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【18日目】僕の日記〜夏休みの図書室編〜

また学生の頃の話になって恐縮だが、僕は授業の無い日に学校に行くのが好きだった。
というのも、僕の通う高校では長期休暇の間や高校3年の後半などに「授業は無いが職員室や図書室は解放している」という期間があったのだ。
その間は自由登校。
来ても来なくても成績には影響が無いのでまぁみんな来ないし学校側も来るとは思ってない。

しかし僕は、普段授業をフケったりする癖にそういうときだけ意気揚々と校門をくぐるのだ。

僕にとってそういう日の学校ほど面白いものは無いと思っている。
なぜなら普段はやらなきゃいけないことばっかり考えていて取っつきにくい先生たちが、少し気を抜いて校内にいるからだ。


例えばとある夏休み。
僕は文化祭で出す部誌の原稿をしようと、クーラーの効いた図書室へ行った。
室内には数人、真面目な生徒が課題か自習をしている程度でとても静かだった。
僕がぼやぼや題材を何にしようか考えていると、隣のテーブルに政治経済の先生が座った。

この先生は小学生くらいのひとり娘がいそうなおじさん先生で、くるくるとした天然パーマな髪と眠そうな目、まったりとした喋り方が特徴的だ。
「政治経済」という学生からしてみるとつまらん授業を受け持ちそのまったりした喋り方から生徒にナメられ、ちゃんと授業を進められていない先生だ。
居眠りする生徒を見つけるのも上手い。

しかしあまり気付かれていないが、決して高くないテンションのまま毒を吐いていたり教科書通りの朗読授業ではなく一度咀嚼して言い換えている部分があったりテストでいじわる問題を出していたりと、一癖も二癖もある人だ。
僕はきっと、この人は授業がスムーズに進まないことに不満なんて感じてないタイプだと推察する。
たぶん普段から変なこと考えてるタイプ。
僕はけっこう好きだった。

そんな先生が本を片手に図書室を訪れた。
時間が空いたから本読みに来たのかな、何もなくとも学校にいなきゃいけないなんて大変だな、なんて考えながら僕は自分の作業に戻った。


しばらくして隣を見ると、なんと先生は本を置いて居眠りをしているではないか!

机に肘をついて両腕をクロスさせたところを枕にして机に突っ伏すようにして眠っている!!


僕は嬉しくなった。
授業中に居眠りをしている生徒と全く同じポーズだからだ。
時刻はだいたい昼過ぎ。ちょうど授業中に居眠りをしたくなる時間帯だ。
先生だって同じじゃないか!

僕らは気を抜けば眠くなる。でも先生は「教室」で「授業中」の「教師」というシチュエーションだからそれを咎める。
でも先生だって眠くなる。眠くなれば机に突っ伏して眠る!
僕は特殊な性質だから怒られていたわけじゃない!

僕は嬉しくなってその先生が寝ているところを盗撮した。そしてそれを友人たちに報告した!


その結果は「ふぅん。」だった。

このとき、人はもっと大げさでドラマチックなギャップじゃないと感動しないのだと感じた。
そして今これを書いてみて、確かに他人に伝えるには大した話ではないなと感じた。
今日の発見だ。ありがとう先生。

特に利用するあてがありません。ごめんなさい。