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以前読んだ本の感想「内部被曝」

広島に投下された原爆の被災者6000人を診てきた医師が著した本です。テレビや新聞だけみていてもここまでのことは、わかりません。とても貴重な本だと思います。
 放射線とは、なにか。代表的には、3種類あり、アルファ線、ベータ線、ガンマ線。アルファ線は、ヘリウムの原子核の粒、ベータ線は電子の粒。ガンマ線は、エネルギーの大きいエックス線の一種。放射能による被曝には、2種類あり、「外部被曝」と「内部被曝」がある。内部被曝で、主に問題となるのは、アルファ線とベータ線。
 一度、体内に放射性物質を取り込んでしまうと、放射性物質の種類によって、特定の臓器にたまりやすいことがわかっています。ヨウ素は、甲状腺、ストロンチウム90は、骨に沈着しやすい。こうした人工の放射性物質とは別に自然界にも、もともと存在する放射性物質があります。ラジウムです。しかし、骨髄は、密度のたかい骨が取り囲んでいるので、その影響がでないようになっているのだそうです。長い年月をかけて、自然の放射性物質には対抗できる体になっているということなのでしょう。
 福島原発の事故後の対応をしていた作業員が、心筋梗塞でなくなった件について、推測ではありますが、セシウムの影響ではないか、とのことです。バンダジェフスキー博士の研究では、セシウム137に被曝すると急性の心筋梗塞をおこしやすくなることがわかっているそうです。
 「ペトカウ効果」が紹介されています。「低線量の慢性的な被曝は、高線量の短時間照射よりも影響が大きい」→低線量率の放射線は、活性酸素を体内に発生させ、細胞を傷つけます。また、免疫システムが阻害されます。
 クリプトン85(放射性不活性ガス)の大気中の濃度は、核時代が始まる前の何百万倍となっているそうでうすが、除去の方法がないそうです。
 読み進めるうちに、絶望的な気持になりますが、筆者は広島で被曝しても、95歳までいきているわけです。
 では、どうしたらいいのか。特別なことは、なにもないようです。免疫力を維持するために、食べ物は、よくかむこと。早起きして、時間をかけて食事をとり、夕食は控えめに。タバコはすぐにやめるべき。味噌や梅干しなど、日本の伝統食品である発酵食品には、微生物がふくまれているので、有効のようです(昔ながらの製法であることが大切)。ビタミンCも細胞膜を防御するそうです。
 宇宙戦艦ヤマトに登場する「コスモクリーナー」があるといいのですが。
<著者>肥田 舜太郎 氏
<発行所>株式会社 扶桑社
※扶桑社新書

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