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黄色いセーブポイント。〈ぽえむ小平店_美園町〉

お疲れ、わたし。

仕事を終えた17時過ぎ。家に帰ればやることは山のようにあるのだけれど、今日はちょっと寄り道していこう。
もうひと踏ん張りの前に充電が必要な日もあるものだ。そんな時は買い物ついでに立ち寄れる、ちょうどいいあの店へ。

小平駅前ショッピングセンター2階、創業50年という老舗の喫茶店。
『モヤモヤさまぁ~ず』で紹介され、100種類のアレンジコーヒーがあると聞いて、変わったものが飲みたいと行ってみるも、サンドイッチやスパゲッティ、スイーツメニューもおいしそうで、あれもこれもと迷ってしまったことをおぼえている。

人が行き交う地上とは異なり、アーケードの2階は静かだ。はじめて入る時は少し勇気がいるかもしれない。
しかし入ってしまえば居心地の良さはすぐ実感できる。丁寧な接客と落ち着いた空間に、駅前の商業施設だということを忘れてしまう。
レトロな雰囲気に趣を感じる前に、少しひるむくらいがちょうどいいのかもしれない。

今日は買ったばかりの雑誌を片手に。心踊る至福のプチトリップ。
誰にも邪魔をされず、コーヒーを飲み終えるまでの時間を好きに使うくらいの余白は、1日1回必要である。
エルポエム(中煎り)を注文し、コーヒー豆がぎっしりつまったガラスの天板の上で、雑誌をパラパラとめくる。
雑誌を読みながら、仕事のことを考える。視覚で捉えた情報と、頭の片隅にあった考えが交差する。手元と頭を意識がいったりきたりしているうちに、コーヒーが運ばれてきた。
鼻先からコーヒーの香りを吸い込み、今は充電中だったと思い出す。

酸味と苦味のバランスがとれたすっきりとした味わい。雑味がなく軽やかで、疲れた脳内を浄化してくれるような気がした。

白いカップにつばめが飛ぶ。店先にも毎年つばめが巣を作る。
レジ横で販売されているドリップパックにも、かわいい小鳥のイラストが。小鳥好きの友人の手土産に喜んでもらえたおすすめ品。

黄昏時、ゆっくりとコーヒーを味わうなんて、子どもが小さかった頃は考えられない贅沢なひととき。
一息つく暇もなかったのか、ノンストップでやり切れるくらい元気だったのか。その両方だったのだと思う。今はガクッと体が動かなくなる前に、小休憩とお楽しみ。

雑誌を読み終え、ちょっぴり口角が上がる。30分前より確実に生気が戻った。
今日の終わりまでがんばれ、わたし。

結局まだ変わり種を試したことはない。100種類のアレンジコーヒーはなかなか制覇できそうにないけれど、今度はゆったりとお酒が効いたコーヒーを味わってみたい。

(お)

【ぽえむ 小平店】
東京都小平市美園町1丁目33−1

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