップを覗くだけで6桁とか我が物顔で出てきますからね。
私もここまでです。ここから更に踏み込むのは自殺と同義と存じます。適材適所ではありませんが、私のような貧民にとってはこの300円イヤホンがお似合いということです。これ以上を望むことはきっと、許されません。

では、私はこれからSeriaに「低反発イヤーピース」を買いに行ってきます。さようなら。


おまけ

こんなのあります。昔のニコニコってすごいですね。


ここはどこだ