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仲町145の妹島さんの建築。〈なかまちテラス_仲町〉

BRUTUS Casaの表紙に描かれる円形の建物に心を掴まれました。ミレニアムファルコン号のように空に飛び立ちそうなガラスに覆われた2004年に開館した妹島和代と西島立衝のユニットSANNA設計の『金沢21世紀美術館』。

高速を飛ばして息子と一緒にここ来れたことに満足。空が見えて、水があり、どこにいても柔らかな光に包まれる空間に一日浸りしあわせな気持ちになりました。それから追いかける妹島和代と西島立衛の建築。

ある日の市報で目にする老朽化した仲町公民館と仲町図書館を閉館し複合施設として建て替える記事で、その設計が妹島和代に決まると知り、小平に妹島さんの建築がと胸を躍らせて小躍りしたあの日。

オープンの翌日に訪れた『なかまちテラス』で感じたのは、建物の中は想像よりもこぢんまりとしていて、少し窮屈だなと思うも、このスケール感は運営が落ち着いてきたら、居心地の良さに変わるかもということ。妹島さんの設計で人を呼び込むというよりは、仲町周辺に馴染む施設になっていけば良いなと思った。

久しぶりに訪れた『なかまちテラス』は、学習室から奏でられる音楽が聞こえ、カフェで寛ぐお母さんと小さな子がとても楽しそうで、館内では幅広い年代の方々がそれぞれの場所でそれぞれに使っている。なんか自分のまちの施設として、あまり妹島さんの建築だとは意識をせずに。

ふと思い出したのが数年前に訪れた香川県高松の岡昇平さんが設計した『仏生山温泉』という公衆浴場。デザインされた素敵な温泉施設なのに、地元の方たちはスーパー銭湯のような使い勝手で訪れていて、肩ひじ張らずまちの人たちの普段使いになっていた。だけども小さい頃からこういう場に触れていたら何かが育っていくのだろうと思った思い出。

並び飾られる手作りのディスプレイや案内に装飾や工作や、子供たちに向けてとか、ティーンズに向けたとか、地元を意識した企画に職員の温もりを感じます。エキスパンドメタル越しに注ぐ光はとても心地よく、ところどころに置かれる大小カラフルな妹島さんのラビットチェアが愛らしい。

最近まちの景色に馴染んできたなと思うようになる大きくも小さくもない斜めの壁が組み合わさる建築。7つの箱が2階、3階と階をあがるにつれなだらかに連なる1階の風が抜ける余白が好き。

妹島節炸裂のエキスパンドメタルで覆われる外観も光を和らげる装置なんですよと思えば圧迫感も少しは和らぐか。それでも網タイツ越しではなく3階にあるバルコニーから見渡す小平の町並みがほんとにただの町並みなのに気持ちが落ち着く。

そんな目で見て自分のお気に入りの場所を見つけて楽しんでみませんか。

(は)はその横に寄り添うようにあるあの頃のままの交番がお気に入りの建築。

(は)

【なかまちテラス】
 東京都小平市仲町145 


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