見出し画像

抱きまくらにしがみつく

もう15年は抱きまくらを抱きしめないと眠れない状態でいる。抱きまくらがない時は、丸めたタオルでも、脱いだ服でもいい、とにかく、何かを掴んでいないと、落ち着いて眠れない。

掴んでいる、というよりは、しがみついている、と言ったほうが状態としては正しいのかもしれない。寝るために電気を消すと、途端に大きな不安に襲われることが多い。その不安に飲み込まれても帰ってこられるように、私は何か自分以外の物にしがみついている。

最近は特に、寝る前にものすごい不安というか、絶望感のようなものに襲われることが多い。それが何故なのかはまだ分かっていない。ただとにかく怖くて、動けなくなって、死んでしまう、と思う。その状態でできることは、気持ちを落ち着ける薬を飲んで、抱きまくらを抱きしめて、その不安の波が去るのをじっと待つことぐらいだ。

抱きまくらを抱きしめながら「大丈夫大丈夫」とよく言う。これはいつものことで、しばらくすると消えるものだから、心配しなくても大丈夫なのだ、ということを思いながら言う。多分セルフケアの1つなのだと思う。

何か具体的な問題だったら、人に相談などもできるのかもしれない。でもこんなに漠然として何も分からない不安の中で、一体何を相談できるというのか。

だから、自分で自分に抱きまくら経由で「大丈夫」と言うしかない。ずっとそうやってきたし、これからもそうやっていくのだと思う。

今日もこれを書き終わったら、抱きまくらを抱きしめて眠る。まだ大丈夫。ただ、ぼんやりとした不安ほど、恐ろしいものはない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?