能登の未来をみんなで考える―石川県の創造的復興ビジョン策定への協力
NOSIGNER代表の太刀川英輔です。
能登半島地震、石川県の創造的復興アドバイザリーボード委員を務めています。
そんなわけで4月28日は、カタリバさんたちが頑張ってる「のと未来トーク」参加のために能登の志賀町に向かいました。
年始以来能登に何度も来てみて、ここはガチの聖地だなあ、と感じます。それも過去の聖地でなくて、ひょっとしたらこれからの聖地になれる場所かもしれないな、と。
そりゃもちろん、スティーブ・ジョブズも信望した曹洞禅の大本山総持寺の祖院や1000年以上続く須須神社や気多大社、あるいは日本のクラフトのフラグシップといっても良い輪島塗など語ることはあるのですが、それ以上にここには何かある。
能登の持つ水と緑の豊かな自然。そして気候災害や自然災害にさいなまれ続けた土地での、自然と人間の共存する暮らし方と文化。
それは日本だけでなく、これからの地球規模のテーマだと思います。
正月の能登半島地震があって1週間後の1/9に現地に入って、車の後ろで揺られながら3DのGISデータを解析して流域地図を描いてみました。
驚いたのは、珠洲などの古来からの能登の集落のプランニングが分水嶺で分かれており、小流域の形とぴったりとフィットしたこと。
現在では忘れられつつある、山に流れ込む水の形通りに助け合って農業し、鎮守の森を守る住まい方が、能登ではおそらく何千年も根付いてきていたのです。
ADAPTMENTプロジェクトで解析した流域地図、ぜひこちらからダウンロードして見てみてください。
もともと右肩下がりの地域において、ただ復旧しただけでは希望ある未来にはつながらない。
しかも今回の正月の能登地震では17年前にも大きな地震があり、その後も2020年から4年以上にわたって群発地震が発生していて、過去の震災の爪痕も冷めない中で今回の正月の大地震が来てしまった。
だからこそ逆に、この場所を自然と人間の関係を考える聖地にするくらいのインパクトがある創造的復興のビジョンを作りたい。
それは外から関わっている僕らや企業だけでなく、能登に住む地域のリーダーたち自身が真剣に考えていることでもあります。
いま県ではこれからの復興のためのビジョンを策定しています。
現実的なプランとしてのビジョンと、本当にありたい未来にはまだまだ乖離がありますが、僕たちなりにアドバイスしてみているところです。
これまでの会議で提出された資料へのフィードバックの形で、第一回及び第二回アドバイザリーボード会議で提案した資料を下記に添付します。
先日3ヶ月ぶりに珠洲の沿岸部に行ってみると、震災直後と変わらない姿で瓦礫がそのまま残されていたことにショックを受けました。
ボランティアもインフラの工事会社などもまだまだ全然足りません。
近年の震災直後には、いつも「邪魔になるから被災地には関わらないほうがいい」といったSNSの言説が登場します。
しかし多くの場合、これは被災の現実を知らない発言者による、関わらない言い訳でしかありません。
言うまでもなく、泥臭くても不恰好でも、関わった人だけが役に立つのです。そして立ちあがろうとする方々と新しい取り組みをやってみることは、楽しい経験でもあります。
そんなわけで皆さん、僕も外からの立場ですが、一緒にこれからの能登の未来を面白がりつつも、関わってみませんか。
第二回アドバイザリーボード会議資料(僕の発表資料は64Pから)
第一回アドバイザリーボード会議資料(僕の発表資料は35Pから)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?