いのちの箱舟#3-4-2【新訳 動物園が消える日】「啄木鳥」②
※この作品はフィクションです。実在する人物・団体・事件等とは、一切関係がありません。
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七海から「国立動物園がすがたを変える」ことを聞いて、通学の利便のためひとり暮らしをしている自宅に戻ってからも、響は寝付けなかった。約束があるから、夕方までは誰にも円がすがたを変えることを話してはいけない。けれど響は必ずこのことを円に伝えなくては、と思った。深夜二十五時だというのに頭がいやに冴えて、こめかみのあたりがぴりぴりした。
翌日の古文の授業は、「虫めづる姫君」の輪読だった。