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たらればの話

僕は中学卒業後、高専に通い、卒業後20歳で就職した。
高専は寮生活で、15歳で家を出た。
小さめの借家で、男4人兄弟で暮らしていたが、4人中3人が15歳で家を出た。高専生の兄弟には、高専生が多い。普通の人は進路に高専がある…ということを知りづらいから。24歳。家を出てから9年が経つ。思い出の家もとうにない。今思うと、少し早かったな…と思う。この9年の間に僕は松江〜東京〜大阪と移動し、両親も島根から東京に行ってしまった。

(とりあえずなんとかする生活力は身についた。東京に就職した時、引っ越し代(主にゆうパック)で貯金は尽き、初任給12万円で。家賃の6万円引いて定期代引いて。家具も冷蔵庫とベッドと机しかない部屋で、こっからどーすんだよ!!と思ったものだ。)

卒業後、東京の建築製図の会社に就職、タクシー、大阪のゴルフボールダイバーを経て、土木に帰ってきてる。タクシー、ダイバーは僕の人生の中のモラトリアムの様なものだと思っている。技術を教えたのだから、技術を以って社会に貢献してくださいね⁉︎的な空気に対するささやかな抵抗?僕はもう少し外側に出て、社会を見たかったのだと思う。

次もしやりたい仕事があるとしたら…現代文の教師くらい。

社会人になってから分かったことだが、僕は文系、現代文が好きだ。もっというと、人文科学、文化、言語人類学、社会学。

15歳で高専を選んだ時には、そこまで考えてなかった。ただ、家を出たかっただけだった。中学生の進路なんてそんなもんかな…とも思う。お陰で世界も広がり、知らないこともたくさん知れたが、理系の空気と、文系の空気ってあるよな…と思う。

高専生は将来食べるのには困らず、良い人生でもあるが、異性交友の少ない人生ではあるなと思う。共学の高校、大学、大企業の新卒同期などの経験がない。就職後も技術の職場は、男性(主に中〜高齢)ばかりだ。(若い男性との交友の機会も少ない)

マッチングアプリをしてて思うが、共学の高校や大学なんか行ったら、そら彼女もできるわ、〇〇もするわ…なんて思う。おそらく過大評価で、僕にそれらの経験がないから現状が分からないだけだと思うけれど。少なくとも高専よりは、高校(共学)〜大学の方が機会は多いように思う。

現時点で、僕の歩んできた人生において、さまざまなことを知り考えながら生きていく上で。僕なりの道を歩めてるように思う。
ここから先は、たらればにしないと解決しない感情かなと思った。

もし僕が、高専でなく、進学校の共学高校に入学していたら。そこそこの大学の文系に入っていたら。(大学の文系に行くのなら、高校の現代文の教員免許だけは取っておきたい!)運良く大企業の商社?(資本主義的なお金儲けをする人々が。文系の人が、どのような就活を行うのかあまり知らない)に入ったりなんかしたら。男女の数えきれないほどの出会いと経験が、僕の人生に上乗せされたことだろう…そんな風に思う。
僕の純な異性交友の場の記憶は、中学生が主だ。

理系や技術職というのは、重要で必要でもあり、面白い…と感じる人も多いのだろう。しかし、同じ資本主義の枠組みの中で見ると、光を見づらい環境ではあると思う。土木の、山と中高齢男性と技術に囲まれた仕事は、華やかではない。もう少し、人生で長い時間を過ごす仕事の時間に異性交友があった方が自然なように思う。が、ないのであれば、プライベートや生活などに求めるのもまた、自然なのだろう。

あと、技術職の人は技術を求めていて、ユーモアや人(にん)を発揮する機会が少ないなと思う。技術を求められているな…と感じる。当たり前だけれど。

まぁ現実を見ると、奨学金を借りなきゃいけなかったり、就活に苦労したり、バイト漬けの日々だったり…いろいろあるのだろう。
たらればの妄想ほど無責任なものもない。

しかし、大きな、無作為な箱型マッチングアプリのような環境にいると、順当に大人の階段を登るのだろう…!!という想像もつく。

一方で高専に行くことでしか、体験できない人生も多くあると思う。友達を家族のように感じた5年間の寮生活、各々の人生と地元がある環境…日本の技術者の未来を担うような人たちが、一同に集まったような環境…。

みんな恋愛経験は少ないが、結婚はできる人たちだなと思う。工学系の婚期は遅め(だと思う)が。

選ばれた、又は選んだ人達の集まったクラスもいいが、そこらへんの人達が集まったクラスも良かったな…と思う。どちらもいろんな学びがある。
より、アホできそう。

でも土木の仕事をしながら、様々な本から学び、人文科学の知識や思想を深めるような生活も悪いとは思わない。廉価で知恵が手に入る環境に感謝だ。これほど、日本語が母国語でよかったと思う瞬間もない。驚くような値段で、知識が手に入る。文化が市民に開かれているのを感じる。国が豊かとはこういうことか。

みなさんは高校の現代文Bの教科書を読んだことがあるだろうか。あの本が、知識が、フリマサイトで300円とかで手に入る国なのだ、日本は。
未来を生きる高校生に向けて、様々な直面するであろう問題を、言語の性質などを介して教えてくれる選び抜かれた文章選。
あの本を読んで、理解しようとすれば、こと言語化において、人生を生きる上で強い味方になってくれると僕は思っている。

細分化していくと、おそらくもっと複雑な状況が僕を取り巻く環境や現実を形作ってるように思う。たらればにも解像度や知識が必要だと感じる。ただ、自分の人生においての物語、選択をし続け、その外側に今の自分の範囲では見えないものがありそうだ。

それらを知りたいと思う気持ちがさせた妄想でした。まっすぐ生きてゆきます。

昔から自由が好きで、国語が好きで、討論もきらいでなく。
本を読み、小論文などを書くのも得意だった人が技術に行くと、このような人生になるのだろう。悪くない人生のように思う。ありがたい限りです。


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