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江村洋『ハプスブルク家』

【やっちゃえ、マリアテレジア!】

圧倒的な読みやすさでハプスブルク家を知ることが出来ます。西洋史とキリスト教が不可分な様に、ヨーロッパの全域に影響力を持ち続けたハプスブルク家の歴史もまた必要不可欠です。

狡猾な敵に囲まれ、領土を侵攻され、屈辱的な妥協をしてまで結んだ条約は反故にされる。味方の中にも事なかれ主義が跋扈している、孤立無援の絶望的な状況。日本でしょうか、いいえ、マリアテレジアです。

誰も頼れないなら自分が強くあらねばならない。彼女は諦めません。
互いに不信感を抱くハンガリー人相手に交渉し、軍の核を組織。役立たずの老臣を見限り、家柄、身分に関係なく能力のある人間を責任ある仕事に就かせる。私は気づくと叫んでいた。「やっちゃえ、マリアテレジア」と。国力は鉄(軍事力)、金(経済力)、紙(文化力)で表されますがその全てに着手します。

さて、現在の日本はどうか。政府にとって国民の生活は遠い国の植民地かの様に重要視されていない。国=政府ではありません。国民と為政者が一丸とならずしてどうして国が動かせるでしょうか。

何もしないのは自分の敵を肥やすのと同じだ。知識を蓄積せねばならない。「やっちゃえ、○○」と国民が心の底から応援できる指導者を見出す為に。


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