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インフラの行方

笹子トンネル崩落事故からはや12年。
橋梁をはじめとする土木構造物の5年に一度の定期点検も2周目が終わり、国交省は3周目に向けて、地域インフラ群再生マネジメントへ動いている。

僕が就活していた8〜10年前ごろからインフラの維持管理に目が向けられ、その時、熱い視線は橋梁に向けられていた。今は水道管だ。

特に耐震化率や耐用年数に着目されている。
能登半島地震では配水管の耐震率が低く、道路が障害物等で十分に機能しなかったこともあり、断水期間が4ヶ月を超える地域も出た。

災害がなくとも、耐用年数を過ぎており漏水や赤水(錆鉄の混じった水)の原因になってしまう水道管も多く存在する。

新しいものに取り替えれば良いが、配水管の交換は1kmあたり2億円弱の多額の費用がかかる。
市の水道業務は市民税ではなく、主に市内の水道料金から成り立っており、多額の費用がかかるとなれば水道料金の大幅な値上げは避けられない。

水は、人が生きていく上で必要であり、その人の所得に関わらない。多額の水道料金が払えない人を見捨てる世の中を行政は目指さない。

より影響の大きな(広範囲な、重要な)、老朽化した水道管から毎年予算の許す範囲で順次更新してゆく。(耐震化も同時になされる)並行して漏水補修(漏水は主に管の劣化が原因)などにも対応してゆく。さらに人口減少の未来に備えて、管の口径(大きさ、太さ)を小さくするダウンサイジング。本当にそこに管が必要なのか管路を見直す。
このあたりが、安全な水を供給する上で、今後必要とされる水道業務だ。

水道の蛇口を捻ると全国ほとんどどこでも一定の基準を満たした水道水が飲める。が、水源と呼ばれる綺麗にする前の水がどのくらい取れるか。は地域や市町村によって違う。水は送るのにも費用がかかるが、飲めるくらい綺麗にするのにも費用がかかる。沿岸部の自治体が海水を水源としないのは、経済性を考慮してのことだ。(海水は綺麗にするのに費用が余計にかかる)
山が多い、平野、市街地。地理的条件によっても水道を引くにあたって有利不利が違ってくる。その街の人口にもよる。

2024年4月、上水道業務が厚生労働省の管轄から国土交通省へ移された。
国土交通省の方針として、上水道や下水道の維持管理に民間企業の力を活用する。PPP、PFI。
神奈川県三浦市(人口5万人弱)は公共下水道の維持管理業務を民間企業(インフロニアホールディングス)に託す。
新潟県妙高市(人口3万人弱)はガス、上下水道を一括して民間企業(妙高グリーンエナジー)へ委託する。
大阪府大阪市も基幹水道管更新の一部にPFI方式を導入し、民間企業(クボタ他)の力を活用する。

今後さらに各市町村のインフラ維持管理業務が行政から民間に委託されてゆくことが予想される。

インフラを取り巻く事案はニュースでも多く目にする。
警察管轄の信号機の老朽化による倒壊。ブロック屏の倒壊。
能登半島ではガラス製の福祉会館の一部が壊れ、ガラス片が飛散したりと今後の維持管理を考えると安全性に疑問が浮かぶ。

今後どのように問題が提起され、状況が改善されてゆくのか。されないのか。どのような対応がなされるのか。誰がするのか。動向に注目したい。

個人的には道路の管轄が市や県、国なのに対し信号機の管轄が警察なのが不思議だ。警察は都道府県単位で分けられる。〇〇県警。県ごとに所轄される警察にて、細かい信号機の管理、点検、補修業務が適切になされるのか。

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