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ホットミルクに角砂糖を入れる

中学生の時に、仲良くしていた先輩からLUNKHEADの『月と手のひら』というアルバムを貸してもらったことがある。『体温』という曲がすごく私のようだと言われて渡されて聴いて、先輩からは私がこのように見えているんだなと思って、多分少し泣いたと思う。

それからもう15年ぐらい経つけれど、今でもふと思い出したときにそのアルバムを聴いている。特にお気に入りなのが、アルバムタイトルになってる『月と手のひら』。少し寒くなり始めると、寝る前に聴くことが多くなる。

私は相変わらず「寂しい」という感情と仲良くなれず、発露することはほとんどなくて、自分の中で段ボールの中にぎゅうぎゅうに詰めて蓋をして見ないようにしている。一人で寂しさを扱うのは難しい。寂しいは他者がいるから発生してしまうし、だからといってそのたびに人の助けを借りるわけにはいかない。だから、蓋をしてなかったことにする。

そういう時に『月と手のひら』を聴く。少し甘くした温かいミルクを入れてくれる人はいないから、自分でホットミルクを作って飲む。甘くする習慣はなかったし、甘くしなくても十分に温まるから、砂糖を入れたことはなかった。それでいいと思ってた。

最近夜にパニック発作を起こしたときに、ホットミルクにたっぷり砂糖を入れて飲みなさい、と友人が教えてくれた。それで『月と手のひら』を思い出して、やってみるかと思って、試しに角砂糖を1つ入れてみた。本当に少しだけ甘くて、こういうことだったのか、と思った。

このことを親に喜びを持って話したら、砂糖を入れすぎないように、牛乳はそれだけで十分甘いのだから、と注意を受けた。また間違えたと思った。あまりこういうことは話すべきではなかった。

ということをカウンセリングで話すと、いいんだよ、砂糖を好きなだけ入れて、と言ってもらえた。少し泣きそうになった。私は温かいミルクに砂糖を入れてもいい。

これからどんどん寒くなっていく。私は寒いほうが好きだけれど、精神的な具合が悪くなる頻度が増える季節でもある。でも私は温かいミルクに砂糖を入れたら少し甘くなって落ち着くということを知っている。自分で自分の具合の悪さやもしくは寂しさを和らげることができる。ギリギリでも生き延びる手立てを手に入れた。それでも寂しさを完全には拭えないのは、困っちゃうね。

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