つやふわおにぎりとごちそう味噌汁〈鈴なり_学園西町〉
新潟で現地仕入れをしているふっくらつやつやのおにぎりが小平市民の心をガッチリつかんでいるらしいという話。
一橋学園駅の南側、市役所西通り沿いに大きな「米」の文字。
新潟県産のおいしいお米でにぎったおにぎりが食べられる「鈴なり」がオープンすると、あの人やこの人がふっくらつやつやのおにぎりの写真をSNSに投稿していた。
行ってみたいと思いながら、写真を眺める日が続いていたら、あれ、あの人やこの人がまた行っている。
リピート率の高さに期待が高まり、お昼時をちょっと過ぎた午後、満を持して、いざ。
「こんにちは〜」
L字のカウンター席とテーブル席、ひとりでも入りやすい雰囲気の店内。カウンター席に腰かけて、どれにしようかメニューを眺める。
ランチはちょっと豪華な味噌汁が食べられる。
見た目のインパクトでエビが入った白味噌をチョイス。これは家で食べるあれとはまったくの別物で、葉物は別茹でして添えられて、シャキッとした食感を保っている。素材ひとつひとつがしっかり味わえる、ていねいなおかず味噌汁である。
おにぎりは、蒸し暑い日が続いてバテ気味の体が梅を欲していたので、梅アボカドに惹かれて“初回は定番を”の鉄則を破ってしまった。
ほどよい酸味とアボカドで元気になって、やさしい味わいの味噌汁を飲み干した。
「生き返った…」と声が漏れたかもしれない。
1週間後。さて、今日のお昼は何食べよう。
仕事の合間に自分で作る気がしない時、体にやさしくて心もホッと和むものが食べたい。そう、それはおにぎり。
二度目の訪問で注文したのは、おにぎり2つと味噌汁が付くランチセット。
セットは塩おにぎりと選べる具のおにぎり。
こだわりの能登の塩は、お米の甘さをふわっと引き立てる。この日選んだ鮭のおにぎりは、てっぺんにのった鮭だけでなく、最後の一口まで鮭と共にお米を味わえる配分で驚いた。
今回は根菜たっぷりの角煮添えの味噌汁。角煮は別添えもできる。ワンランクもツーランクも上の味噌汁だ。
本当に具材たっぷりなもんで、しっかりお腹がいっぱいになる。
鈴なりの店主中島さんに話を聞くと、「本当においしいお米を食べてほしい」その想いで、惚れ込んだ生産者のお米を新潟県まで直接仕入れに行っている。
中島さんの祖父が米農家だったこともあり、生産者に最大のリスペクトを持っているのだ。
恵まれた自然環境、おいしい水で大事に育てられたふるさとの味。その尊さを知っているからこそ、手間をいとわず、大事に届けている。
お米だって鮮度が大事。精米したてにこだわって、毎朝精米したてのお米を、注文を受けてからにぎっているそうだ。
電車の時間ギリギリまで寝ていた高校時代。毎朝、母が握ってくれたおにぎりを持って登校していた。
大きくて具がぎっしり詰まったおにぎりは、クラスメイトからおいしそうと評判で、母には言わなかったけれど、ちょっと自慢でもあった。
反抗期に母と唯一のつながりになっていたおにぎりを思い出しながら、「鈴なり」のおにぎりをほおばる。
シンプルだからこそわかる、素材のおいしさ。おにぎりはダイレクトに伝えてくれる。
私を支えてくれた、あの日の想いと一緒にかみしめる。特別な日じゃないけど、いつも特別な、つやつや光る宝物。
(お)
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